財政、金利復活で議論 河野太郎氏「財政余力積み上げる」 高市早苗氏「経済成長追求」 総裁選 政策比較(6)

自民党総裁選の9候補は、物価高対策をはじめ国民の生活に寄り添う姿勢をみせることに余念がない。歳出がさらに膨らめば、国・地方の財政の健全性を示す基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)を令和7年度に黒字化するとの政府試算は崩れかねないが、財政を巡る議論は低調だ。

「平時には財政余力を積み上げる努力が必要だ」。最も財政規律を重視するのは河野太郎氏。政策効果が見えない事業にメスを入れ、財政収支や社会保障に関する政府試算を独立機関が検証する仕組みの導入を訴える。

財政政策の重要性が増しているのは、低成長・低インフレ・低金利が長らく続いた日本が、ついに「金利のある世界」に回帰しつつあるからだ。

財務省は7年度予算編成に向け、借金に当たる国債の利払い費として10・9兆円を要求。超低金利時代に大量に発行してきた国債は、償還期限を迎えたものから順に高金利のものに置き換わるため、利払い費はさらにかさむことが予想される。

ただ、多くの候補は、「経済あっての財政」と経済成長を重視する立場だ。早期の衆院解散・総選挙が想定され、経済対策の策定と、裏付けとなる補正予算成立を急ぐ。

小泉進次郎氏は16日の公開討論会で「(デフレを克服する)経済成長型のモデルになってきたところに、水を差してはならない」と語り、単年度のPB黒字化にはこだわらない考えを示した。石破茂氏は23日の討論会で、個人消費の伸び悩みに対し、「財政出動で補ってあげないと経済は回らない」と語った。

一方、積極的な財政出動の主張が目立つのは高市早苗氏と茂木敏充氏。高市氏は「あくまでも、どこまでも経済成長を追い求める」と述べ、成長投資を引き出すための財政出動を主張。茂木氏は成長戦略の推進により「増税ゼロ」を実現すると強調。幹事長としてPB黒字化など政策決定のプロセスにも関わったが、「状況が変わった」として翻意した。=おわり

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