ウソ! クラブが当たりそうなのに救済されないの!? 解説動画が120万再生の知っておくべき障害物のルールとは?

「動かせない障害物」からの救済は、ゴルフの腕前に関係なく、誰もがしばしば“お世話になる”ことなので、その処置も周知のことと思います。では、「動かせない障害物」がプレーの障害になっても救済を受けられないケースとは?

球がペナルティーエリアにある場合「動かせない障害物」の救済は受けられない

 ボールがジェネラルエリアやバンカー内、またはグリーン上にあるとき、「動かせない障害物」による障害が生じた場合、プレーヤーはその状態から無罰で救済を受けることができます。ただし、グリーン上を除き、この障害とはボールが「動かせない障害物」に触れている、またはその中や上にあるとき。もしくは、「動かせない障害物」が意図するスタンス区域や意図するスイング区域の物理的な障害となるときです。

「動かせない障害物」がプレーの線上にあって、視覚的・心理的な障害になる場合は、ルール上、障害が生じたとはみなされません。

「動かせない障害物」からの救済は、ゴルフの腕前に関係なく、誰もがしばしば“お世話になる”ことなので、その処置も周知のことと思います。では、「動かせない障害物」がプレーの障害になっても救済を受けられないケースとは?

USGAのインスタグラム(@usga)より

USGAのインスタグラム(@usga)より

 それはボールがペナルティーエリアにあるときです。そのことを簡単に解説する全米ゴルフ協会(USGA)のインスタ動画が現時点で120万回を超える再生回数をカウントしています。それだけ多くのゴルファーに関心を持たれるテーマなのでしょう。

 その動画では、レッドペナルティーエリア(赤線が引かれてある)内の池や川などの水域に架かる橋がストロークの邪魔になるケースが取り上げられています。

 まず、ボールが赤線の手前、つまりジェネラルエリアにあるときは、プレーヤーは無罰の救済を受けることができます。その処置は、橋による障害を避けられる、ボールから最も近く、かつホールに近づかない地点(=完全な救済のニヤレストポイント)を決め、そこを基点に、ホールに近づかない1クラブレングスの救済エリア(ただし、この場合はジェネラルエリアに限られる)にドロップし、同エリア内に止めなければなりません。

 一方、ボールがペナルティーエリアにある場合は「動かせない障害物」からの救済を受けることはできません。橋がストロークの邪魔になってもそのままストロークする。もしくは、レッドペナルティーエリアから1罰打の救済を受けることになります。

 2022年の「ヤマハレディースオープン葛城」の3日目。初日から首位の座を守っていた西郷真央は、5番パー5で2オンを狙った一打がフォローの風に押されてグリーンをオーバー。ボールはグリーン奥の池に転がり落ちるか、と思われたのですが、ラッキーなことに、グリーン左奥に架かる橋にヒット。しかも、ボールはペナルティーエリアの縁を示す赤杭の10センチほど手前まで跳ね返ってきたのです。

 そのままではバックスイングのクラブが橋に当たったのですが、もちろん彼女は「動かせない障害物」である橋からの救済を受けてドロップ。このホールをバーディーとして、そのまま最後までトップの座を堅守。このトーナメントを制し、2週連続優勝を果たしました。

「ペナルティーエリア」の定義を確認

 同じ「動かせない障害物」がストロークの邪魔になっても、プレーヤーのボールがペナルティーエリアの内か外かで「救済」は変わります。

 そのペナルティーエリアの縁ですが、まず線(多くの場合は赤線)で示されている場合は、ボールの一部でもその内側にあれば、ペナルティーエリア内のボールです。ゴルフ規則の「定義」上、線自体はペナルティーエリア内なので、ボールの一部でも線に触れていたり、線の上方にあれば、同エリア内です。

 一方、杭で示されている場合は、地表レベルで杭と杭の各外側(ジェネラルエリア側)を結んだ線がペナルティーエリアの縁で(杭自体はペナルティーエリア内)、ボールがその線の内側に(一部でもその線の上方に)あればペナルティーエリア内のボールです。

 もし、海、湖、池、川、排水路といった明らかな水域にもかかわらず、ペナルティーエリアの縁を示す線や杭がない場合はどうでしょう?

「定義」では、「コース上のすべての水域(委員会によってマーキングされているかどうかにかかわらず)」は、そのとき水がなくても「ペナルティーエリア」となっています。そして、その縁は「委員会が水域の縁を定めていない場合、ペナルティーエリアの縁はその自然な境界によって定める(つまり、水を溜める窪みの傾斜が始まる所)」と書かれてあります。

 さらに、「ペナルティーエリアの色を委員会がマーキングしていなかった、特定していなかった場合はレッドペナルティーエリアとして扱う」とも定義されていますから、そのなかにボールが止まった場合は「ラテラル救済」(ボールがその縁を最後に横切った地点から2クラブレングスの救済エリアにドロップ)を受けることができます。

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