軽くて軟らかいのに強弾道!? 1本11万円のスイス製シャフト「TPT ニトロレンジ 21Hi」を打ってみた

「軽い」「柔かい」シャフトは打ち出し角が高くなりスピンが増えるといわれています。TPT「ニトロレンジ 21Hi」シャフトは、ドラコン選手が使用できるモデルながら重量はたったの40グラムで振動数は「Lフレックス」相当。そんな飛ばし屋ほど気に入ってしまうシャフトは単体で11万円(税抜き)もします。一体どんな所がよいのでしょうか。

40グラムので「Lフレックス」相当なのに飛ばし屋でも使える

 PGAツアー選手やドラコン選手が使用する 「TPTシャフト」は、個性的なスペックがラインアップされた単体価格で11万円(税抜き)もする高額カスタムシャフトです。

 中でも「ニトロレンジ 21Hi」モデルは40グラムと非常に軽く、振動数も「Lフレックス並」ながらトルクを5.0に抑えて、ヘッドスピードが速いゴルファーも使える不思議なモデル。

シャフト単体で非常に軽く(40グラム)、トルクは5.0で振動数(195cpm)は「Lフレックス並」なのに、ヘッドスピード50メートル/秒を超える飛ばし屋でも強弾道が打てるTPT「ニトロレンジ 21Hi」シャフト

シャフト単体で非常に軽く(40グラム)、トルクは5.0で振動数(195cpm)は「Lフレックス並」なのに、ヘッドスピード50メートル/秒を超える飛ばし屋でも強弾道が打てるTPT「ニトロレンジ 21Hi」シャフト

 通常、軽くて軟らかいスペックのシャフトは、弾道が高くなりスピンが増えるといわれています。ですが、ヘッドスピード50メートル/秒を超える「インドアゴルフレンジKz亀戸」の小坂支配人も「強弾道になる」という理由で「ニトロレンジ 21Hi」を投入しています。

 実際にコースで使ってみたところ、打ち出し角は10〜12度になりました。「今までは15度以上あったのですが打ち出し角を抑えられてトータル距離が伸びました」(小坂支配人)と語ります。

シャフトのしなりが大きくなると「しなり戻り」が強くなりさらに飛ぶ?

 ヘッドスピードが非常に速いゴルファーが使っても、TPT「ニトロレンジ21Hi」シャフトを装着したドライバーではタイミングが合い、打ち出し角度とスピン量が抑えられるそうです。

トップから切り返しにかけて非常に「大きなしなりエネルギー」を作りながら、インパクトゾーンでは一気にしなりが復元しボールスピードに転換する

トップから切り返しにかけて非常に「大きなしなりエネルギー」を作りながら、インパクトゾーンでは一気にしなりが復元しボールスピードに転換する

 実際に手に持ってみると、軽くワッグルしただけでしなりを感じるほど全体の印象は軟らかいものでした。しかし、実際にショットをすると力強さを感じられるのが特徴。

「軽」「軟」シャフトが必ずしも打ち出し角度やスピン量を増やすワケではなく、「シャフト自体の設計」が弾道に影響するということなのでしょう。

 シャフト単体で11万円(税抜き)もする高額な理由は、継ぎ目をなくして360度同じ剛性を持つ独自製法を採るTPTシャフトならではの特長なのかも知れません。

カスタムシャフトの再ブームはあるのか?

 カスタムシャフト単体で11万円(税抜き)は、さすが高額過ぎて流行らないかも知れませんが、取り扱いショップである「リアルスペックゴルフ」に話を聞くと「確実に結果が良くなる」「クラブを買い替えるより飛距離が伸びる」の声が多く、順調に注文が取れているそうです。

スイス製のTPTシャフト独自の「超極薄カーボン60層&スパイン無し」技術から生まれた軽量シャフトなので、高額なのは仕方がない?

スイス製のTPTシャフト独自の「超極薄カーボン60層&スパイン無し」技術から生まれた軽量シャフトなので、高額なのは仕方がない?

 最新ドライバーの定価は多くのモデルで約10万円です。ヘッド性能の高さに惚れて買い替えるのか、それとも既存のエースドライバーをカスタムシャフトでブラッシュアップするのか、ロマンはつきません。

 ギアマニアにとっては目が離せないスイス製カスタムシャフト「TPT」、今後も注目のブランドになりそうです。

【解説】筒 康博(つつ・やすひろ)

伝説のプロコーチ・後藤修に師事。世界中の新旧スイング方法を学び、プロアマ問わず8万人以上にアドバイスを経験。スイング解析やクラブ計測にも精通。ゴルフメディアに多数露出するほか、「インドアゴルフレンジKz亀戸」ヘッドコーチ、WEBマガジン「FITTING」編集長を務める。

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