官民ファンドのJOIN、米新幹線計画への支援撤回 巨額損失で批判

テキサス新幹線のダラス駅の建設が計画されている場所やその周辺=2016年6月、米テキサス州ダラス、ランハム裕子撮影

 国土交通省所管の官民ファンド「海外交通・都市開発事業支援機構」(JOIN)は、米テキサス州の新幹線プロジェクトへの支援を撤回することを決めた。支援開始から9年が過ぎても着工のめどが立たず、巨額の損失を被っていた。批判が高まるなか、支援をいったん白紙に戻す。

 この事業は、テキサス州のダラス―ヒューストン間の約385キロを、JR東海の新幹線技術で結ぶもの。JOINは2015年に、事業を進める現地企業テキサス・セントラル社(TC)への支援を決めた。

 ただ、投資家から資金を集められず、当初17年を予定していた着工は大幅に遅れている。JOINが引き受けたTCの社債は22年に債務不履行に陥り、昨年度決算では、これまでに投融資した417億円全額の損失計上を余儀なくされた。

 JOINは社債の償還を受けることを断念し、これまでに決めた出資などの支援も撤回することにした。国交省が7日にこの方針を認可。TCの資金繰りが行き詰まったことが原因とみられる。

 一方、国交省幹部は「テキサス新幹線の事業そのものが終了したわけではない」とする。全米鉄道旅客公社(アムトラック)が事業継続に意欲を示しているといい、取得した用地などをアムトラックに売り、投資の回収を進めていく考えだ。

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