「トラヴィル」の牙城を崩すシャフトはどれ? アイアン用カーボンシャフト「ラウネ」&「リコイルダート」を試打してみた

アイアン用複合カーボンシャフトはフジクラ「TRAVIL(トラヴィル)」が圧倒的な人気を博しています。その人気を脅かそうと、同社のライバルであるグラファイトデザイン、UST Mamiyaの両社からも複合カーボンシャフトが発売されています。その2社のシャフトの特徴をインドアゴルフレンジKz亀戸店・筒康博ヘッドコーチが試打検証しました。

人気シャフトメーカー2社の新設計アイアン用シャフトを試打

「ベンタス」「スピーダー NX」などのウッド用シリーズで絶大な人気を誇る藤倉コンポジット。新シャフト「TRAVIL(トラヴィル)」はアイアンショットの落下角度を大きくし、グリーンを上から狙える複合カーボンシャフトです。

グラファイトデザインからは「RAUNE(ラウネ)」、USTマミヤからは「Recoil DART(リコイルダート)」というアイアン用複合カーボンシャフトが新発売された

グラファイトデザインからは「RAUNE(ラウネ)」、USTマミヤからは「Recoil DART(リコイルダート)」というアイアン用複合カーボンシャフトが新発売された

 発売直後からプロ・アマを問わず大人気で、現在75、85、95、105、115と幅広い重量帯がラインアップされています。

 しかし、フジクラとウッド用シャフトの人気を分け合うメーカー2社からもアイアン用複合カーボンシャフトは発売されています。

「ツアーAD」が人気のグラファイトデザインからは「ラウネ」、「ATTAS」「LIN-Q」が人気のUSTマミヤからは「リコイルダート」です。これによりアイアン用複合カーボンシャフト市場でも、ゴルファーはより多くの選択肢の中から最適なシャフトを選択できるようになりました。

落下角度を大きくしてグリーンを上から狙えるフジクラ「TRAVIL」は発売直後から大人気。現在75〜115まで豊富な重量帯がラインアップ

落下角度を大きくしてグリーンを上から狙えるフジクラ「TRAVIL」は発売直後から大人気。現在75〜115まで豊富な重量帯がラインアップ

 今回は「ラウネ」と「リコイルダート」という2モデルを試打・計測して特徴をチェックしました。

初速と打出角がアップし高さでグリーンを狙う「ラウネ」

 長年「ツアーAD」シリーズでプロ・アマを問わず絶大な支持を得ているグラファイトデザイン。同社の技術が結集されたアイアン用複合カーボンシャフト「ラウネ」は、軽量スチールよりも軽快に振り切りたいという平均的なヘッドスピードのゴルファーを対象に作られたモデルです。女子プロの試打でも非常に高い評価を得ています。

カーボンシャフトの大きな特長である「滑らかで大きなしなり」がボール初速&打出角を上げてくれる。最近のアイアンヘッドにピッタリな性能

カーボンシャフトの大きな特長である「滑らかで大きなしなり」がボール初速&打出角を上げてくれる。最近のアイアンヘッドにピッタリな性能

「狙う」というコンセプトでウェッジ用シャフトから開発が始まったラウネにはi60、i75、i90、i105という4つの重量帯がラインアップされていますが、今回はi75を試打・計測しました。

「カーボンシャフト特有の滑らかで大きな『しなり』が感じられ、さらに先端のねじれはギリギリまで抑えられた新鮮な振り心地です。軽快にスイングできて、結果としてボール初速と打出角がアップしました」

「高めの弾道のまま、空からグリーンを狙えるという不思議なフィーリングはクセになりそうです。シャフトを計測し剛性(EI)分布グラフを作ってみると、グリップ内でしっかりと操作しつつ、先〜中間部のしなりエネルギーが非常に大きくなることが分かりました」(筒)

 飛び系アイアン使用ゴルファーで「もっと楽に弾道の高さやボール初速をアップしたい、でもブレるのは嫌い」というワガママなニーズにハマりそうなシャフトです。

スチールライクな挙動で「的」を狙い撃ちできる「リコイルダート」

「ATTAS」「LIN-Q」シリーズが人気のUSTマミヤから発売された「リコイルダート」は、世界800万本の出荷実績を持つ「リコイル」のアップデートモデル。その名のとおり、ダーツのようにピンポイントで的を狙うコンセプトのアイアン用シャフトです。

世界800万本ベストセラーモデル「リコイル」をアップデートしたのが「リコイルダート」。先端部の余計なねじれとつぶれを抑制し、スチールシャフトに近しい挙動を実現している

世界800万本ベストセラーモデル「リコイル」をアップデートしたのが「リコイルダート」。先端部の余計なねじれとつぶれを抑制し、スチールシャフトに近しい挙動を実現している

 カーボン積層を部分的に変えることで、しなるべき場所はしなり、ねじれとつぶれを抑えたい場所は強くと、設計自由度を生かした中調子になっています。重量帯は80、90、105のラインアップで、スチールシャフトを使用するゴルファーもスムーズにスイッチができるでしょう。

「スチールライクなしなり&挙動の中に、インパクトのしっとりとした打感がある、今までにない不思議なフィーリングです。決して硬さは感じず、中弾道の力強いアイアンショットが打ちやすいのが印象的でした」(筒)

 中〜軽量アイアン用スチールシャフトは、日本シャフトの「N.S.プロ」「モーダス」「ゼロス」を初めとして非常に選択肢が広くて愛用者が多いカテゴリーです。しかし、インパクトの衝撃が少なく設計自由度が高い複合カーボンシャフトも、女子プロやトップアマに使用者が増加中。これからさらに人気が高まりそうです。

 使用モデルのヘッド特性を見極めつつ、もっとスピードが欲しいのか、スピンや弾道高さが欲しいのかニーズを明確にし、振りり心地やタイミングを試打で確認して複合カーボンシャフト選択をしましょう。そうすればパーオン率アップが期待できます。

【解説】筒 康博(つつ・やすひろ)

伝説のプロコーチ・後藤修に師事。世界中の新旧スイング方法を学び、プロアマ問わず8万人以上にアドバイスを経験。スイング解析やクラブ計測にも精通。ゴルフメディアに多数出演するほか「インドアゴルフレンジKz亀戸」ヘッドコーチ、WEBマガジン&コミュニティー「FITTING」編集長やFMラジオ番組内で自らコーナーも担当している。

ジャンルで探す