自民総裁選、9候補が沖縄で演説会 基地負担軽減、尖閣防衛、県民所得向上訴える

自民党は17日、那覇市で党総裁選(27日投開票)の演説会を開催し、候補者9人が沖縄振興や県内に集中する米軍基地の負担軽減などについて意欲を語った。尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺などで中国が軍事活動を活発化させる中、安全保障政策への言及も目立った。

最初に演説した沖縄基地負担軽減担当相を兼務する林芳正官房長官は「一日も早く街のど真ん中にある普天間返還を成し遂げなければならない」とし、米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)の名護市辺野古移設を加速させる考えを示した。石破茂元幹事長は「沖縄の基地を(自衛隊と米軍の)共同管理にできないか」と提起し、日米地位協定の改定を目指すとした。

8月下旬には軍機が初めて長崎沖で領空侵犯するなど、中国は日本周辺で軍事的圧力を強めている。台湾有事への緊張も高まっており、政府は沖縄を中心とした南西地域への防衛力のシフトを急いでいる。こうした情勢を踏まえ、安保政策に比較的時間を割いたのが河野太郎デジタル相だ。河野氏は中国の軍事的台頭を念頭に「自衛隊と在日米軍で、どう尖閣を守るか。実際の議論をしなければならない」と述べ、サイバー防御や偽情報対策の重要性を指摘した。

茂木敏充幹事長は、防衛力強化に向け自衛官の処遇改善を訴えた。小林鷹之前経済安全保障担当相は「わが国の防衛力を抜本的に強化し、米国、同志国との連携を強化する」と語った。

上川陽子外相は沖縄県内で米軍関係者による性犯罪が相次いでいることを受けて「基地関係者の性犯罪・性暴力は2度と起こさせないという厳しい姿勢で交渉に臨む」と強調した。

加藤勝信元官房長官は、北朝鮮による拉致被害者全員の帰国を目指すとした。小泉進次郎元環境相は、沖縄の県民所得向上に向けて規制改革の推進を掲げた。高市早苗経済安保担当相は、戦略的な財政出動による経済成長を訴えた。(重川航太朗、小沢慶太)

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