東京都議補選、不記載事件で自民は苦戦か 8選挙区で候補擁立、「4勝で御の字」

自民党にとって、28日告示の東京都議補欠選挙は党勢回復への正念場となる。9選挙区のうち自民が公認候補を擁立した8選挙区は、いずれも国政野党系の候補らと争う構図となった。勝敗はその地域の衆院選選挙区の情勢にも影響する。ただ、派閥パーティー収入不記載事件で党の処分を受けた国会議員の地元も含まれており、苦戦は避けられない。

「逆風の原因を私自身が作ってしまった。批判があるとすれば、私の国政選挙で自らが受けなくてはならない」

不記載事件で党の役職停止1年の処分を受けた自民の萩生田光一前政調会長は28日、地元の八王子市選挙区に出馬した自民公認候補の出陣式に出席し、こう述べた。

自民都連は25日、党本部で会合を開き、都選出の国会議員が各選挙区に張り付いて支援することを決めた。ただ、萩生田氏の地元・八王子市をはじめ、不記載事件で党員資格停止1年の処分を受けた下村博文元文部科学相の地元・板橋区も今回の8選挙区に含まれており、事件が補選に与える影響は小さくはない。

都知事選では協力関係にある小池百合子都知事が特別顧問を務める地域政党「都民ファーストの会」の候補者とも3選挙区で競合している。自民の都連幹部は「都知事選の協力相手と都議補選で戦うことになり、有権者にとって敵味方がわかりにくい」と漏らす。

補選の欠員9のうち、自民が有していたのは5議席だが、党幹部は「厳しい戦い。4選挙区とれれば御の字だ」と顔をしかめる。

不記載事件の逆風の中、16日投開票の沖縄県議選では自民の候補者全員が当選し、反転攻勢の兆しを作った。とはいえ、秋の自民総裁選も近づく中、都議補選で惨敗すれば、「(岸田文雄)首相を降ろしたい人は当然材料に使う」(衆院東京14区選出の松島みどり元法相)との見方も出ており、補選の結果は今後の政権運営にも影響を与えそうだ。(永井大輔)

ジャンルで探す