よく聞く「左腕リード」というフレーズは間違い!? スイングにおける「リード」の正しい意味とは?

レッスンでよく聞く「左腕リード」や「左足リード」という言葉。右打ちゴルファーの場合、英語では「左腕=リードアーム」「左足=リードレッグ」と呼びます。つまりゴルフスイングの左側の体の各部位には名称に「リード」がつくため、英語の意味とは大きく異なる使い方になっていて「頭痛が痛い」のような表現になってしまっています。そもそもゴルフスイングで使う「リード」とは、どんな意味があるのでしょうか。

「リード」や「トレイル」はゴルフスイング時の「体の名称」でしかない

 英語に語源があるゴルフ用語、それもあってスイング用語に「カタカナ」を使うと必殺技のような「意味なくカッコいい」響きがあります。しかし「頭痛が痛い」と同じくらい言葉としておかしい和製英語になっていることもあります。

「左腕リード」や「左足リード」というスイング用語は、「頭痛が痛い」と同じ種類の勘違い

「左腕リード」や「左足リード」というスイング用語は、「頭痛が痛い」と同じ種類の勘違い

 英語ではスイング時の「体の各部位の名称」を、右打ちゴルファーなら「左側=リードサイド」「右側=トレイルサイド」として肩、腕、尻、足など全ての部位を呼びます。

 つまり「左腕=リードアーム」「左足=リードフット」なので、「左腕リード」「左足リード」という言葉は日本語でいう「頭痛が痛い」と同じような意味になってしまうのです。

右打ちゴルファーの場合、左側を「リード」右側を「トレイル」として体の各部位の名称として使っているだけ

右打ちゴルファーの場合、左側を「リード」右側を「トレイル」として体の各部位の名称として使っているだけ

 なぜ英語では右や左といわず「リード」や「トレイル」と呼ぶのでしょうか。英語圏では日本人ゴルファーよりもレフティーの割合が多いため、右や左というよりも目標側に近いか遠いかを基準に説明した方が、どんな人にもスムーズに意味が伝わるからだと推測します。

ゴルフスイングにおける「リード(lead)」の意味

「リード(lead)」側の役目は、適切な場所に「案内する」こと

「リード(lead)」側の役目は、適切な場所に「案内する」こと

 では、スイング用語として使う際の「リード(lead)」を改めて辞書で意味を調べてみると、「案内する」「連れて行く」「先導する」「主役」などです。

 右打ちゴルファーにとって「左側=リード側」には、トップからインパクトまで上手にクラブや体を「案内する」役目が担われている、というとイメージが湧くのではないでしょうか。

「リード」される「トレイル(trail)」側の役目とは?

 一方、「トレイル(trail)」の意味を改めて調べてみると「道」や「軌跡」「引きずる」などでした。右打ちゴルファーにとって、スイングにおける「右側=トレイル側」はクラブの軌道やスイングをたどって、ボールを打っていく役目があると考えられているようです。

インパクトからフィニッシュにかけて、「トレイル(trail)」側がクラブと体の軌跡を描く

インパクトからフィニッシュにかけて、「トレイル(trail)」側がクラブと体の軌跡を描く

 PGAのトップ選手がレッスンする際、「リード側」よりも「トレイル側」でしっかりとインパクトからフィニッシュまで「解放(リリース)する」ようにアドバイスをしているケースが多く、日本のレッスンでいう「ヘッドを走らせる」や「腕を返す」に近い役割を担っていると考えられているようです。

「右腕」「左腕」や「右足」「左足」と呼んでしまうと「どうスイングする?」を色々と考えてしまいますが、「リードサイド」「トレイルサイド」と考えると、流行り廃りの早い理論や打法に振り回されずに済むのではないでしょうか。

【解説】筒 康博(つつ・やすひろ)

伝説のプロコーチ・後藤修に師事。世界中の新旧スイング方法を学び、プロアマ問わず8万人以上にアドバイスを経験。スイング解析やクラブ計測にも精通。ゴルフメディアに多数露出するほか「インドアゴルフレンジKz亀戸」ヘッドコーチ、WEBマガジン&コミュニティー「FITTING」編集長やFMラジオ番組内で自らコーナーも担当している。

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