自動販売機だけになりつつあるゴルフ場の“茶店” 有人と無人ではコストがどれぐらい違うの?

今では少数になった「有人営業の茶店」。有人と無人ではどれぐらいコストが違うのか? 未だに有人営業をしているゴルフ場にはどんな理由があるのか? ゴルフ場関係者に話を聞きました。

有人営業だと人件費だけで2カ所年間400万円以上!?

 近年は茶店にスタッフを配置せず、自動販売機や給水器だけを設置している無人営業のゴルフ場が多くなりました。

 そんな中、今でもスタッフを配置して冷たいおしぼりをゴルファーに手渡すサービスを実施しているゴルフ場もあります。

茶店が有人だとちょっと得した気分になる!?(写真はイメージです) 写真:PIXTA

茶店が有人だとちょっと得した気分になる!?(写真はイメージです) 写真:PIXTA

 ゴルフ場の利用者として、そのようなサービスはありがたいと感じるものの、ドリンクや軽食を購入せずに立ち去るので申し訳ない気持ちになることもあります。

 ただ、茶店で販売しているドリンクは高いので水筒を持参していますし、ハーフタイムにレストランで昼食を食べるので軽食をつまみたいという気持ちにもなりません。

 結局のところ、筆者と同じように考えるゴルファーが増えたので茶店の売り上げが減り、売り上げが減ったので有人営業から無人営業に切り替える施設が増えたということなのでしょう。

 茶店を有人で営業するのと無人で営業するのでコストはどのくらい変わるのでしょうか。ゴルフ場関係者に聞いてみました。

「ウチのゴルフ場はもう何年も前から無人営業ですから、有人営業のときとの比較はできないのですが、茶店を有人で営業すると人件費がかかります」

「ゴルフ場のスタッフの人件費は契約内容によって変わりますが、仮に時給1000円で計算すると、6時間拘束で6000円になります。1日の人件費が6000円で、1カ月に30日稼働した場合、1カ月の人件費が6000円×30日で18万円になります」

「1カ月18万円でクローズなく1年間営業した場合、単純計算ですが人件費が216万円かかることになります。茶店は通常、アウトとインに1カ所ずつありますから、2カ所で432万円になります」

「ウチのゴルフ場が有人営業から無人営業に切り替えたのも、結局のところ人件費と売り上げのバランスが取れなくなってきたからだと思います」

今でも茶店を有人営業しているゴルフ場は何らかの理由がある

 逆にいうと、今でも茶店を有人営業しているゴルフ場は、人件費以上の売り上げが確保できているということになります。前出のゴルフ場関係者は茶店の有人営業が当たり前だった時代を次のように振り返ります。

「ボクがゴルフ場業界に入った当初はキャディーつきプレーが主流でしたから、茶店も有人営業が当たり前でした。なぜかというと茶店でキャディーさんへの『心付け』を購入して渡す文化があったからです」

「今でもキャディーつきプレーのゴルフ場に行くと、『キャディーさんに心付けを渡したほうがいいのかな』と思うことがあります」

「でもキャディーつきプレーは進行がスムーズですから、茶店で前の組のプレーが終わるのを待つこともなく次のホールのティーショットが打てるので、立ち寄る機会が少なくなりました」

「キャディーさんへの心付けを意識されているメンバーさんは茶店に立ち寄るのかもしれませんが、ビジターさんは立ち寄らない施設になっているのかもしれませんね」

 かつてはキャディーさんへの心付け用に茶店で洗剤などの生活用品を販売しているゴルフ場がありました。今でもそういうゴルフ場があるかどうか分かりませんが、キャディーさんに心付けを渡す文化は残っています。

 筆者も知人のメンバーコースでキャディーつきプレーのコンペに参加する際は、茶店で心付け(ドリンクなど)を買ってキャディーさんに渡す役割を託されることがあります。

 ただし、コンペ以外でキャディーつきプレーを選択することはありませんから、日常的に心付けを渡す習慣はありません。

 茶店を有人で営業するか無人で営業するかは、それぞれの地域の人件費や人材の確保、茶店のニーズや役割によるところが大きいのでしょうが、ゴルフ場のレストランで配膳ロボットなどが次々と導入されているところを見ると、有人営業のゴルフ場は今後ますます少なくなっていくのかもしれません。

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