「練習はウソをつかない」ってアマチュアゴルファーには当てはまらない!? 練習嫌いでも上手な人が多い謎

「うまくなりたければ練習しないとね」、ビギナーの頃は誰もがいわれたセリフだと思います。しかし、ゴルフを長年やっていると「全く練習しないのに上手な人」に必ず遭遇します。

練習好きだからといってゴルフが上手とは限らない

 先日ラウンドをご一緒した夫婦は、夫が大の練習好き、妻が大の練習嫌いで、ラウンド中の2人の会話が漫才みたいでした。

 妻がフェアウェイウッドをミスして「あー、うまく打てなかったな」とひとり言を口にすると、夫がすかさず「練習しろ」とツッコミを入れます。

練習量と上達速度は比例する人もいればしない人もいる

練習量と上達速度は比例する人もいればしない人もいる

 夫がラフからのアイアンショットをグリーンの右サイドに外し、悔しそうにしていると、妻がうれしそうな顔をしながら「あんなに練習しているのにね」とつぶやきます。

 だからといって2人は仲が悪いわけではありません。むしろ仲が悪かったら同組でラウンドしません。仲がいいからこそ憎まれ口みたいな冗談を言い合うことができるのです。

 世の中の夫婦には「ゴルフだけは絶対に一緒に行かない」と決めている人たちもいます。個人的な印象ですが、昭和時代にゴルフを始めた人は夫婦別々にゴルフに行くケースが多い気がします。平成・令和にゴルフを始めた人は夫婦そろってゴルフに行く印象があります。

 こちらの夫婦は、仕事のつき合いで以前からゴルフを始めていたものの、コロナ禍のゴルフブームでゴルフ熱が一気に高まり、ラウンド数が増えたそうです。したがって令和組です。

 練習好きの夫は調子がよければ80台で回ります。練習嫌いの妻も最初はゴルフスクールに通っていたのでスイングがとてもキレイで、調子がよければ90台で回ります。練習好きの夫に一日の長がありますが、練習嫌いの妻も決して劣っているわけではありません。

練習の好き嫌いより頭を使って練習しているかが重要

 筆者の周りにも練習好きの人と練習嫌いの人がいます。両者を比較すると、練習好きが必ずしも腕前が達者なわけではありません。むしろ練習嫌いのほうがいつも大崩れすることなく安定したスコアでラウンドしている印象があります。

 練習嫌いで上手なゴルファーに会うと、筆者は必ず次のような質問をします。「なんで練習しないのに、そんなに安定したショットが打てるのですか?」

 すると、だいたい同じような答えが返ってきます。「練習してもしなくても変わらないんだよね。昔はもっと上手になりたいと思って練習していたけど、上手にならないから『もういいや』という感じになっちゃった」

「元々、練習よりもラウンドのほうが好きだし、練習で上手に打ててもラウンドでも同じように打てるとは限らないからね」

「だからラウンドにも2種類あって、ラウンドしながら練習する感じでスコアにあまりこだわらないときと、スコアにこだわる本番ラウンドのときがあるかな」

 練習嫌いだからといって、ゴルフをいい加減にやっているわけではないのです。むしろゴルフと真面目に向き合っているからこそ、本番(ラウンド)が大事という境地に到達しています。そして、この境地に到達している人は例外なくスイングが安定しています。

 ティーチングプロはみんな「ゴルフは練習しないと上達しません」と口にしますが、ツアープロの中には練習をあまりやらない選手もいます。

 そういう選手に理由を尋ねたところ、次のような答えが返ってきて考えさせられたことがあります。

「調子が悪いときに練習すると、悪いイメージがこびりついてしまうんですよ。調子を取り戻そうと思って猛練習して、練習場でそれなりのショットが打てるようになっても、本番(試合)ではそのショットが打てないんです。だから調子が悪いときは、よくなるまで待ちます」

 確かにゴルフを長年やっていると、練習と本番は別物です。だからといって筆者の場合は練習をしないと本番(ラウンド)がグチャグチャになりますから、練習をしないという選択肢はありえないのですが、「練習はウソをつかない」という言葉は適切ではないと感じます。

 メジャーリーグで活躍するダルビッシュ有選手が2010年にX(旧ツイッター)でつぶやいた言葉「練習はウソをつかないって言葉があるけど、頭を使って練習しないと普通にウソつくよ」のほうが正しいです。

 ゴルフも練習好きだからといって上達するとは限りません。頭を使って練習しているかどうかが上達のカギを握ります。

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