目標は「石井さやかのお父さんは野球選手だった」と言われること…「琢朗の娘」テニス全日本初Vで「ちょっと自信」

 今月行われたテニスの全日本選手権女子シングルスで、19歳の石井さやか(ユニバレオ)が初優勝を果たした。プロ野球・DeNAコーチの石井琢朗氏(54)を父に持つ日本女子のホープは、プロ転向から1年半ほどで頼もしい成長を見せている。

全日本選手権女子シングルスで優勝した石井さやか=三浦邦彦撮影

 10代対決となった11日の決勝。1歳下の斎藤咲良(富士薬品)の粘り強いストロークに苦しんだものの、「大事な場面で引かない。ちゃんと強気でいけよ」という父の教えを守り、劣勢でも持ち味の強打を貫いた。試合時間は2時間38分。フルセットまでもつれた熱戦を制し、「大きな大会の決勝で(10代同士の対戦が)できて光栄。最後まで油断できない試合で勝ち切れたことがうれしい」と声を弾ませた。

 8月にはWTAツアーで本戦デビュー。1回戦でツアー5勝を誇る実力者のカテリナ・シニアコバ(チェコ)に敗れたが、最終セットのタイブレイクまでもつれる接戦を演じた。世界の強豪と同じ舞台で戦う機会が増え、「試合後に重りをあげたり走ったりする選手を見る。自分にも必要だと感じた」。これまで以上に体作りにも注力し、1メートル75の恵まれた体格から繰り出すパワーに磨きをかけている。

 今はまだ、通算2432安打を放った石井琢朗の娘として見られることが多いが、「石井さやかのお父さんは野球選手だった」と言われることを目指しているという。一流選手への登竜門とも言える全日本のタイトルを獲得し、その目標にも少し近づいた。「この大会を優勝して、お父さんにちょっと歯向かえるというか、そこの自信もちょっとつきました」。いたずらっぽい語り口には、確かな決意もにじんでいた。(森井智史)

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