デシャンボーが天国のスチュワートへ捧ぐ全米オープン2勝目「ずっとハンチングを被っていた理由もペインだった」

第124回「全米オープン」最終ラウンドが終了。ブライソン・デシャンボーは通算6アンダーで後続を振り切り大会2勝目を挙げた。ギャラリーの喝采に応える手にはペイン・スチュワートのピンバッヂが握られていた。

ペイン・スチュワートは1999年に飛行機事故で亡くなった

◆米国男子プロゴルフ メジャー第3戦<全米オープン 6月13~16日 パインハーストリゾート&CC パインハースト No.2(ノースカロライナ州) 7548ヤード・パー70>

 ブライソン・デシャンボー(米)が咆哮を響かせた。同時にあふれさせたのが1999年の全米オープン優勝から、わずか4か月後に飛行機事故で帰らぬ人となったペイン・スチュワート(米)への思いだった。

「全米オープン」2勝目を挙げたブライソン・デシャンボー 写真:Getty Images

「全米オープン」2勝目を挙げたブライソン・デシャンボー 写真:Getty Images

 第124回「全米オープン」最終日(現地時間16日、ノースカロライナ州パインハースト・リゾート&CC パインハースト No.2)は、通算7アンダー単独首位でスタートしたデシャンボーと、3打差2位タイから追ったローリー・マキロイ(北アイルランド)の一騎打ちとなった。

 4番でボギーを先行したデシャンボーに対し、1組前でプレーしているマキロイが、パー5の10番で3つ目のバーディーを奪って通算6アンダーで並んだ。最終組のデシャンボーがすぐに同じ10番をバーディーで続いて1打差。緊迫した空気が張り詰める。

 12番バーディーのマキロイが再び首位に並ぶと、続くデシャンボーはボギー。7アンダーのマキロイが単独首位に立つ。13番でマキロイが先にバーディーを奪った時には差は2打に広がったが、デシャンボーも負けずにバーディー。1打差で食い下がる。

 終盤は、揃ってメジャータイトルの重圧と高難度のグリーンに苦しんだ。パー3の15番でマキロイがグリーン奥からボギーを叩くと、デシャンボーもボギー。マキロイは16番も3パットボギーとし、通算6アンダーで並んだまま大詰めを迎える。

 マキロイは18番でわずか60センチを決められず痛恨のボギー。1打ビハインドの通算5アンダーでデシャンボーを待った。

 ティーショットを左のウェイストエリアに打ち込んだデシャンボーは、そこからグリーン手前のバンカーへ。だが、ここから1メートルにつけるスーパーショットを見せる。これを沈め、パーで優勝を決めた瞬間、両手でガッツポーズをして雄叫びを挙げた。

 ギャラリーの喝采に応えた手に握られていたのはキャップにつけていたスチュワートのピンバッヂだった。右手でガッツポーズ、右足を後ろに挙げた1999年にウイニングパットを決めた瞬間のよく知られたポーズで、コースにある像とシルエットのものだ。今は亡きヒーローと同じコースで勝った喜びがあふれた。

 2020年に最初の全米オープン優勝を成し遂げた時には、新型コロナウイルス感染拡大の影響で無観客。静寂の中での勝利だったが、今回は大観衆に讃えられる大会2勝目。「ずっとハンチングを被っていた理由もペインだった」と、サザンメソジスト大の先輩でもある英雄に思いを馳せた。

 2014年以来、10年ぶりのメジャー5勝目にあと一歩と迫ったマキロイは、通算5アンダーと1打及ばず、2位に終わった。

 6人出場した日本勢のうちただ一人予選を通過した松山英樹は、2アンダー5位タイから1バーディー、1ボギーでスコアは変わらず、6位で大会を終えた。「戦えるショットはなかった。パットも2日目みたいには入らなかった。徐々に徐々に進歩はしてるけど」と、悔しさをにじませた。

 清水大成石川遼金谷拓実、河本力、星野陸也の5人は予選で姿を消している。

<最終成績>
優勝/-6/ブライソン・デシャンボー
2位/-5/ローリー・マキロイ
3位/-4/パトリック・カントレー、トニー・フィナウ
5位/-3/マチュー・パボン
6位/-2/松山英樹
7位/-1/ザンダー・シャウフェレ、ラッセル・ヘンリー
9位/E/デービス・トンプソン、コーリー・コナーズ、サム・バーンズ

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