債務超過の旅客船会社、新高速船を導入 起死回生策のターゲットは?

広島港と呉港、愛媛・松山港を結ぶクルーズフェリー「シーパセオ」=瀬戸内海汽船提供

 広島と愛媛を結ぶフェリーなどを運航する瀬戸内海汽船(広島市南区)が、債務超過で経営難に直面している。地元銀行の出資を受けて再建が始まり、新たな大型投資を発表した。人口減などで人の移動が減る中、交通インフラをどう維持するのか。窮地を切り抜けるその戦略とは。

 瀬戸内海汽船(資本金1億1500万円)は、西瀬戸内海の航路事業者7社が統合し、1945年に設立された。広島、呉の両港と、愛媛・松山港を結ぶフェリー、高速船などを運航し、広島と四国をつないできた。

 2019、20年には、大型投資で2隻のフェリー「シーパセオ」を導入した。船に人工芝のテラスや日差しを遮るあずまやなどを設け、「海上に浮かぶ公園」をうたった。

 しかし、新型コロナウイルスの感染拡大で利用者は激減した。コロナ禍後も客足は戻らず、19年に約60万人いたフェリーや高速船の利用者は、23年に約46万人まで落ち込んだ。

 航路マーケティング部の下田健一課長は「新しい船の減価償却のタイミングとコロナ禍が重なり、苦しくなった」と説明。燃料高騰もあり、累積の債務超過は7億5600万円(23年12月時点)に達した。

 同社は8月、広島港と呉港、松山港を結ぶ航路で、現行の高速船「スーパージェット」の後継として、「リニアジェット(仮称)」を26年度に導入すると発表。新たな設備投資で客を呼び込むという。

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