スタート前に練習すると逆にスコアが悪くなる気が… 直前練習がスコアメイクに役立たない理由とは?

ラウンド前に入念に練習したときに限って、スコアがボロボロだった経験があるアマチュアは多い。なぜ、スタート前の練習がそれほどスコアメイクに役立たないのでしょうか。

スタート前に練習してもいいスコアで回れるとは限らない

 直近のスコア履歴を眺めていたところ、あることに気づきました。スタート前にショット練習したラウンドのスコアが悪くて、練習しなかったときのスコアがよかったのです。

 その理由には心当たりが1つあります。このところ1カ月に1回くらいのペースでラウンドしているゴルフ場は練習場がないので、スタート前にショット練習ができません。筆者は練習場があれば必ず利用しますが、練習場がなければ素振りを入念に行なってからスタートします。

スタート前練習は当日のスコアにはそれほど影響がない? 写真:PIXTA

スタート前練習は当日のスコアにはそれほど影響がない? 写真:PIXTA

 ボールを1球も打っていない状態でスタートしますから、最初のティーショットはものすごく慎重に打ちます。飛距離は出なくてもいいから次打でグリーンが狙えるところに打とうとしますし、グリーンが狙えないときはすぐに3オン狙いに切り替えます。そうするとボギーオン2パットのボギーで無難なスタートを切ることができます。

 そして2ホール目以降も打ってはいけない危険なエリアが頭の中に入っています。だからといってすべての危険を避けられるわけではありませんが、大叩きのリスクは少なくなります。

 一方で、スタート前にショット練習すると、その日の調子が何となく分かります。「狙ったところよりも少し左方向(右方向)に飛ぶな」とか、「普段よりもドロー回転(フェード回転)が強いな」という傾向を把握することができます。

 その傾向に基づいてティーショットの狙いどころを微調整します。左方向に飛ぶなら右サイドを狙います。ドロー回転が強いときもやや右を向きます。しかしながら、この微調整がうまくいった試しがありません。右サイドを狙って右の林に打ち込んだり、右サイドを狙ったのに強いフック回転がかかって左サイドのラフに飛び込んだりします。

 それくらいならまだしも、練習場では1球も出なかったテンプラやチョロが出ることもあります。「練習場ではそれなりショットだったのに、なんで本番ではそんな球が出るの!?」とビックリします。スタート前にショット練習をしていないときは「仕方がない」と諦めがつくのですが、練習したときは裏切られた気持ちになるのです。

 このような悩みをツアープロに打ち明けると、次のような答えが返ってきます。

「練習場では調子がよくてもコースに出ると狙いどおりに打てないのはプロも一緒ですよ。スタート前のショット練習は、プロ野球のピッチャーがマウンドに上がる前にブルペンで投球練習しているのと同じです。バッターに打たれる心配がないから狙ったところに投げることができます」

「でもマウンドに上がると甘い球はバッターに打たれますから、際どいコースに投げなければなりません。ゴルフもティーイングエリアに立つと左にOBがあったり右にバンカーがあったりします。そうするとプレッシャーがかかって狙いどおりに打てなくなります」

好スコアにつながらなくてもスタート前は練習したほうがいい

 ツアープロのコメントはまさしくそのとおりで、練習場では何のプレッシャーもなく打つことができますから、狙ったとおりにボールが飛ばなくてもそれなりのショットになります。

 ところがコースに出るとOBや池やバンカーなどのハザードがプレッシャーをかけてきますし、「真っすぐ打ちたい」「いいスコアで回りたい」という欲も出てきます。それによって練習場とは似ても似つかぬミスショットが飛び出すことになります。

「それならスタート前は練習しないほうがいいのでは」と思う人もいるでしょう。実際にスタート前の練習は一切しない人もいます。でも、前述のプロ野球のピッチャーにたとえると、練習場で1球も打たないのはブルペンで1球も投げないのと同じです。その日の調子を確かめるためではなく、ケガ予防という観点で見れば練習したほうがいいのは明らかです。

 欲をいえばスタート前の練習場と同じショットをコースでも打てるようになりたいのですが、プロも同じ悩みを抱えているようなので、アマチュアの悩みが解決するのはまだ先の話になりそうです。

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