クラフトマンが警鐘! クルマのトランクにキャディーバッグを放置する危険性とは?

億劫でいちいち積み下ろししないという人も少なくないですが、夏場の車内にキャディーバッグを放置すると、クラブにどのような悪影響があるのでしょうか?

接合している接着剤が溶けてヘッドが抜けてしまう可能性がある

 毎回キャディーバッグの積み下ろしをするのが億劫で、常にクルマのトランクに保管しているゴルファーは少なくないはずです。

キャディーバッグは億劫がらずに1回ずつ下ろすようにしましょう

キャディーバッグは億劫がらずに1回ずつ下ろすようにしましょう

 しかし、猛暑が続く夏の車内にキャディーバッグを長時間放置することは、クラブを傷める原因となります。ゴルフ工房 ON&OFF(千葉県佐倉市)の店長でクラフトマン歴25年の桑原信明氏は、以下のように話します。

「シャフトとヘッドは接着剤で接合されているのですが、ボールを打つなどの衝撃に強い反面、熱に弱い特性があります。実際、シャフトとヘッドを抜く際は、ヒートガンと呼ばれるドライヤーのような道具で温めることによって取り外します」

「同じように夏の車内では、かなり高温の状態で数十時間以上放置されることになるので、接着剤の強度が弱まっていきます。その状態のまま練習場でボールを打っていると、だんだんヘッドが浮いてきて、あるときシャフトから外れて飛んでいってしまう可能性があります」

 JAF(日本自動車連盟)が炎天下の車内温度を調べた実験では、50度を超える時間帯もあり、かなりの高温状態であることが分かります。グリップに関しても熱に強くはないので、せっかく新品に交換したにもかかわらず粘着性がすぐ薄れてしまうこともあるそうです。実際、練習場でヘッドが抜けるゴルファーが増加していると桑原氏は話します。

「私の工房は練習場と併設されているので、一般的な路面店に比べて『ヘッドが抜けて飛んでいってしまった』『ソケットが浮いてきているんだけど…』と相談にくる人が多いのですが、みなさんが想像している以上に頻繁にあります。特にメーカーのカタログに載っていない、ホームセンターなどで売っている安価な鋳造アイアンが抜けてしまうケースが多い印象です」

「作業をしていると『またこのモデルのクラブか…』と感じることが多々あります。ヘッドにシャフトを埋め込んでいる接着面が浅いなど、さまざまな要因がありますが、もし7番アイアンが抜けたとしたら、他の番手も傷んでいる可能性があります」

 何かしらクラブに異変を感じた場合は、すぐに確認してもらうことが大切だそうです。

ソケットの浮きはヘッドが抜ける前兆の場合も

「ゴルファーのなかには、ヘッドが抜けて飛んでいってしまう発想がそもそもなく、ソケットが浮いてきても気にせず使っていたり、お店に来ても『まあ、とりあえず大丈夫です』といって帰宅してしまったりする人もいます」

「多少浮いてる程度であれば問題なく打ててしまうこともありますが、万が一ラウンド中にヘッドが抜けて、同伴者に当たってしまうと取り返しのつかない事故が起こってしまう危険もあります。『日常的にトランクにキャディーバッグを放置していた』『何十年も同じクラブを使用している』など、なにかしら不具合が起きそうな要因がある人はソケットの浮きなど破損のサインを注意深くチェックしましょう」

 キャディーバッグは高温になりやすい場所をなるべく避け、なおかつ湿度の低いところに保管するのが最適だそうです。今年は9月以降も残暑が厳しく、秋の訪れが遅くなると気象庁も予想しているので、まだまだ注意が必要です。キャディーバッグを車内に放置するのはなるべく避けたほうが良いでしょう。

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