製造わずか17台の“激レア”車! 伝説のアメリカンスーパーカー 1991年式ベクター「W8」がオークションに登場 どんなモデル?

製造台数が世界でわずか17台のみのアメリカンスーパーカーが、RMサザビーズオークションに出品されて話題になっています。いったいどのような個体なのでしょうか。

フェラーリを超えるインパクト!アメリカが生んだスーパーカーがサザビーズに登場

 1980年代から1990年代にかけて、アメリカではスーパーカーの製造をメインにした新興メーカーが数多く参入してきました。

 そのなかでも、カリフォルニア州でジェラルド・ウィガードによって設立された「ベクター」は、多くの人を魅了しました。

伝説のアメリカンスーパーカー ベクター「W8」Robin Adams ©2024 Courtesy of RM Sotheby's

伝説のアメリカンスーパーカー ベクター「W8」Robin Adams ©2024 Courtesy of RM Sotheby's

 1989年のパリ・サロンで初公開された「W2」は、大きくウェッジシェイプされたフロント周りにステルス戦闘機を彷彿とさせるような近未来のエクステリアは、来場者の注目を集めました。

 パリ・サロンでの高評価をうけてベクターは市販化への開発に取り組みをおこない、誕生したのが「W8」になります。

 W8は、W2同様に極限まで下げられた全高に超スラントノーズのシルエットが特徴で、ランボルギーニ「カウンタック」や「ディアブロ」のようなひとめでスーパーカーといえるようなエクステリアになっています。

 低い全高と太いサイドシルのためドアはシザーズドアが採用され、こちらもスーパーカーならではの装備といえるでしょう。

 また、プラットフォームにはカーボン ファイバー、ケブラー、グラスファイバーが使用され、コストを度外視したパフォーマンスに特化したモデルになりました。

 パワーユニットは6リッターV型8気筒にツインターボを組み合わせ、最高出力は625ps、最大トルクは880Nmを発生し、3速ATによって伝達されます。

 このパワーユニットによるメーカーの公表データは、停止状態から60mph(約96km/h)まで4.2秒で加速、1/4マイルを12秒で走行する性能を持っていました。これは当時の人気スーパーカー、フェラーリ「テスタロッサ」よりも速いものでした。

 またメーカー公称最高速度は200mph(約321km/h)を達成するなど、当時でもトップレベルの動力性能でした。

 これまでにないスタイルとコンセプトのW8をわずか17台製造したベクターでしたが、その後は財政難のため廃業に追い込まれることになりました。

シャシナンバー009の気になる落札予定価格とは

 そんな日常生活ではほとんど目にすることのないベクターの希少なW8が、RMサザビーズオークションに登場して注目を集めています。

伝説のアメリカンスーパーカー ベクター「W8」のインテリア Robin Adams ©2024 Courtesy of RM Sotheby's

伝説のアメリカンスーパーカー ベクター「W8」のインテリア Robin Adams ©2024 Courtesy of RM Sotheby's

 今回出品されたモデルは、1991年式の走行距離は2643マイル(約4253km)で、コンディションも良い状態といえます。

 1989年に17万8000ドルで注文されたこの個体はシリアルナンバーは009で、ボディカラーのパープルとブラックのオールレザートリムで仕上げられた唯一のW8です。

 さらにW8のインパクトを強く印象付けているのが航空機のようなインテリアで、目を惹くのがステアリング左側に設置された、インフォメーションディスプレイと各種スイッチ類になります。

 インフォメーションディスプレイは、オレンジの単色でスピードメーターやタコメーターのほか、クルマの状態を表示も可能で、当時としては近未来感溢れるギミックとなっています。

 また、フロアコンソールが存在しないW8のシフト操作は、運転席左側のサイドシルにシフトレバーが設けられ、当時のスーパーカーのなかでも珍しい造りといえるでしょう。

 また、シートはパワー調整機能付きレカロ社製のブラックレザークラシックシート、オーディオはソニー製のカセット&CDチェンジャーコントロールユニットにA/D/S社製スピーカーが組み合わされています。

 また、このW8には取り外し可能なムーンルーフが装備されており、保管時に保護するためのケースまで付属しています。

 この個体は2023年3月にオイルポンプ、さまざまなパネルリフトストラットなど、ベクターの元エンジニアリング責任者のデビッド・コストカ氏によって徹底的に整備されました。

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 今回のオークションでは80万ドル(約1億1812万円)から100万ドル(約1億4765万円)で落札が予定されています。

 世界の製造台数が17台とオークションなどにもほとんど出回らない希少性にプラスして、類をみないコンセプトとスタイルはクルマ好きには魅力的な1台といえるでしょう。

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