フランス発のブランド「ARGOLF(アールゴルフ)」 最先端の精密機械加工メーカーが作った高級パターってどうなの?

航空・宇宙産業などの精密機械加工部品メーカーから生まれたメイドイン・フランスのゴルフブランド「ARGOLF(アールゴルフ)」。そのパターシリーズに新モデルが追加されました。どんなクラブなのか、東京・渋谷にある「ARGOLF PUTTING STUDIO」で話を聞きました。

フランスの技術とデザインが融合した新進気鋭ブランドのARGOLF

 フランスで60年近い歴史を持つ精密機器メーカー「Armor Meca」社を経営するColas兄妹が、2010年に設立した「ARGOLF(アールゴルフ)」。

 最新の生産技術と精密機械加工を専門とするフランスの自社工場で、1本ずつ金属ブロックからクラブを削り出ししているブランドです。あえて大手ゴルフ量販店での展開はせず、販売はセレクトショップと直営スタジオのみとなっています。 

名刀「政宗」にインスパイアされた「Masamune DORER(マサムネドレール)」は、親日家でもあるARGOLFデザイナーのオリバー・コラス氏が美しさを徹底的に追求したブレードパター

名刀「政宗」にインスパイアされた「Masamune DORER(マサムネドレール)」は、親日家でもあるARGOLFデザイナーのオリバー・コラス氏が美しさを徹底的に追求したブレードパター

 パターからスタートしているブランドだけに、現在も主力はパターです。渋谷区にある「ARGOLF PUTTING STUDIO」では最適なパターと正しい操作方法をマンツーマンで教えてくれていて、自信を持ってパッティングができるようになるフィッティングサービスも行っています。

 今回は2つの新パター「Masamune DORER(マサムネ ドレール)」と「Lancelot Plus(ランスロット プラス)」、そして「Caliber Hockey Grip(キャリバーホッケーグリップ)」、「センターシャフト用ダブルベンドシャフト」について、ARGOLFデザイナーのオリバー・コラス氏に話を聞きました。

 まずは、親日家でもあるコラス氏が名刀「政宗」にインスパイアされて作り上げた「Masamune DORER(マサムネ ドレール)」。日本で得た情報を具現化したという日本限定モデルです。

 ヘッドはフランスの自社工場で高級ステンレス素材「GSS316L」のブロックから削り出したもの。「最高」を形にするために美しさと気品のあるデザイン&カラーリングと、安定した転がりと打感が得られるフィーリングが特徴です。

 コンパクトなブレード型ながらヘッド重量370グラムと重めで、ストローク中のヘッド挙動を安定させる設計になっています。

ランスロットプラスは精密削り出しの高MOIのブレードタイプ

 シンプルなデザインのブレード型「Lancelot Plus(ランスロットプラス)」は、非常にソフトな打感を生む高級ステンレス素材「GSS304L」削り出しパター。

シルバー&ブラックPVD仕上げの「Lancelot Plus(ランスロットプラス)」は、シンプルながらトゥ&ヒールに重量配分されたヘッド総重量370グラムの高MOIブレードパター

シルバー&ブラックPVD仕上げの「Lancelot Plus(ランスロットプラス)」は、シンプルながらトゥ&ヒールに重量配分されたヘッド総重量370グラムの高MOIブレードパター

 ブレードパターならではの操作性を持ちながら、トゥ&ヒールに重量配分を施したヘッド重量370グラムの高MOIモデルです。ショートスランクネックとの組み合わせで、ターゲットに対してスクエアに構えやすいのも特長といえます。

 MOIが大きな理由はトゥ&ヒールに40グラムの重量があること。これによってミスヒットに対する寛容性をプラス。またヘッドが重くなることでバックストロークとトップの位置が安定し、距離感の再現性が高くなり打感もよりソフトになっています。

「シャフトがほぼグリップ」なキャリバーホッケーグリップ

「シャフト全体がほぼグリップ」と思える強烈な印象を与える「Caliber Hockey Grip(キャリバーホッケーグリップ)」は、手の感覚を生かした自由なストロークに対応した特殊グリップです。

37インチと41インチ仕様がある「Caliber Hockey Grip(キャリバーホッケーグリップ)」は、主成分がカーボンの長尺グリップを採用した特殊パター

37インチと41インチ仕様がある「Caliber Hockey Grip(キャリバーホッケーグリップ)」は、主成分がカーボンの長尺グリップを採用した特殊パター

 R&AおよびUSGAルールにも適合したカーボン主成分のグリップで、名前のとおり左右の手を離したホッケーのような持ち方も可能です。

「ARGOLF PUTTING STUDIO」の松尾俊介氏によると、パターのバランスポイントの近くに利き手を持ってくことで、感性を生かした自由でスムーズなストロークができるとのこと。ショートパットが「鬼入る」データもあるそうです。

 ここまでグリップとヘッドが近くにあれば、手でボールを転がす感覚で打つ、本能的なパッティングができます。

パッティングを科学し尽くして生まれたセンターシャフト用ダブルベンドシャフト

 工業デザイナーでもあるコラス氏は、車のデザインやアーサー王伝説の登場人物、そして大型のエイやマンタからヒントを得て「ペンドラゴン」「ウーサー」「モルドレッド」「アヴァロン」という4タイプのヘッドをデザインしました。その4タイプのセンターシャフトヘッド用にと独自に作り上げたのが、このダブルベンドシャフトです。

 従来の曲がり(ベンド)ないストレート棒状のセンターシャフトには、「フェースが前に出すぎて構えづらい」「プッシュアウトしやすい」などの声がありました。そこで、スチールシャフトの老舗メーカーである島田ゴルフ協力のもと、専用のダブルベンドシャフトをヘッドに装着。

ストレートシャフトが定番のセンターシャフトモデルにダブルベンドシャフトを装着するという斬新な発想から生まれたパター(写真はモルドレッド)

ストレートシャフトが定番のセンターシャフトモデルにダブルベンドシャフトを装着するという斬新な発想から生まれたパター(写真はモルドレッド)

 シャフト軸線とフェースラインが一致することで、構えやすくてストロークの最下点でヒットできるパターとなりました。

 もともと直進性の高いヘッド性能にセンターシャフトタイプの長所をミックスしたのですから、方向性やボールの転がりが向上できたというのも納得です。

 ARGOLF JAPANの岩田直樹氏は「4タイプのパターはどれも個性的ですがARGOLFらしいものです。少しでもパッティングを向上してもらうための新製品で、スタジオで試打もできます」とのこと。「ARGOLF PUTTING STUDIO」で一度じっくり「自分のパターの相性」も診てもらいながら試打してみてはいかがでしょうか。

【解説】筒 康博(つつ・やすひろ)

伝説のプロコーチ・後藤修に師事。世界中の新旧スイング方法を学び、プロアマ問わず8万人以上にアドバイスを経験。スイング解析やクラブ計測にも精通。ゴルフメディアに多数出演するほか「インドアゴルフレンジKz亀戸」ヘッドコーチ、WEBマガジン&コミュニティー「FITTING」編集長やFMラジオ番組内で自らコーナーも担当している。

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