ゴルフクラブのスペックは数字ばかりでイメージが湧かない… 譲ってもらったクラブは自分が合わせるべきなのか?

「譲ってもらったクラブが自分に合っているのか分からない」という悩みを感じたことのあるゴルファーは少なくないと思います。

譲ってもらったクラブが自分に合っているのか分からない

 ゴルフ好きの知人から先日、次のような相談を受けました。

「実は知り合いからアイアンセットを譲ってもらえることになったのですが、そのアイアンが自分に合うのかどうかがよく分からないんですよね」

「今のアイアンはA社の製品で、何の不満もなく使っていたのですが、知り合いと一緒に回ったとき『それ、もう古いから、もっと新しいモデルで余っているやつがあるからあげるよ』といわれたんです」

ゴルフクラブのスペックは説明を読んだり聞いたりしても完全に理解するのは難しい 写真:AC

ゴルフクラブのスペックは説明を読んだり聞いたりしても完全に理解するのは難しい 写真:AC

「それはB社の製品を練習場で打たせてもらったのですが、今のアイアンよりも明らかに振りやすかったです。でも、コースで上手に打てるかどうかは、また別の話ですよね。それと振りやすいということは今よりも飛ぶかもしれません。アイアンの飛距離が変わると、距離感が合わなくなりそうです」

「新しいアイアンの飛距離に慣れていけばいいだけの話なのですが、それをラウンドの機会が多い今の時期にやるべきことなのか迷っているんですよね。今すぐもらったアイアンに替えるべきか、それともしばらくは今のアイアンを使い続けたほうがいいのか悩んでいるんです」

 確かに悩ましい問題です。譲ってもらえるアイアンが振りやすいと感じるのであれば、自分に合っている可能性が高いと思われます。一方で、距離感が合わなくなる可能性があるのも事実です。これは本人がタイミングを決断するしかないでしょう。

 そのことを心配した知人が最初に行なったのは、2つのアイアンのスペック比較でした。ロフトとクラブ長を見比べたところ、7番と8番アイアンのロフトが1度ずつ違っていましたが、それ以外は同じだったそうです。

 でも、ロフトとクラブ長が同じでも飛距離が同じになるとは限りません。新しいアイアンのほうが振りやすいと感じるのであれば、クラブの重さやバランスが違う可能性があります。また、振りやすければヘッドスピードが上がりますから、それによっても飛距離が変わります。

 結局、新旧2つのアイアンが同じ飛距離ということはありえません。

文系の人間にはクラブのスペックの話は難しすぎる

 そんな話をしていたところ、別の知人が口をはさみました。

「正直なところ、ボクらはクラブのスペックのことなんて全然分かりません。メーカーは『慣性モーメントが大きいから飛ぶ』とか『曲がらない』とかいいますけど、そもそも慣性モーメントの意味がよく分かっていませんから」

 慣性モーメントの意味をウェブサイトで調べると、「物体が回転運動する際、回しにくさや止まりにくさを示す量」みたいなことが書かれていますが、この説明を読んでも文系の人間には何のことやらさっぱり分かりません。

 これはクラブに限ったことではなく、「ゴルフボールにはなぜディンプルがついているのか」「なぜなら揚力が増加し、空気抵抗を軽減するため」といった説明も、揚力という言葉が出てきた時点でチンプンカンプンです。

 クラブやボールの開発者は当然ながら理系の知識が極めて高く、一般人には理解できないテクノロジーがこれでもかというくらい詰め込まれています。

 メーカー側もそのテクノロジーを一般人にも分かるように説明する気はないようです。おそらく説明しようとしても無理なのでしょう。ですからヘッドの上下左右の慣性モーメントを合計した数値が10000g・cm2を超えたことを「10K」と表現するなど、分かりやすい言葉で訴えかけています。

 ただし、最新モデルは高いので、知人のようにクラブを譲ってもらったり中古市場で買い集めたりする人が増えています。その人たちが自分に合っているクラブを探すのはけっこう難しいことなのかもしれません。

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