女子プロに大人気「スピーダーNX」シリーズ全4モデルの違いを解説! 気になる新作「バイオレット」の特徴は?
いま大人気のドライバーシャフトといえば「スピーダーNX」シリーズでしょう。しかし、種類が多いためどのモデルが自分に合うのか分からない人も多いと思います。今回は現在、国内で販売されているスピーダーNXシリーズの違いを人気フィッターの石井建嗣(いしい・たけし)さんに聞きました。
2021年の9月に初代の「NX(ブルー)」が登場した
国内女子ツアーで圧倒的な勝率と使用率を誇るシャフトといえばフジクラの大人気シャフト「スピーダーNX」シリーズでしょう。今年の9月に最新の「スピーダーNXバイオレット」が発売され、シリーズもすでに4代目となりました。4代目ともなると、どれが自分に合うNXか分からないアマチュアゴルファーも多いはず。ということで今回は初代のNXから最新のバイオレットまでを比較してどういった違いがあるかを説明しようと思います。
そもそもNXシリーズはそれまでの「エボリューション」シリーズと違って「トルク」という概念に着目したシャフトです。エボリューションシリーズまでは「調子」を軸にシャフトの開発がされていたのですが、NXシリーズからはそこに「トルク」という要素を加えて、さらに複雑な設計になっています。フジクラさんはこれを「新次元」と表現していますが、まさに他社メーカーさんが取り組んだことがない新設計で個人的にもかなり興味深い印象を受けています。それではここから個々のシャフトの説明に移行しましょう。
まず、初代のNXですが2021年の9月に発売されました。色が青色なので今回は分かりやすいようにNXブルーと表現します。発売当初、ほとんどの女子プロが試したのではないかというくらいツアーで人気になったシャフトです。中調子の振りやすさでありながら弾道の高さをキープ出来る、さらにつかまりも良いというまさに女子プロが望んでいたシャフトといえます。
続いて22年10月に登場した2代目がNXグリーンです。ある意味、最も「ベンタス」シリーズに近いNXといえるのですが、ブルーだと少し球が上がりすぎる、つかまり過ぎるというゴルファーにドンピシャにハマったシャフトです。ブルーよりもヘッドスピードが出やすく、初速も出しやすいということで、未だにこのシャフトを使っている女子プロも見受けられます。ただブルーより捕まらないといいましたが、決して捕まらないシャフトではなくNXシリーズの中では飛距離と安定性のバランスが一番取れているシャフトといえるでしょう。
「NXブラック」だけが唯一先中調子
23年9月に登場した3代目がNXブラックです。今回紹介する4本で唯一、中調子でないシャフトになります。調子は先中調子で、過去モデルでいえばスピーダーエボリューション7に近いイメージです。ただ、あえて走る先端部のトルクを締める事でヘッドの挙動を安定させ、先調子のデメリットを払拭したシャフトといえます。先調子特有のボールの捕まり、高弾道と言うメリットを残しながら安定性も高めた最新型先調子シャフトです。
そして、今年の9月12日に発売となったのが最新のNXバイオレットです。従来のカーボンシートの巻き方を変えるというまさに新発想過ぎる考え方で、ヘッドスピードの向上を実現するという新たなテクノロジーを搭載しています。シャフトのベースは初代のブルーに近いのですが、ブルーの振り心地にヘッドスピードアップが加わった、まさに現状最強スピーダーといっても過言ではないシャフトです。
このように個々の違いを見ていくと、同じNXシリーズでもけっこう異なることが分かります。最後に簡単にまとめてみると、捕まりやすい順でいうと、NXブラック→NXブルー→NXバイオレット→NXグリーンとなります。弾道の高さの順番もほぼ同じ流れといえるでしょう。ただ前述した通り、最新のNXバイオレットの開発ベースは初代のブルーです。バイオレットの登場に伴い、ブルーは2024年12月末を持って生産終了となります。私のフィッティングにおいては未だにブルーが合う方も一定数いますので、もしブルーの振り心地が好きという方は購入を急いだ方が無難です。来年以降もどんなNXが登場してくるか私自身もすごく楽しみです。
【解説】石井 建嗣(いしい・たけし)
香川県丸亀市で「ゴルフショップイシイ」を営むクラブフィッター。フィッター界の第一人者である浅谷理氏に師事し、クラブ&パターフィッター、TPIインストラクター、ゴルフラボ公認エンジニアの資格を持つ。ゴルフはHDCP「9.9」の腕前だが、自身のプレーより他人のクラブを“診る”ことに喜びを感じる職人肌。出演するYouTubeチャンネル「ズバババGOLF」では軽快なトークで人気を集める。
10/23 15:10
ゴルフのニュース