東京のターミナル駅「一番長い地下道」はどこ? 端から端まで歩くとヘトヘト!? やっぱりどこも“ダンジョン”だわ…
東京の主要ターミナルは、地下道の長さからしばしば「ダンジョン」などと呼ばれますが、実際、どれくらい長いのでしょうか。天候を気にせず歩ける地下道は、まさにネットワークになっていました。
地下道の「長さ」比べてみると
東京の山手線に沿った繁華街の多くには、地下鉄も乗り入れ、その地下は地下鉄どうし、またJRや私鉄との乗り換えの利便性を高めるため地下通路が広がっています。
ではその地下通路は、それぞれどのくらいの長さがあるのでしょうか。意図的なジグザグ移動や後戻りなどを含めない合理的な移動ルートを前提に、その距離をエリアごとに、比べてみましょう(距離はGoogleMapの距離計測機能を使い、概算値として算出しています)。
池袋エリア
池袋エリアは、JR池袋駅をサンドするような形で東に西武池袋線の池袋駅と、西に東武東上線の池袋駅が並び、それぞれ南北方向に線路を走らせています。また地下鉄は東京メトロ丸ノ内線、副都心線、有楽町線が、それらと直行するように東西に伸びています。
地下通路は主に有楽町線/副都心線に沿って延びています。副都心線の駅がある西口側は、立教大学手前のC2出口まで、東口側は有楽町線に沿って南池袋公園に近い39出口までという東西方向が最長です。ややくねくねしていて、細かい上下方向の移動もあるため長く感じますが、実際の距離は800mほどです。
上野・御徒町エリア
上野駅と御徒町駅は山手線、京浜東北線で結ばれ、またこれと並行して東京メトロ日比谷線が上野駅と仲御徒町を結んでいます。ただ日比谷線上野駅のコンコースと仲御徒町駅のコンコースは、直接はつながっていません。
しかしこの間には、ぐるっと大回りする形で地下通路が用意されています。それは日比谷線上野駅から東京メトロ銀座線上野駅、京成上野駅、銀座線上野広小路駅、都営大江戸線上野御徒町駅を結び、仲御徒町駅に至る“逆コの字”形のルートです。
その長さは、銀座線上野駅1番出口から日比谷線仲御徒町駅4番出口までで、1.1kmほど。建築時期が異なるため、ところどころやや強引な導線もありますが、通路の広さや断面形状などに違いが見られ、昭和初期から21世紀初頭まで、80年近くにわたる地下開発の歴史を味わうことができます。
深すぎる「新宿」どこまで続くの?
新宿の地下道は縦横無尽に拡がっています。エリアごとに比較してみましょう。
新宿エリア(東口南北方向)
新宿駅を中心とした地下の街は、開発の段階が数度にわたるため、各所で迷いやすい構造となっています。
そのなかで比較的わかりやすいのが、東京メトロ副都心線の工事にともない作られた、都道305号「明治通り」の地下通路です。
北のE1出口は歌舞伎町に隣接した花園神社近辺、南のE8出口はJR新宿駅の新南口に直結する新宿高島屋の代々木口のほぼ正面となり、その延長は800m弱。丸の内線新宿三丁目駅コンコースと重なる新宿三丁目交差点地下の“十字路”は、いつも混雑しています。
新宿エリア(東西方向)
新宿エリアの東西方向の地下通路は、西端は都営新宿線/京王新線新宿駅から続く「ワンデーストリート」の終点となるワシントンホテル・都庁第二庁舎の近辺まで、東端は都営新宿線新宿三丁目駅と地下で直結するBYGS新宿ビルまで通じています。ただ、この間を直線的に結ぶ都営新宿線/京王新線の線路に沿って地下通路があるわけではなく、両新宿駅から京王線新宿駅-小田急線新宿駅-JR新宿駅西口-東京メトロ丸ノ内線新宿駅-同新宿三丁目駅-都営新宿線新宿駅という、延長約1.9kmの複雑なルートをたどります。
通路のほとんどが各駅のコンコースと重なっているため、人の流れは都内の地下通路でも有数です。また都営新宿線/京王新線新宿駅から京王新宿駅方向、JR新宿駅西口から丸ノ内線新宿駅方向は、現在進められている再開発工事の影響もあって分岐がわかりにくく、迷いやすい構造です。ご利用の際は案内看板などに注意を払いましょう。
なお、これとは別にJR新宿駅の構内にも東西の自由通路が設けられています。
新宿エリア(西口南北方向)
JR新宿駅西口から北西方向に進む地下通路は、青梅街道の「新都心歩道橋下」の交差点手前で途切れますが、その交差点の向こう側には別の地下通路の入口があります。それが東京メトロ丸ノ内線西新宿駅へのE9出口です。
ここから地下に入ると、通路は西新宿駅改札手前で南方向に折れ、ジグザグに走ったのちに東京都庁の地下に至ります。さらに1フロア分上がり、人工地盤となっている都庁通り下を通ると、都営新宿線/京王新線新宿駅からのワンデーストリートへと連絡します。
西新宿駅E9出口からワンデーストリートまで、通しで歩くと、約1.3kmです。
本当の「最大級ダンジョン」=大手町・銀座エリア
名実ともに、東京最大の地下通路、いや地下通路群を有するのが、この大手町・銀座エリアです。
東京メトロ東西線大手町駅のB9b出口から入り、東西線大手町駅-千代田線大手町駅-都営三田線大手町駅-千代田線二重橋駅-日比谷線日比谷駅-同銀座駅-同東銀座駅の各コンコースを結び、東銀座駅6出口まで、“逆コの字”につながる地下通路は約2.9km続きます。
この間、JR東京駅の地下コンコースから八重洲地下街を通り京葉線地下コンコースにつながるルート、丸の内のオフィスビルの地下から東京駅南側の京葉線コンコースを通り、東京国際フォーラムを抜けるルート、千代田線大手町駅から北に進み経団連会館に至るルートなど、枝道も豊富です。
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このように広がりを見せる東京の地下通路は、さらに拡張しようとしています。東京駅八重洲口の北側、高さ日本一(385m)となるビル「トーキョートーチ」が建設中の常盤橋エリアも、地下道で大手町駅と直結する予定です。また、新宿西口の青梅街道側など、既存の地下通路どうしをつなげ、さらに利便性を高めようという計画も持ち上がっています。
そうしたルートには地下埋設物の移設など少なからぬ工程が必要ですが、完成した暁には、天候を気にせず徒歩移動できる地下通路の価値が、いっそう高まるに違いありません。
09/25 08:12
乗りものニュース