政府に中国への厳しい対応求める声 佐藤正久氏「危険情報引き上げ妥当」 深圳事件1週間

中国広東省深圳(しんせん)で日本人学校に通う日本人男子児童(10)が刺殺された事件から25日で1週間。日本政府は、中国政府に事実に関する明確な説明や反日的なSNS投稿の取り締まり徹底を求めてきたが、日本側が納得できる説明はないままだ。与野党議員からは25日も、日本政府に中国への厳しい対応を求める声が上がった。

事件を巡っては、上川陽子外相が米ニューヨークで23日(現地時間)、中国の王毅共産党政治局員兼外相と会談し、動機を含む事実解明や犯人の厳正な処罰と再発防止、在留邦人の安全確保のための具体的な措置を要請。同時に中国のSNSでの根拠のない悪質で反日的な投稿の早急な取り締まりを求めた。

ただ、王氏は事件について「偶発的な個別事案」と説明し、事件を矮小(わいしょう)化。逆に「日本は冷静かつ理性的に対応し、政治化や拡大化を回避すべきだ」と要求した。

林芳正官房長官は25日の記者会見で、王氏から「それ以上の説明はなかった」と明らかにした。

事件後、現在はレベルゼロとなっている中国の危険情報の引き上げを外務省に求める意見が出ている。25日には外務副大臣経験がある自民党の佐藤正久参院議員がX(旧ツイッター)に「この感度の悪さが、各種問題が矮小化される原因の一つ。日本人の拘束や殺害、知財の没収等を見ても(レベル)0はない」と投稿、引き上げが妥当との考えを示した。

ただ、危険情報のレベルは「政情などを踏まえ、総合的に判断している」(外務省幹部)ため、外務省は直ちに引き上げることには否定的だ。しかし、8月26日には中国軍機が初めて日本の領空を侵犯するなど、「日本はなめられている」(高市早苗経済安全保障担当相)との意見がある中、深圳の事件で妥協的な態度をとれば、国内の批判の矛先は日本政府に向かう可能性もある。

松原仁元拉致問題担当相(無所属)は25日、対中政策を問い直すため、衆院外務委員会の閉会中審査を求めていることをXで明らかにした。

ジャンルで探す