「全英」での平均ストロークは日本選手で断トツ! 渋野日向子が今年も“やってくれそう”なデータ的裏付けとは?

今季、メジャーで2勝を上げるなど例年以上の活躍が目立つ日本選手。22日から開幕する米女子メジャー「AIG(全英)女子オープン」は5年前に渋野日向子(しぶの・ひなこ)が制した大会。そこで、渋野日向子を中心とした日本選手との相性をデータで検証してみた。

平均ストロークでは2位の古江彩佳に大差をつけている渋野日向子

 女子メジャー今季最終戦の「AIG(全英)女子オープン」が22日に開幕する。今季、メジャーで2勝を挙げるなど大躍進の日本勢は今回も誰かがやってくれそうな予感が漂うが、やはり「全英」といえば渋野日向子。データ的な裏付けもしっかりとある。

 渋野が「AIG(全英)女子オープン」で衝撃的なメジャー初出場初優勝を飾ったのは今から5年前のことだ。ディフェンディングチャンピオンとして臨んだ2020年は予選落ちを喫し、2021年は34位タイに甘んじたが、2022年には最終日最終組で優勝争いを繰り広げ、プレーオフにわずか1打及ばずの3位と再び存在感を示している。

過去2回の開催では3人の日本選手がトップ10フィニッシュしているセントアンドリュース。渋野日向子の活躍にも期待がかかる 写真:Getty Images

過去2回の開催では3人の日本選手がトップ10フィニッシュしているセントアンドリュース。渋野日向子の活躍にも期待がかかる 写真:Getty Images

 不振に陥っていた昨年は見せ場なく予選落ち。整理すると、これまで5回の出場で予選通過が3回あり、うち2回はトップ3入りということになる。

 振れ幅は大きいが平均ストロークを算出すると、ちょうど71というなかなかのものになる。メジャーに昇格した2001年以降、「全英」に3回以上出場した日本選手は19人いるが、渋野の71.0はその中で最もいい数字だ。

 2番目は古江彩佳の71.7だから、渋野は大差の1位といっていい。72を切っているのはこの2人だけである。

 ほかの主な選手をピックアップすると、「全英」で日本勢最多となる4回のトップ10入りを記録している宮里藍は73.0、渋野と同学年の畑岡奈紗は72.5といった具合。渋野の数字は際立っている。

 そもそもメジャー昇格後の「全英」で日本選手が3位以内に入ったケースは4回しかなく、うち2回が渋野なのだから平均ストロークが圧倒的1位なのもうなずける。ちなみに渋野以外の2回は2008年不動裕理と2009年宮里藍でともに3位タイだった。

 男子の「全英」はすべて海沿いのリンクスコースが舞台だが、女子の場合は内陸のコースも使用される。渋野が優勝したウォバーンGCは内陸で、2022年に3位に入った時はリンクスコースのミュアフィールド。どちらのタイプのコースでも結果を出している点も心強い。

セントアンドリュースと日本選手の相性は○

 今年の会場はゴルフの聖地とも呼ばれるセントアンドリュース。数百年の歴史を有するリンクスコースである。

 女子の「全英」が開催されるのは2013年以来、11年ぶり3回目だ。初めて行われた2007年はメジャー初挑戦の佐伯三貴が7位タイと健闘。佐伯は2013年にも7位タイに入り、この時はメジャー初出場の比嘉真美子も7位タイに食い込んでいる。つまり、過去2回の開催で日本勢は3回のトップ10を記録しているわけだ。

 この両年で日本選手は計15人出場しており、トップ10率はちょうど20%。これまで「全英」が開催された9つのリンクスコースの中では最も高いトップ10率を誇っている。渋野を含め今回エントリーしている日本選手全員が初めてセントアンドリュースでの「全英」に挑むことになるのだが、過去の実績から日本選手と聖地の相性は悪くはないことが分かる。これまた期待値を高めたくなるようなデータだ。

 今季序盤、絶不調だった渋野が予選カットのある試合で初めて決勝ラウンドに進んだのがメジャー初戦の「シェブロン選手権」だった。そして、2位に入って復活のノロシを上げたのがメジャー2戦目の「全米女子オープン」。メジャー3戦目の「KPMG全米女子プロ」では7位タイに入り、同4戦目の「エビアン選手権」では苦しみながらも4日間戦って51位タイだった。つまり、今季はここまでメジャー4試合すべてで予選を通過しているわけだ。

 渋野はメジャーに強いが波が大きく予選落ちも多いタイプ。これまで年間すべてのメジャーで予選を通過したことがなく、自身初の全5試合予選通過もかかっている。先週の「ISPS HANDA女子スコティッシュオープン」を股関節付近の痛みで棄権したことは心配だが、回復していることを願うばかりである。

 セントアンドリュースで行われる「全英」は男女問わず、特別感が漂うものだ。渋野をはじめ日本選手が聖地で新たな歴史を刻むことに期待したい。

ジャンルで探す