維新、地盤の大阪で異変続き 摂津市長選は不戦敗、府議補選は敗北 舵取り厳しさ増す

地域政党「大阪維新の会」が、地盤の大阪で逆風を受けている。任期満了に伴う22日の大阪府摂津市長選は候補者を擁立できず不戦敗。維新を離党して無所属で同市長選に出馬した元府議は完敗した。同時に行われた同市選挙区の府議補選では公認候補が競り負けた。府内では今年に入って首長選での公認候補の敗北が相次ぐなど潮目が変わりつつある。前回知事選で推薦した斎藤元彦兵庫県知事の疑惑を巡る告発文書問題でも対応が後手に回った影響も重なる。衆院選の足音が近づくなか、昨春の統一地方選で大躍進した維新の変調は、国政政党「日本維新の会」の戦略にも影響しそうだ。

「後継指名を受けたことで市民に安心感を与えられたとおもう。少子高齢化対策など次なる摂津に向けて挑戦したい」。22日夜、摂津市長選で初当選を決めた無所属新人の元市議、嶋野浩一朗氏(51)は話した。

元自民党市議。5期目の現職、森山一正市長(80)から早くに後継指名を受け、着々と準備を進めてきた。自民を離党し無所属で臨んだものの、選挙戦では自民や公明党の市議らがバックアップ。20年務めた森山氏の後継指名もあり終始、優位に選挙戦を展開した。

一方、関係者によると、大阪維新の会も候補擁立に向けて調整を進めていたものの断念。意欲を示していた府議の中川嘉彦氏(55)が維新を離党して市長選に出馬したが、約5800票差の大差で敗れた。維新は、中川氏の後任を決める府議補選での議席死守に注力したが、わずか141票差の僅差ながら敗れ、議席を失った。

維新は昨年4月の統一選で、全国の地方議員と首長の数を改選前から1・7倍の770人以上に増やした。その勢いをかり、日本維新の会も同月の衆院和歌山1区補欠選挙では初めて勝利。今年3月の党大会では、次期衆院選で野党第一党となり与党を過半数割れに追い込むとする活動方針を採択した。

しかし4月の衆院3補選は2選挙区で立憲民主党に敗れ、島根1区の不戦敗を含め全敗。大阪府内でも、藤田文武幹事長の地盤の大東市で4月に行われた市長選では、大阪維新の会の新人が敗れ、6月には大阪維新の会代表の吉村洋文大阪府知事の地元の河内長野市長選に候補を擁立できず、府議補選では公認候補が敗北した。8月には、箕面市長選で大阪維新の会公認の現職市長が敗れ、危機感が強まっていた。

兵庫県知事の告発文書問題をめぐる混乱は続いており、対応が後手に回った維新への風当たりは強い。大阪府内では、次期衆院選で維新と公明が激突する構図が予想されており、これまでの府内の地方選では公明が、てこ入れしたとの見方が強い。さまざまな思惑が絡むなか、維新のかじ取りは一層厳しさを増しそうだ。

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