「病院に行ったら心を折られる気がした」琴桜、右足負傷も夏場所11勝 責任感と強い負けん気角界の「プリンス」
◆大相撲九州場所千秋楽(24日・福岡国際センター)
大関・琴桜が14勝1敗で初優勝を果たした。21年ぶりとなった大関同士による千秋楽相星決戦で、豊昇龍をはたき込んだ。大関5場所目、27歳での初賜杯は祖父で先代師匠の元横綱・琴桜と同じ。来年初場所(1月12日初日、東京・両国国技館)では初の綱取りに挑む。2度目の優勝を逃した豊昇龍も13勝2敗の好成績で、日本相撲協会の高田川審判部長(元関脇・安芸乃島)は来場所、“ダブル綱取り”となる見解を示した。
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元横綱を祖父に、師匠を父に持ち、角界の華麗なる一族に生まれた琴桜は、ネット上などで「プリンス」と呼ばれることもある。その異名にたがわず、性格もいたって温厚だ。
だが、一方で芯の強さを感じる時があった。今年夏場所前半戦の朝稽古取材に訪れると、上がり座敷で師匠と深刻な表情で話していた。土俵下の控えに座っていたところ力士と衝突し、右足首を負傷。祖父のしこ名を襲名した本場所で、簡単に休場を選択するわけにはいかなかった。「弱点をさらすことになる」と一切の言い訳をせずに出場を続け、11勝4敗で終えた。
後日聞くと、負傷の翌朝は階段を下りることもままならなかったが、病院には行かなかったという。もちろん可能な限りの対処はしたが、「病院に行ったら心を折られる気がした。これで気合も入らないで、しょうもない相撲を取るようなら、それまでだな、と。痛み止め薬を服用してでも出るつもりでいた」と心境を明かした。
もちろん、病院に行かない選択は賛否が分かれるところだろう。ただ、ソフトな人柄の裏には、常に結果が求められる大関を務められるだけの強い負けん気を感じた。強固な精神力を武器に最高位への戦いに挑む。(大相撲担当・三須 慶太)
11/25 06:20
スポーツ報知