競馬・新潟記念は今年も荒れる!? 人気馬の陰に隠れた2頭の素質馬が高配当を運んでくる

 夏競馬も今週で閉幕。フィナーレを飾るのは、サマー2000シリーズの最終戦でもあるGIII新潟記念(9月1日/新潟・芝2000m)だ。

 ハンデ戦ということもあって、"荒れる"傾向が強いこの一戦。過去10年の結果を振り返ってみても、1番人気は2勝、2着2回と今ひとつ。直近5年については、一度も馬券圏内(3着以内)に絡んでいない。

 また、トップハンデの馬も17頭中、1勝、2着3回と振るわない。ここ3年は連続して連対を果たしているものの、7番人気、10番人気、3番人気と、いずれも伏兵馬と言っていい存在だった。

 おかげで、過去10年の3連単の配当はすべて万馬券。10万円超えの高額配当が6回も生まれている。

 はたして、今年はどうか。

「過去10年で最も少ない出走頭数となった今年の新潟記念ですが、今春の牝馬クラシックで好走したライトバック(牝3歳)の参戦が話題となっています。ほかにも、勢いあるレッドラディエンス(牡5歳)、重賞で2戦連続2着のキングズパレス(牡5歳)など、近走で好成績を残している馬が顔をそろえて、見応えのあるレースになりそうです」

 研究ニュースの藤田浩貴記者がそう語るとおり、非常に楽しみなメンバーが集結。この先の大舞台を占ううえでも、興味深い一戦となった。

 ただそういう意味では、藤田記者が名前を挙げた上位人気馬も決して安泰とは言えない。GI桜花賞(4月7日/阪神・芝1600m)、GIオークス(5月19日/東京・芝2400m)でともに3着となった注目のライトバックにしても、大目標とする舞台はこの先。ハンデ52kgという条件は魅力だが、余裕残しの仕上げであれば、取りこぼしがあっても不思議ではない。

 前走のGIII七夕賞(7月7日/福島・芝2000m)を完勝したレッドラディエンスも、トップハンデの58.5㎏で出走。先述したトップハンデ馬の成績を踏まえると、絶対視するのは禁物と言えそうだ。

 そうなると、今年も波乱となる可能性は大いにある。そうした状況を踏まえて、藤田記者は2頭の穴馬候補をピックアップした。

 1頭目は、前走のGIIIマーメイドS(6月16日/京都・芝2000m)において、格上挑戦ながら見事な逃げ切り勝ちを決めたアリスヴェリテ(牝4歳)だ。

「2歳夏に新馬勝ちを果たしたものの、その後は惜しい競馬が続いて3歳時は10戦未勝利。しかし、4歳となった今春に2勝目を挙げると、その後は2着、1着、1着と、一気に重賞制覇まで遂げる躍進ぶりを見せています。心身のパワーアップも顕著で、前走のマーメイドSではデビュー以来最高の468kgでの出走でした。


前走のマーメイドSに続いて新潟記念での一発も期待されるアリスヴェリテ photo by Eiichi Yamane/AFLO

 近走ではコーナー4つの右回りコースで結果を残してきており、今回の1ターンの左回りコースに対して不安視する声もありますが、2歳時のGIIIアルテミスS(東京・芝1600m)や、3歳時のリステッド競走・スイートピーS(東京・芝1800m)など、過去には1ターンの左回りのレースでも、3着、2着と奮闘。まったく割引材料にはなりません。

 むしろ、今回のメンバーを見渡しても、末脚勝負のタイプが多く、ここも単騎逃げは濃厚。自分で競馬を作れる点からして、アドバンテージのほうが大きいです。有力視される面々がそろう後方組は、牽制し合って動き出しが難しくなる分、なおさらです。

 加えて、台風の影響によって馬場が渋る可能性が高いですが、走法的には道悪も苦にしないタイプ。事実、やや重、重のレースでは、連対を外したことがありません。後方に控える有力馬のキレ味が渋化馬場で削がれることになれば、残り目への公算が一段とアップするはずです。

 鞍上は新人の柴田裕一郎騎手ですが、同馬で初勝利。所属厩舎の馬とあって、思い入れもかなり強いです。積極的な競馬で、再びアッと言わせてほしいです」

 藤田記者が注目するもう1頭は、セレシオン(牡5歳)だ。

「筋の通った血統で、デビュー2連勝を飾った好素材。気性面や脚部不安で出世は遅れましたが、ここにきて軌道に乗ってきた印象です。集中力が出てきたことで、より長くいい脚を使えるようになっています。

 舞台となる新潟も、4戦2勝、2着1回、3着1回と好相性。前走のオープン特別・関越S(7月27日/新潟・芝1800m)は3着に敗れましたが、開幕週のレースで出遅れたうえ、外を回らされてのもの。最後は勝ち馬とコンマ1秒差まで追い上げ、内容的には中身の濃い競馬を見せたと思います。

 結果的に、その敗戦で斤量は前走より1kg軽い56kg。ハンデ的には"恵まれた"と言っていいでしょう。鞍上の荻野極騎手も手の内に入れてきた感があり、発馬さえ五分に出られれば、重賞でも勝ち負けできると見ています。

 それに、同馬を管理する友道康夫厩舎は、新潟記念4勝、同じ条件のGIII新潟大賞典も2勝と、新潟を"庭"にしています。直近2年も、人気薄のユーキャンスマイルを送り出して連続2着。2頭出しの今回、人気はレッドラディエンスでしょうが、馬券的な狙い目はこちら、と踏んでいます」

 いよいよ終わりを告げる夏競馬。最後に大きな花火を打ち上げるのは、どの馬か。ここに名前が挙がった2頭であってもおかしくない。

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