プロを見習ってパッティングはグローブをはずしたほうがいい? “はめる・はめない論争”よりよっぽど重要なことって何!?

グローブは握力を補完したり、手とグリップの間で生じる摩擦から手を保護するなどの目的でつけるのが一般的です。一方で、グリーン上でのパッティングのときだけ、グローブをはずしているプロゴルファーを見かけることもあります。

練習とコース上での「条件をそろえる」ことが重要

 一般的に、ゴルフをする際はグローブをはめることが推奨され、ビギナーがはじめに買いそろえるべきアイテムともいわれます。右利きのゴルファーは左手のみにはめることが一般的で、握力を補完するために重要なものです。手とグリップの間で生じる摩擦から手を保護するためでもあります。

右利きの人は左手にはめるのが一般的 写真:PIXTA

右利きの人は左手にはめるのが一般的 写真:PIXTA

 しかし、プロのトーナメントなどでは、グリーン上でのパッティングのときだけグローブをはずし、ポケットにしまっている場面を見かけることもあります。

 パッティングの際、グローブははめない方がいいのでしょうか。レッスンプロの山本昌夫氏は以下のように話します。

「パッティングは普通のショットとは異なり、距離感や方向性においてとても繊細な調節が求められ、ほんの少しストロークに強弱をつけたり打つ向きの角度をずらしたりするだけで、結果に大きな違いが生まれます」

「そこに芝目や傾斜、気象条件や芝のコンディションの変化などが加わると、より一層細かな計算が必要となります」

「グローブをはずすと、こうした一つひとつの小さな情報を敏感に察知し、精密なタッチで打ってカップインする確率を上げられるというメリットがあります」

「大事なのは、練習とコース上の感覚をできるだけ合わせること。練習グリーンでは素手で打っていたのに、コースの本グリーンではグローブをはめるといったことがあると、せっかく身体に染みついてきたパットの感覚が狂い、練習で入っていた距離が入らなくなってしまう可能性もあります」

「本番ではめるなら練習でもはめる、もしくは本番ではずしたいのなら練習でもはずしたままパットをするのがいいでしょう」

 アメリカのプロゴルファーであるフレッド・カプルスは、パターに限らずドライバーやアイアンも含め、全てのクラブを「ノーグローブ」で振っています。彼は幼少期から常にグローブをしないでゴルフをしてきたので、試合だからといって慣れないグローブをはめると、いつもの調子が出なくなってしまうと考えているのです。

 ほとんどのゴルファーはプレー前に練習を行っているはずですが、ただボールを打って身体を慣らせばいいわけではありません。いかに本番と同じ状況を作れているかどうかが重要なのです。

 また山本氏によると、パターの練習においては触覚の狂いをなくすために、グローブの「はずす・はずさない」を統一するとともに、インパクトの感触やボールの転がり方も忠実に再現できるよう、ラウンドと同じボールを使用することも大切だそうです。

グローブをはずさない人はどんな理由ではめたままなの?

 では、パッティングでグローブをはずすのには、どのようなデメリットがあるのでしょうか。山本氏は以下のように話します。

「より感覚を研ぎ澄ませ、繊細なタッチで打てるようになるというのがグローブをはずすメリットですが、なかには『グローブをはずすとかえってデリケートになりすぎる』と考えている人もいます。そのため、パットでもグローブははめたままにして、自分に変なプレッシャーを与えないという人もいるでしょう」

「『毎ホールごとにグローブをつけはずしするのが面倒』『時間がかかってスロープレーにつながってしまう』というのもデメリットとして挙げられると思います」

「また、通常右利きのゴルファーは左手のみにグローブをはめますが、日差しの強い夏場では左手と右手で日焼けの具合に差が生じる場合もあります。そのような理由から女性を中心に両手にはめる人が増えているとともに、両方はずさないという選択肢も浸透しつつあるのではないでしょうか」

 ほかにも「グリップが滑りそうな気がする」「そもそもパットが不安定なアベレージゴルファーだから、はずしたところで意味がない」「はずした後にポケットに入れていたら落とした経験がある」などの理由で、はめたままにしている人もいるようです。

 いずれにせよ、練習で培ってきた感覚を狂わせないためにも「はずすなら、はずす」「はずさないなら、はずさない」を徹底すれば、緊張感あるパッティングも難なくこなせるようになるでしょう。

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