先代師匠の教えも受け継いで=琴桜、さらなる高みへ―大相撲九州場所

初優勝を果たし、賜杯を手に支援者らと喜ぶ琴桜(中央)=24日、福岡国際センター(代表撮影)



祖父の元横綱琴桜が最後に賜杯を抱いてから51年。親子3代の夢が現実となった。初優勝を遂げた大関琴桜。父の佐渡ケ嶽親方(元関脇琴ノ若)は「親としても師匠としても、うれしい限り」と万感の思いを述べた。
祖父は厳しい指導で知られた先代師匠。竹刀を手に激しく叱咤(しった)する中、力士たちは必死に汗を流した。元大関琴風の中山浩一さんは「入門して1、2年は逃げることばかり考えていた」と振り返り、鳴戸親方(元大関琴欧洲)も「はいか、イエスしか言えなかった」。
猛稽古を見ていたのが、子どもの頃の琴桜。「苦しくなってからの稽古が大事という先代の教えを横で聞いていた」とは佐渡ケ嶽親方。琴桜は「稽古をさぼると先代に夢で怒られる」とも。毎日休まず汗を流す姿勢は、自然にはぐくまれた。
「かっちゃん」の愛称でかわいがられた孫。秀ノ山親方(元大関琴奨菊)は「小さい時から見ていた。成長したなと感じる」と目を細める。その一方、常に祖父や父と比較されてきた。父は「番付が上がるにつれて、自分は自分という気持ちに変わってきた」と言う。相撲一家に育ったがゆえの重圧は、力を伸ばすことで乗り越えた。
見据えるのは祖父に並ぶ最高位。朝日山親方(元関脇琴錦)は「横綱にならなきゃいけない人。琴桜の名を受け継いだわけだから」。大きな期待を背負いながら、自身を高める日々は続く。


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