近年、高速道路の「通行止め」「車線規制」がやたら増えている根本理由

高速道路工事の現実

近年、高速道路各所で工事が多く行われている(画像:写真AC)

近年、高速道路各所で工事が多く行われている(画像:写真AC)

 私(都野塚也、ドライブライター)はほぼ毎日運転しており、高速道路を利用しているが、約15年間の運転経験を通じて、高速道路の状況が以前とは大きく変わっていることを実感している。

 特に最近は、あちこちで工事が行われている。走行する路線や近隣の路線で、

・~インターチェンジ(IC)工事
・~ジャンクション(JCT)工事
・IC~IC間工事

などのアナウンス看板や電光掲示板をよく見かける。実際、工事の日時に該当する路線を走ることも増えた。

 高速道路の工事では、通常の車線よりも車線数が少なくなる「車線規制」が行われたり、ときには該当するICや区間が通行止めになったりすることもある。

 先日、私が東京から大阪方面に移動する際には、新東名高速道路を走行中に、伊勢湾岸自動車道の工事による通行止めが始まり、やむを得ず通常より距離があり所要時間のかかる名神高速道路を利用して大阪に向かった。

 このように、高速道路の工事が行われると、通行止めによる迂回や車線規制による渋滞が発生し、所要時間が大幅に伸びることもある。また、普段とは違う道を走ることで運転の負担が増すことも考えられる。

 高速道路の工事は私たちに大きな影響を与えるが、近年工事が多く行われている理由はしっかりと存在する。この理由を知ることで、ある程度対策を講じて運転することができ、精神的な余裕も生まれる。これからその理由について解説していくので、ぜひ参考にしてほしい。

歴史を刻む都市高速路線

日本で最初に開通した都市間高速道路・名神高速道路(画像:都野塚也)

日本で最初に開通した都市間高速道路・名神高速道路(画像:都野塚也)

 高速道路は近代的なイメージが強いが、歴史のある路線も存在する。例えば、日本で初めて開通した都市間高速道路である名神高速道路は、初区間が1963(昭和38)年に開通し、全線が1965年に開通した。つまり、名神高速道路には実に半世紀以上の歴史がある。

 私がよく利用する都市高速道路である首都高速道路も、初区間が1962年に開通しており、3号渋谷線や4号新宿線などの主要路線は、1970年代に全線が開通している。その他の地方の主要路線も、1960年代から1980年代にかけて建設され、開通したものが多く、40~60年の歴史を持っている。

 高速道路は、基本的に一度開通すると取り壊されることなく、同じ道路が使用され続ける。したがって、長い年月、365日24時間ほとんど絶え間なく利用されているため、道路の状態は徐々に悪化していくことが避けられない。

老朽化進行中の高速道路

歴史ある路線では、道路状況の老朽化が徐々に進行している(画像:写真AC)

歴史ある路線では、道路状況の老朽化が徐々に進行している(画像:写真AC)

 高速道路やICなどの施設は、徐々に老朽化が進んでいる。特に古い路線は半世紀以上使用されているため、傷んでいる箇所が多く見られる。こうした老朽化した道路や施設には、修繕や補修が必要になる。そのため、近年は各地で積極的に工事が行われている。特に交通量の多い地域や区間では、道路や施設が傷みやすいため、工事の頻度も高くなる。

 老朽化を修繕する工事は、約1か月前から該当場所周辺でアナウンスされる。利用者は事前に工事計画の情報を知ることができるため、非常に便利である。工事にともない、通常よりも車線数を減らす車線規制が行われたり、場合によってはICや区間が完全に通行止めになったりすることもある。工事は、交通量が少ない深夜早朝の時間帯に行われることが多く、利用者への影響をできるだけ少なくする配慮がなされている。

 最近では、東名高速道路の東京IC(世田谷区)~東名川崎IC(川崎市)や中央自動車道の国立府中IC(国立市)~八王子IC(八王子市)などで、約5年もの長期間にわたって、期間ごとに車線をシフトしながら工事を行う方法が採用されている。

 また、中国自動車道のほとんどの区間も1970年代に開通しており、そのなかでも吹田JCT(大阪府吹田市と一部茨木市)~神戸JCT(神戸市)は西日本有数の交通量を誇る区間のため、道路の傷みが非常に目立つ。この状況を受けて、新名神高速道路の開通により、車線規制や通行止めをともなう工事が積極的に行われている。

工事情報の重要性

快適な高速道路(画像:都野塚也)

快適な高速道路(画像:都野塚也)

 工事による車線規制や通行止めが発生すると、ドライバーには不便が生じることがある。そこをしっかりと理解し、協力することがドライバーには求められる。

 また、工事に対してドライバーができる対策を講じることも、スムーズな運転にとって重要だ。近年、高速道路での工事が増えているため、工事の予告アナウンスをできるだけ多く入手することを心がけるとよい。

 普段の走行中に看板や電光掲示板から情報を得たり、高速道路を管理するNEXCO各社や首都高速のウェブサイトをチェックしたりすることで、工事情報を把握できる。

 長距離ドライブでは、普段通らない地域を走ることが増えるので、特に工事情報についてリサーチする時間を取ることが重要だ。これにより、当日の運行がスムーズになる。今後のよりよい交通社会のために、高速道路の工事について理解し、自分にできる範囲で対策を行おう。

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