30台しか製造されなかった“幻のスーパーカー”がオークションに登場! 日本人がオーダーした超マニアックな「イズデラ・インペレーター」とは
アメリカのオークションサイト「RMサザビーズ」に珍しいモデル「Isdera Imperator 108i Series 2」(イズデラ・インペレーター108i・シリーズ2)が出品されました。どのようなクルマなのでしょうか。
ポルシェとメルセデス・ベンツの血が流れる
世界的にEVが失速しているというニュースが新聞やネットで飛び交っています。
その要因もあり、ネガティブなイメージがEVについてしまいましたが、EVの推進は意外な効果を生んだことも事実です。
EV化は世界に多数の新興メーカーを誕生させています。
しかも内燃エンジン車では到達困難なスーパーカーも誕生しています。2000馬力の最高出力を持つリマック「ネヴェーラ」はその代表例でしょう。
また、古のブランドがEVによって復活するという事実もあります。「ランチア」がその好例です。
どちらにせよ、大手ではない小ブランドが世界のあちこちに散らばっています。
もちろん、なくなってしまった弱小ブランドも存在します。その中のひとつ、「ISDERA」(イズデラ)の名を知っている人はどれだけいるでしょうか。
そのイズデラが製作した幻のスーパーカー「インペレーター108i」が、米国のオークションサイト「RMサザビーズ」に出品されています。
カーデザイナーとしてポルシェに勤めていたエバーハルト・シュルツ氏が1982年に設立したのがイズデラです。
シュルツ氏は自身でもカーデザインを手掛けており、「エラトーGTE」というモデルを開発しています。
1970年代初頭。シュルツ氏はポルシェを離れ、B&B社の設立に関与します。そこで開発されたのが、メルセデス・ベンツ「CW311」です。
さらにシュルツ氏はB&B社を去り、少量生産に特化した自身のメーカーとしてイズデラを設立します。
そしてCW311をベースに開発したのが、インペレーター108iです。
エンジンルームには日本語の「排ガス適合証」が貼られた1台
インペレーター108iは合計30台が生産されました。
前期型が17台で、後期型が13台という内訳で、今回出品されたのが後期型にあたる「シリーズ2」です。
CW311をベースにしているだけあり、全体のシルエットは似ています。
しかし細部のデザインはオリジナルのもので、ボンネットやBピラーに「NACAダクト」を採用したほか、サメのエラのようなダクトも備えたことでチューンドカーのような雰囲気を醸し出しています。なお、前後ホイールはBBS製です。
ヘッドライトは、非点灯状態ではカバーされていますが、点灯時はカバーが下がりライトが出現します。
テールランプは、古のメルセデス・ベンツを彷彿とさせる長方形デザインのものが採用されています。
ちなみにドアはガルウイング。エンジンはミッドシップに搭載されており、ボディの後半部分全体が開く方式です。
車内は大部分が革張り。1991年製にしてはこの個体の状態は良く保たれ、革もツヤが出ています。余計な装飾はなく、ブラックに統一されています。
それもそのはず、この個体の走行距離は1912kmで、新車同様と言える状態なのです。
エンジンは、メルセデス・ベンツのV型8気筒を搭載。ZF製の5速MTを組み合わせています。
最高速度は175mph(約282km/h)達し、0-60mph(約96.5km/h)加速は5.1秒とのことです。
内装同様、エンジンルームも綺麗な状態が保たれています。もちろん整備済みです。
さらに言うと、この個体をオーダーしたのは日本人とのこと。その証拠に、日本語が書かれた排ガス適合証がエンジンルームに貼られています。
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知る人ぞ知る存在のイズデラをオーダーした日本人はどんな人物だったのでしょうか。
富裕層であることは間違いありませんが、かなりの自動車マニアだったのではないでしょうか。
この個体は80万ドル(約1億1386万円)からの競売となっています。
日本に戻ってくることはあり得るでしょうか。
09/13 06:30
VAGUE