中国・深圳の男児殺害 日本政府、安全確保策検討急ぐ 自民総裁選候補者からは批判や注文

政府は19日、中国深圳(しんせん)市で日本人学校に通う小学生の男児が中国人の男に刺され死亡したことを受け、再発防止策の検討を含め、中国に在留する邦人の安全確保に全力を挙げる方針を示した。中国側から事件を巡る事実関係の詳細な説明が同日午後までになく、自民党総裁選の候補者からは、中国政府への批判や日本政府にさらなる対応を求める声が相次いだ。

「幼い子供を襲う卑劣な行為が行われたことは誠に遺憾だ」。林芳正官房長官は19日の記者会見で、死亡した男児にこう弔意を示した。その上で通学時の安全確保策について「外務省、文科省などが中心となって可及的速やかに検討していきたい」と語った。

外務省の統計によると中国の在留邦人は10万1786人で、そのうち未成年は約1万5000人(令和5年10月現在)。北京や深圳など9都市にある11の日本人学校には、計3300人超の児童や生徒が通学している。

江蘇省蘇州では6月、スクールバスで日本人学校に通う母子が襲われる事件が発生。外務省は令和7年度予算案の概算要求で、初めて中国国内の日本人学校でのスクールバスの警備費として、約3億5000万円を計上し、安全強化を図ろうとしていた。

事件には林氏以外の自民党総裁選の候補者も言及した。高市早苗経済安全保障担当相は「中国当局がいまだに原因、動機、何も明らかにしていない。これも本当に悔しいし、残念だ」と述べた。

石破茂元幹事長は蘇州の事件や中国で米国人が襲撃された事件を挙げ、「偶発的な事件ではないという見方もある」と指摘。「中国がどういう対応をとってきたのか、これから取ろうとしているのか、日本政府として、きちんとした対応を求めるのは当然」と語った。

ジャンルで探す