小祝さくらが4度目の「63」以下を達成し最多記録を更新! 女子ツアーで最初に「63」を出したのは誰だった?

「宮里藍サントリーレディス」初日、小祝さくらが10バーディー1ボギーの「63」を記録した。今回の「63」は小祝自身4度目の達成となり、女子ツアーでの最多記録を更新した。

4回目の「63」以下を記録し歴代1位となった小祝さくら

 63というスコアは女子ツアーのトップクラスであっても、そう簡単に出せるものではない。最近は増えてきたとはいえ、10年ほど前は年間2、3回程度という非常に価値の高いスコアだ。

「宮里藍サントリーレディス」初日に小祝さくらがそんな希少価値のスコア、63を叩き出した。小祝にとって63以下のスコアはこれが4回目。女子ツアー最多記録を更新する快挙となった。

自身4回目となる「63以下」のスコアをマークした小祝さくら 写真:Getty Images

自身4回目となる「63以下」のスコアをマークした小祝さくら 写真:Getty Images

 前週の「全米女子オープン」で9位タイに食い込んだ余勢を駆って初日に臨んだ小祝は10番から出て3ホールパーを続けた後、13番から4連続バーディーを決める。17番パーのあと、18番でバーディーを奪って後半のアウトに入ると4番まで今度は5連続バーディーだ。

 5番は寄せワンでパーセーブすると、6番では10個目のバーディーを奪ってみせる。残り3ホールすべてバーディーならツアー史上初の59という期待もあったが、7、8番パーで9番は3パットでボギー。結局63に落ち着いた。

 小祝はこれまで2018年「センチュリー21レディース」初日に62、2021年「大王製紙エリエールレディス」2日目に63、2023年「楽天スーパーレディース」2日目に63と計3回の63以下のスコアを出していた。

 計3回は女子ツアー最多タイ記録で、ほかにはアニカ・ソレンスタム、福嶋晃子、アン・ソンジュテレサ・ルー菊地絵理香、笹生優花、勝みなみ、西村優菜、岩井明愛という面々。彼女らを抑え、女子ツアーで初めて4回目の63以下のスコアをマークしたのである。

女子ツアー初の「63」は福島晃子が記録

 かつて、女子ツアーにおいて63は夢のスコアだった。1967年に日本で初めての女子プロトーナメントが開催されてから長い間、誰も63には届かなかったのだ。

 初めて63をマークしたのは希代の飛ばし屋にして日米通算26勝、賞金女王2回の実績を誇る福嶋晃子だ。1996年「NEC軽井沢72ゴルフ」2日目のことで、初めての女子プロトーナメントからちょうど30年目のシーズンだった。

 2回目の63はこの2年後、3回目の63(またしても福嶋だった)がさらに2年後の2000年と隔年。20世紀のうちは、63は超レアなスコアだったわけだ。

 2003年の開幕戦「ダイキンオーキッドレディス」の2日目の韓国出身の具玉姫がツアー新記録の62を出したあたりから、少しずつ63以下の頻度が高くなっていく。それでも2~3回という年が多かく、最多でも5回までだった。

 ところが、2019年に一気に10回もの63以下のスコアがマークされた。勝みなみ稲見萌寧、さらにはアマチュア時代の笹生優花ら若手が次々に叩き出したのが急増のひとつの要因だった。

 2022年の「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン」初日には山下美夢有が女子ツアーで初めて60を記録。2023年には年間最多となる15回の63以下のスコアが記された。

「63」以下を記録した大会では優勝できていない小祝さくら

 今年は「宮里藍サントリーレディス」での小祝で5回目。そして、これがちょうど女子ツアー100回目の63以下という節目でもあったのだ。最多記録更新と記念の100回目を同時にやってのけた小祝は“持っている選手”なのかもしれない。

1996年に女子ツアーで初めて「63」を記録した福島晃子 写真:Getty Images

1996年に女子ツアーで初めて「63」を記録した福島晃子 写真:Getty Images

 これで優勝でもすればハッピーエンドだったのだが、実は小祝には63以下のスコアをマークした過去3回はすべて優勝できなかったというデータがあった。63以下を3回マークしている小祝以外の9人は全員が当該大会で最低1回は勝っている。小祝だけが63以下のスコアが一度も優勝につながっていなかったのだ。

 そして、今回も2日目以降は苦戦して終わってみれば13位タイ。ジンクスには逆らえなかった。

 とはいえ、フル参戦1年目の2018年から昨年まで5シーズン続けてランキング8位以内(2020-21年までは賞金ランキング、2022年以降はメルセデス・ランキング)を続けている実績は現役選手屈指の安定感。今年もメルセデス・ランキング3位と初の年間女王さえ狙える位置につけている。

 しかも1ラウンドあたりの平均バーディー数は自己最高ペースの3位(3.8391)で昨年の10位(3.6680)からジャンプアップ中。攻撃力が増した小祝は今後も63以下のスコアを叩き出す可能性は十分にある。そして、今度こそ優勝につなげてほしいものだ。

小祝 さくら(こいわい・さくら)

1998年4月15日生まれ、北海道出身。98年度生まれの“黄金世代”の1人として2017年にプロ入り。19年「サマンサタバサガールズコレクション・レディース」で初優勝。24年「ヤマハレディースオープン葛城」で勝利を挙げ、ツアー通算10勝目を手にした。ニトリ所属。

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