自民総裁選 愛媛演説会で地方振興、防災で政策競う 聴衆は「物足りない」「具体性ない」

自民党総裁選(27日投開票)に出馬した9候補は18日、全国遊説4カ所目となる松山市での演説会に臨んだ。選挙戦では全国の党員・党友が投じる地方票の行方が焦点となるだけに、各候補は農林水産業の振興や、防災のための国土強靱化を中心に熱弁をふるった。

「地方あっての日本経済を取り戻していく」。最初に登壇した小泉進次郎元環境相(43)は地元・神奈川県の話題を度々披露しながら農林水産業の振興を語った。福島第1原発の処理水放出に伴う風評被害についても「決着をつける」と述べた。上川陽子外相(71)は瀬戸内の地場産業でもある造船業について「日本の中核産業として支援を行っていく」と強調。「アジアや世界の流れを直接地方に取り込む」と述べ、地方空港の国際化推進を掲げた。

石破茂元幹事長(67)は「防災省」設置や避難所の整備を訴えた。ご当地・愛媛の名物を挙げて会場を沸かせ、「いつの時代も国を変え、歴史を変えるのは地方だ」と力を込めた。

茂木敏充幹事長(68)は雇用創出策などを訴え「農林水産業の振興も極めて重要だ」と強調。高市早苗経済安全保障担当相(63)は「令和の国土強靱化」として防災の必要性を語った。小林鷹之前経済安保担当相(49)は「日本各地に世界と勝負できる産業クラスターを作っていく」との構想を披露。林芳正官房長官(63)は、農林水産業と観光業の組み合わせによる地域振興策を訴えた。

加藤勝信元官房長官(68)はスローガンの「所得倍増」を地方でも実現させると訴えた。河野太郎デジタル相(61)は、人口減少社会に対応したAI(人工知能)活用などのデジタル政策の推進を掲げた。

候補者は地方振興策を競った一方で、聴衆からは「物足りない」との指摘も出た。漁業に携わる70代男性は「農林水産業の振興や地方創生というが、どこかで聞いたような話ばかりだった」。別の男性も「各候補とも地方向けの政策を話したのだろうが、実情と少し離れているようで具体性もなかった。もっと安全保障や国防の話を聞きかった」と話した。

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