これからは1人1台の時代になる!? 弾道測定機器の低価格化に込められた想いとは?

常設されているインドアゴルフ施設なども多く、一般アマチュアでも目にすることが多くなった「ゴルフ用弾道測定器」。しかし、個人所有となるとツアープロやツアープロコーチに限られ、一般アマチュアではほとんどいないのが現状です。そこで、10万円を切る弾道測定器を発売している「ラプソード」に話を聞きました。

野球用のテクノロジーをゴルフ用弾道測定器に活用

 ヨドバシカメラ マルチメディア横浜(神奈川県)で「ラプソード」の最新テクノロジー弾道測定器「MLM2PRO」の体験会が開催されたので参加してきました。

「ラプソード」はトルコ出身シンガポール在住のエンジニア、バトゥハン・オカー氏が立ち上げた弾道測定器ブランドです。

 オカー氏はゴルフが大好きで、「トラックマン」など既存のゴルフ用弾道測定器が高額であることに不満を抱いていました。

9万9000円という「頑張れば買える」金額で登場した、最新テクノロジー満載の弾道測定器ラプソード「MLM2PRO」

9万9000円という「頑張れば買える」金額で登場した、最新テクノロジー満載の弾道測定器ラプソード「MLM2PRO」

「トラックマン」はデンマークのトラックマン社が2003年に発売を開始したゴルフ用弾道測定器です。軍事用に使用されていたドップラーレーダー式弾道追尾システムを活用しているため、従来のカメラ測定式弾道測定器に比べて高額でした。

 既存の製品よりもはるかに安価で持ち運びができる製品を作ろうとオカー氏は「スカイトラック」という弾道測定器を開発しました。

「スカイトラック」を米国で広めようとしたところ、ゴルフ関係者だけでなく野球関係者が目をつけ、野球用弾道測定器「ラプソード」の開発につながりました。それが2017年のことです。

 そして今度は「ラプソード」の開発で得た知見をゴルフ用弾道測定器にも生かそうということで新たな製品の開発が始まりました。そのテクノロジーが「MLM2PRO」に搭載されているそうです。

 このような話を詳しく知っている理由は、日本で「ラプソード」を広める役割を担っている株式会社Rapsodo Japan(ラプソードジャパン)日本支社長の山同建さんを以前インタビュー取材したことがあるからです。でも、このときは野球用弾道測定器の取材でした。

 その後、2023年春に「ラプソード」がゴルフ用弾道測定器を発売したことは知っていたのですが、実物を見るチャンスがなかなかありませんでした。ちょうどいい機会なので横浜まで足を運びました。

アマチュアにこそ高性能弾道測定器を使用してほしい

「ラプソード」の「MLM2PRO」の実物を初めて見た印象は「こんなに小さいの!?」でした。本体に専用三脚を取りつけて打席後方に置いた姿は、ペットボトルの500ミリリットルサイズと同じくらいの大きさではないかという印象を受けました。うっかりしていると蹴飛ばしてしまいそうです。

ペットボトルの500ミリリットルサイズと同じくらいの大きさで簡単に持ち運ぶこともできるラプソード「MLM2PRO」

ペットボトルの500ミリリットルサイズと同じくらいの大きさで簡単に持ち運ぶこともできるラプソード「MLM2PRO」

 この小さな機械の中に2種類の光学カメラとドップラーレーダーが搭載されていて、精度の高い計測を実現するそうです。前述の山同さんが次のように説明してくれました。

「ウチはゴルフ用弾道測定器メーカーとしては後発ですから、先発の製品はひととおり研究しています」

「他社製品の多くはスピン量が推測値なんですね。だったらウチは実測値にこだわりたいと思い、独自のドットを入れたボールをセット販売することで実測値を計測できるようにしました」

「そのため屋外での使用には向いていないのですが、室内で正確なデータが計測できることにこだわりました」

 画期的なのは最新テクノロジーが搭載された弾道測定器を9万9000円で販売していることです。「トラックマン」や「GCクワッド」といったツアープロが試合会場の練習場で使用している弾道測定器と比べて20分の1以下の価格で手に入れることができます。その価格設定には「ラプソード」のこんな思いが込められています。

「野球もゴルフも弾道測定器はプロ選手が使う機械ではなく、本当に使ってもらいたいのはアマチュア選手」

 弾道測定器でデータを計測して数値が出ることによって、子どもたちが自分で考えて修正するという学びが生まれることを「ラプソード」は重視しています。

 中学生や高校生が大人から指示された練習にただ黙々と取り組むのではなく、自分でデータを計測し、何を修正すべきか考えるツールとして「ラプソード」を広めたいという思いがあります。

 近い将来、プロゴルファーを目指すジュニア選手をはじめ、競技に出場するアマチュアゴルファーがショットの質を高める練習を行なう際の必須アイテムになるかもしれません。

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