「3位以内は欧州ツアー出場権獲得」じゃないの!? 昨季のMR2位と3位が欧州ツアーに1試合しか出ていない理由とは?

22年から国内男子ツアーの賞金ランキング上位3人には欧州ツアー(DPワールドツアー)の出場権が与えられることになった。ところが、いざふたを開けてみると昨年の賞金ランキングで2位に入った蝉川泰果は0試合、3位の金谷拓実は1試合しか欧州ツアーには出場していない。来季もそのシステムは継続されるが、なぜ出場試合数がそれほどまでに少なかったのだろうか。

出場優先順位が低くなった2、3位の選手

 国内男子ツアーの賞金ランキング上位3人が欧州ツアー(DPワールドツアー)の出場権を獲得できるシステムはまさに画期的だった。22年の賞金ランキング1位となった比嘉一貴はもちろん、2位の星野陸也、3位の岩崎亜久里もこぞって23年は欧州ツアーに参戦した。ちなみに、比嘉は19試合、星野は20試合、岩崎は14試合出場している。

 比嘉と岩崎はシード権を獲得できなかったが、星野はポイントランキング81位に入り、24年の出場権を獲得。さらに今季はポイントランキング16位となり、25年PGAツアーで戦う権利を得た。

 新たなPGAツアーへのルートとして本来なら注目されるべきだが、今年から風向きが変わってきた。23年の賞金王となった中島啓太こそ13試合に出場できたものの、賞金ランキング2位の蝉川泰果は0試合、3位の金谷拓実は1試合しか出場していないのだ。

昨季賞金ランキング2位の蝉川泰果(右)は0試合、3位の金谷拓実は1試合しか欧州ツアーに出場していない 写真:JGTOimages

昨季賞金ランキング2位の蝉川泰果(右)は0試合、3位の金谷拓実は1試合しか欧州ツアーに出場していない 写真:JGTOimages

「欧州ツアーに参戦するつもりで準備をしていましたが、それが叶うことはありませんでした」と、金谷は語るが、現地でウエイティングをしたものの、出場できない試合が少なくなかったという。

 なぜ、たった1年でこのような状況に陥ったのだろうか。単純にいえば、日本の賞金ランキング2位、3位の出場カテゴリーが低くなったからだ。今季も昨年と同じカテゴリー18に該当していたが、その中で微妙な変化があり、2位、3位の選手は欧州ツアーのQTランキング21人よりも低くなった。シード選手が110人いるうえに順シード選手なども含めたら、なかなか出場権が回ってこないのも仕方ないだろう。

 25年シーズンも同様のカテゴリーになるだけに、やはり賞金ランキング2位、3位の選手では出場試合数はそれほど期待できない。実際、今年の賞金ランキング2位となった平田憲聖は次のように語る。

「今年の感じでいくとほぼ出場できないと思います。1、2試合出るっていうのは今のところ考えていません」

 フル参戦できてこそ価値があるのであり、その保証がなければ、わざわざ現地にいく意味がないと考えるのが普通だろう。また、賞金ランキング3位に入ったショーン・ノリスは欧州ツアーには魅力を感じておらず、来季も国内ツアーをメインに戦うと決めている。

 賞金王の金谷は米ツアーのQスクールをセカンドステージから出場し、平田はファイナルステージから出場する。そこで上位に入ればPGAツアー、もしくは2部ツアーであるコーンフェリーツアーに参戦できる。その結果次第でもあるが、仮に失敗したとしても、欧州ツアーに来季参戦するのは金谷ぐらいだろう。

 せっかくのいいシステムではあるが、賞金ランキング2、3位のエントリー資格を上げるには、やはり今以上に海外の試合で日本選手が活躍するしかないのだろうか。

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