調剤薬局グループ、架空取引で消費税16億円を不正還付か 国税指摘

I&Hグループの「阪神調剤薬局」の店舗=大阪市内

 全国で調剤薬局チェーンを展開する「I&H」(兵庫県芦屋市)やグループ企業など約60社が国税当局の税務調査を受け、2022~23年の約1年間に消費税計約16億円の不正還付を受けたと指摘されたことがわかった。薬局間での医薬品の架空取引を通じて、還付対象の消費税があるように装ったと判断されたとみられる。

 追徴税額は、重加算税を含め計約23億円とみられる。I&Hは取材に「架空取引の認識ではなかった。見解の相違があったが、指摘を真摯(しんし)に受け止め、修正申告と追徴税額を含む納税を行った」と回答した。

 消費税は、モノやサービスを売った時に受け取る税額より仕入れ時に支払った税額が多い場合、その差額が還付される。

 関係者によると、I&Hは近年、企業合併・買収の資金調達のためにグループ企業などとの間で医薬品の在庫を売買していたという。大阪国税局など全国の国税当局が約60社について調べたところ、書類だけで実態のない取引が見つかり、それにより仕入れなどで支払ったとして差し引ける消費税が実際より多いように装って還付請求したと判断されたとみられる。

 帝国データバンクなどによると、I&Hは各地の調剤薬局チェーンを買収するなどして規模を拡大。「阪神調剤薬局」「みらくる薬局」などを全国で計562店舗展開している。23年5月期の連結売上高は2233億円で、調剤薬局グループでは国内で大手とされる。大手ドラッグストア「スギ薬局」を運営するスギホールディングスが今年9月にI&Hを子会社化している。(市田隆)

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