「E4」「C3」「E20」 高速道路のナンバリングって、どんな意味? アルファベット&数字で快適に走れる日本の高速道路改革とは

高速道路ナンバリングの魅力

ジャンクション周辺の案内看板にはナンバリングが表記されている(画像:都野塚也)

ジャンクション周辺の案内看板にはナンバリングが表記されている(画像:都野塚也)

 各地を通る高速道路には、路線名のほかに「ナンバリング」と呼ばれるものが付与されている。ナンバリングは、路線名と一緒に表示されるアルファベットと数字の組み合わせだ。

 高速道路のナンバリングは、訪日外国人の増加にともない、次の理由から2017年に導入された。

・高速道路を利用する人が、よりわかりやすく利用できるようにするため
・すでに欧米諸国で実施されているため
・2020年東京オリンピック開催を控えているため

 日本の高速道路ネットワークは年々複雑になっているが、ナンバリングの導入によって、利用者にとってわかりやすく、親しみやすくなっている。

 基本的に1路線にはひとつのナンバリングが付与されるが、なかには特徴的な付け方がされている路線もある。仕事とプライベートで年間約6万kmを走る私(都野塚也、ドライブライター)も走行中にユニークなナンバリングの路線を見つけると、より楽しく高速道路を走ることができる。

 ということで、今回は特徴的な高速道路のナンバリングについて紹介する。

「E」ナンバーの仕組み

ナンバリングの付け方イメージ(画像:写真AC)

ナンバリングの付け方イメージ(画像:写真AC)

 ナンバリングは基本的に高速道路の英訳である「Expressway」の頭文字「E」に、路線ごとに独自の数字が付けられている。

 ただし、首都圏の東京外環自動車道や首都圏中央連絡自動車道、中京圏の東海環状自動車道のような環状路線では、「Circle」の頭文字「C」が使われている。

「E」で始まる路線については、並走する国道が1桁または2桁の場合、その国道の番号がナンバリングに採用される。例えば、東北自動車道は主に国道4号線と並走しているため、「E4」となっている。

 並走する国道の範囲は広く設定されているため、ナンバリングが多くのケースで国道番号を基にしている。しかし、周囲に2桁までの国道番号がない路線の場合、国道番号は使われず、59から始まる番号が付けられている。

中央道の区間別ナンバリング

岡谷JCT周辺の路線図(画像:国土交通省)

岡谷JCT周辺の路線図(画像:国土交通省)

 高速道路のナンバリングは基本的に1路線にひとつの番号が付与されているが、例外もいくつかある。まず、路線内で区間によってナンバリングが変わるケースがある。特定の区間を境に数字が変わることがある。

 その代表的な例が中央自動車道だ。中央自動車道は東京都杉並区の高井戸インターチェンジ(IC)を起点に、愛知県小牧市の小牧ジャンクション(JCT)で終点を迎え、山梨県区間に支線が存在する総距離366.8kmの長距離路線だ。中央自動車道のナンバリングは起点の高井戸ICから「E20」となっているが、中間地点の長野県岡谷市の岡谷JCTから終点の小牧JCTまでは「E19」に変更される。

 これは、中央自動車道が並走する国道が、長野県岡谷JCTまで国道20号線であり、国道20号線が東京都の日本橋を起点にして長野県塩尻市で終点を迎えるためだ。塩尻市より西側では国道19号線が中央自動車道と並走する形になっている。このため、中央自動車道は経由地でナンバリングが変わるのだ。

 同様のケースは、大阪府から和歌山県を通る阪和自動車道や、徳島県から愛媛県を通る徳島自動車道でも見られる。徳島自動車道では、起点の鳴門JCTから徳島JCTまでの約8.5kmの区間が「E11」とされ、徳島JCTから終点の愛媛県・川之江東JCTまでが「E32」に変わる。

ナンバリング重複の意外な事例

東名高速道路下り線、豊田JCT周辺(画像:都野塚也)

東名高速道路下り線、豊田JCT周辺(画像:都野塚也)

 今回は、複数の路線に同じナンバリングが付けられている例を紹介する。通常、ナンバリングは路線ごとに異なるアルファベットや数字が付与されるが、同じアルファベットや数字が複数の路線に使用されるケースもある。

 最も有名な例は、日本の大動脈として長年交通を支えてきた東名高速道路と名神高速道路だ。両者には「E1」という同じ番号が付与されている。これは、主に並走している国道1号線が理由だ。国道1号線は、東京の日本橋を起点に大阪の梅田新道交差点で終点を迎えている。

 他の1桁のナンバリングを見てみると、以下のような路線がある。

・E6:常磐自動車道、仙台東部道路、三陸沿岸道路(仙台港北~利府)、仙台北部道路
・E7:日本海東北自動車道、秋田自動車道(河辺~小坂)
・E9:京都縦貫自動車道、鳥取豊岡宮津自動車道、山陰自動車道

同じナンバリングが複数の路線にまたがっているケースは意外に多い。

 例えば、秋田自動車道では、起点の岩手県・北上JCTから日本海東北自動車道と接続する秋田県・河辺JCTまでが「E46」となり、河辺JCTから終点の秋田県・小坂JCTまでは「E7」となる。

 このように、路線内でナンバリングが変わるとともに、他路線と同じナンバリングが使用されている珍しいケースだ。ちなみに、「E46」は釜石自動車道や東北自動車道の一部にも付与されている。

複雑化するJCTでも安心

九州の交通の要所、鳥栖JCT周辺(画像:都野塚也)

九州の交通の要所、鳥栖JCT周辺(画像:都野塚也)

 高速道路のナンバリングを活用することで、運転がよりしやすく、楽しくなる。ナンバリングが導入されてから約7年が経過した2024年9月現在、ナンバリングを表示する看板や電光掲示板が増えてきた。

 高速道路のネットワークは年々拡大しており、それにともないJCTの数や複雑な分岐も増加している。複雑なポイントの手前には案内看板が設置されているが、高速道路を速い速度で走行していると、行きたい方面がわからなくなることもある。

 そんなとき、路線名とともに表示されるナンバリングが助けになる。漢字で表記された路線名よりも、アルファベットと数字で表記されたナンバリングの方が瞬時に認識しやすい。さらに、ナンバリングを通じて他の高速道路に関する知識を広げたり深めたりすることもでき、高速道路をより楽しく利用できる要素となる。

 ナンバリングはアルファベットと数字で構成されているため、親しみやすく覚えやすいのも特徴だ。ぜひ皆さんも、高速道路のナンバリングに注目して興味を持ってもらいたい。

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