「自分ディスり」はゴルフ上達の妨げになる! 意外に難しい“長所”の見つけ方と知ることのメリットとは?

トーナメントプロのように「スタッツ」として自分のショットデータが出ないアマチュアは、「自分の長所と短所」に気づかず思い込みで間違った努力をしがちです。そこで、インドアゴルフレンジKz亀戸店・筒康博ヘッドコーチに、効果的な練習や努力を行うための「自分の長所と短所」の見つけ方を聞きました。

飛ばし屋が有利なのはクラブ選択やコース戦略に余裕が出るから

 ゴルフ向上に悩む人の多くは、総じてドライバーの飛距離不足やスイングフォームばかりに課題を求めてしまいがちです。

 確かにドライバーが270ヤード以上の「飛ばし屋」なら、パー5や距離の長いパー4などでは「グリーンに届く番手」に余裕があるので、グリーン周りのできに関わらずスコア想定ができる点では有利です。

 しかしスコアメイクの観点からすると、平均的なドライバー飛距離である200〜220ヤードの人がレギュラーティ―でプレーすることが絶対的に不利か? というと必ずしもそんなことはありません。

飛ばし屋が有利なのは、パー5や長いパー4でクラブ選択やコース戦略などに「余裕」が生まれやすいから

飛ばし屋が有利なのは、パー5や長いパー4でクラブ選択やコース戦略などに「余裕」が生まれやすいから

 レッスンやラウンド後に「自分の短所」や「今日の悪かった点」を聞くと、多くの人が「ドライバーが全く当たらなかった」「スイングが全然ダメ」「ダウンブローに打てなかった」など、自分の思う「ダメなところ」がスラスラ出てきます。

 逆に「自分の長所」や「今日のよかった点」を聞いてみると、なかなか出て来なかったり「一生懸命」、「色々意識できた」など急にメンタル的の話になることがあります。

 もちろん課題や反省は重要ですが、同じぐらい「長所」や「よかった点」にも目を向けて欲しいと思います。

 話は飛躍しますが、実際に「おいしいメニュー」があるのにそれに気づかず「余りおいしくないメニュー」を売りにしてしまう「カレーがおいしくないカレー屋さん」みたいなことにはなって欲しくないと思います。

「弾道の傾向」を知るだけでベストスコア更新のきっかけになる

 アマチュアは仲間内のコンペやホームコースの月例会などを中心に「自分の実力」を確かめることが多いです。プロのような細かいショットデータやスタッツを取り、それを分析するより「何となくイヤ」だと感じている状況や番手の「苦手な理由」を探ることをオススメします。

様々なアプリや計測器を積極的取り入れ、「具体的な現状把握」することができればムダな努力は減る

様々なアプリや計測器を積極的取り入れ、「具体的な現状把握」することができればムダな努力は減る

 できればレッスンプロや第三者の目線で「スコア貢献度」、つまり苦手意識と関係なくスコアメイクにどのくらい影響があるのかを調べてもらうのが理想です。しかし、自分で使える便利なアプリや計測器がたくさんあるので、それらを使用して「具体的な現状把握」はできた方がいいと思います。

 例えば「50ヤード前後のアプローチが苦手」なら、自分で理解できる範囲でもいいので「思っているより距離が出すぎる」「打ち出し角が低すぎる」など、弾道の傾向を知っておくだけでも意外と目からウロコが落ちるものです。

 実際にアプローチでの詳細な弾道データに向き合い「具体的な現状把握」をすると、その後のラウンドで「ベストスコアを更新」といった結果をだせるはずです。

「自分はヘタ」と思っていても他人から見れば「上手」なこともある

 多くの人は「他人のことほどよく分かる」一方で、「自分の長所」は分からないものです。レッスンをしていると「隣の打席の人、スイングがキレイ」などの声を聞くことが多く、実際に隣の打席に行ってみると今後は「隣で練習している人のスイングテンポがいい」など、また別の人を褒めている「隣の芝生が青い」状態なことがよくあります。

「他人のことはとく分かる」なら、たまにはゴルフ仲間や知り合いに「自分の長所」を聞いてみるのもあり

「他人のことはとく分かる」なら、たまにはゴルフ仲間や知り合いに「自分の長所」を聞いてみるのもあり

 当の本人は全く自覚がなくても、他の人から評価されている場合がゴルフでは意外とあったりします。もし仲間内で気軽にゴルフの話ができる人がいれば、「自分の長所」を何気なく聞いてみてはいかがでしょうか。

 ちなみに私のレッスンでは「今できていること」「意識していないけどできていること」「調子がいい時のプレースタイル」など、できるだけ「長所」をお伝えしたうえで、今後の課題を挙げて練習やレッスンに臨んでもらうように心がけています。

 コースでは自分だけしか頼れないゴルフにおいて、自ら「自分をディスり」をするのはあまりにももったいないと思いますし、結果にも繋がりづらくなってしまうからです。

【解説】筒 康博(つつ・やすひろ)

伝説のプロコーチ・後藤修に師事。世界中の新旧スイング方法を学び、プロアマ問わず8万人以上にアドバイスを経験。スイング解析やクラブ計測にも精通。ゴルフメディアに多数露出するほか、「インドアゴルフレンジKz亀戸」ヘッドコーチ、WEBマガジン「FITTING」編集長を務める。

ジャンルで探す