かつてはプロゴルファーもプレー中に喫煙!? ここ20年で変化したゴルフ場での喫煙マナーとは?

世間ではタバコに関してさまざまな議論がされていますが、ゴルフ場も同じです。では、ゴルフ場ではどのようなタバコ事情やマナーが存在するのでしょうか。

灰皿が設置されていない場所での喫煙は絶対ダメ

 近年、国民の健康志向が上がり、昔ほどタバコを吸う人は見かけなくなりました。「ポイ捨て」や「受動喫煙」などが問題視され、街中の喫煙所も減ってきています。

健康のためにと禁煙する人も増えている 写真:PIXTA

健康のためにと禁煙する人も増えている 写真:PIXTA

 では、ゴルフ場での喫煙マナーは、現状どうなっているのでしょうか。ゴルフ場の経営コンサルティングを行う飯島敏郎氏(株式会社TPC代表取締役社長)は、以下のように話します。

「かつては電車やバスなどの公共交通機関をはじめ、飲食店など街のいたるところでタバコを吸うことが認められていました。ゴルフ場もクラブハウスからコース内まで喫煙可能なエリアは広く取られており、なかにはロッカールームに灰皿が用意されているところもありました。しかし、ここ20年前後で禁煙や分煙を行うようになり、ゴルフ場でも対策を取らなければならなくなりました。とはいえ、クラブハウスは禁煙や分煙を前提とした作りになっていなかったため、玄関やキャディーマスター室の近くなど、屋外に喫煙スペースを設けているゴルフ場が大多数です」

 コース内での喫煙については以下のように話します。

「カートの車内やティーイングエリアといった場所に灰皿が用意されていますが、運転中やプレーをしている最中は、喫煙を控えた方がいいでしょう。灰皿が付いていない場所での喫煙は、コースの清掃や管理に支障をきたします。最悪の場合、芝や落ち葉に引火すると火災事故を引き起こしてしまう可能性もあるので絶対にやめましょう。また、『電子タバコであればプレー中も吸っていい』と勘違いしている人もいますが、ルールは紙タバコと同様なので注意が必要です」

 ゴルフ場によっては通常時はティーイングエリアに灰皿を設けていても、空気や芝が乾燥しやすい冬場の間は、火災防止で撤去しているところもあるそうです。

ゴルフ場でも喫煙者は肩身が狭い環境

 ゴルフとタバコには古くから密接な関係があり、1990年代後半までは、タバコメーカーがスポンサーとなっていたトーナメントが日本でも開催され、プロゴルファーが試合中に喫煙する姿は当たり前のように見られていました。

 また、レストランをはじめクラブハウスの中はどこでもタバコを吸うことができ、プレー中も葉巻に限定して喫煙が許可されていました。これは、葉巻が紙タバコと比較して引火性が弱い点や、全てが自然由来のものでできているため、途中で捨てても分解されてゴミにならない点がメリットとされていたようです。

 そうした歴史がある一方で、飯島氏は「喫煙者が過ごしにくいゴルフ場になりつつある」と話します。

「現在では少数派になったとはいえ、タバコを吸う人はゴルフ場にもまだまだいます。多くの場合、屋外のテラスを喫煙スペースにするなどしていますが、夏は暑くて冬は寒いという環境は快適とは言い難いでしょう。健康に気を使う人が増え、喫煙者が隅に追いやられているのは致し方ないかもしれません。しかし、喫煙者の中にも、ポイ捨てをしないように携帯灰皿を持ち歩き、周りの人が受動喫煙をしないように気配りをしている人も多いので、もう少し喫煙者のことを考えた環境になっても良いと思います」

 時には、タバコを吸う人と吸わない人でラウンドをする機会もあるでしょう。その際は、お互いを理解しあって、マナーを守り、楽しくプレーができる環境を心がけましょう。

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