日本バスケ協会「負担かけた」八村塁の「 お金目的」指摘はミスコミュニケーション ホーバス体制続投は揺るがず

八村塁

 NBAレイカーズの八村塁(26)が、日本バスケットボール協会(JBA)や日本代表の在り方に疑問を呈したことを受け、同協会の渡辺信治・事務総長(59)は20日、宇都宮市内で取材に応じ「発言を非常に重く受け止めている」とコメント。代理人に事実確認を行ったことも明かし、八村が疑問を持ったJBAの「お金目的」については「ミスコミュニケーションがあった」と説明。また、トム・ホーバス監督(57)の続投は「変わることはない」などと強調した。チームは21日に25年W杯アジア予選(対モンゴル・宇都宮)を控え、再出発する。

 波紋を広げ続ける八村の発言について、JBAは事実を確認した上で6日たったこの日、報道陣に対して真意を説明した。「八村選手は日本のバスケ界にとって本当に重要で大切な選手。発言は我々も非常に重く受け止めている」と渡辺事務総長。13日(日本時間14日)の八村の会見後にはすぐに代理人と連絡を取り、先週末にオンラインで約1時間、事実確認したと明かした。

 八村は13日の会見で「あまり言いたいことではない」と前置きし、言葉を慎重に選びながらJBAに対し、強化や未来の子どもたちのためではなく「お金の目的があるような気がする」と苦言を呈した。渡辺氏によると、7月5、7日のパリ五輪に向けて、ともに1万3000人の観客を動員した強化試合、韓国戦(有明アリーナ)のことだという。

 八村は6月にNBAのシーズンを終えた後、日本代表へ合流前にコンディション調整を優先し、国内試合は欠場する意向を伝えていた。しかし、発表は試合当日の直前となったことを挙げ、「(JBAからすると)日本に来て、もし可能なら出ていただけるんじゃないかという希望的観測があった」と説明。一方でチケットはほぼ即日完売だったため「八村選手を商業目的のために引っ張った意図はなかったが、ミスコミュニケーションがあったと思う」と反省し、「彼に負担をかけてしまった」と謝罪した。

 また、同事務総長は八村が「男子のことを分かっている、プロとしてもコーチをやっていたことがある、そういう人がなってほしかった」と話した点は続投が決定したホーバス監督を指していたと説明。その上で28年ロサンゼルス五輪に向け「最適だと判断した。決定は変わることはない。多くの選手たち、関係者もリスペクトする世界的レベルのコーチであることは間違いない」と続投意向は揺るがないことを強調した。

 報道陣に今回の八村の行動に対しての処分を聞かれると「選手が自分の考え自体を言葉にすること自体は止められない」と渡辺氏。今後の八村の代表活動については「そこは聞いていない」と話すにとどめた。

 ◆渡辺事務総長に聞く

 ―八村の発言を受けて。

 「日本で試合をすることで、普及、バスケの価値を上げる、活動の原資になるスポンサーさんに対し、興行的に成功することにとっても、活動の原資をしっかり稼がなくちゃいけない面もある。日本での試合は我々にとっても大きな試合。彼の思いは当然、聞いている。(JBAの)意図としては日本を強くしたいし、八村選手も将来を考えてくれている。しっかりとしたコミュニケーションをもっと取らないといけなかったと思っている」

 ―今後の八村との関係性。

 「当然、八村選手とコンタクト、コミュニケーションを続けていきたい。機会があれば、ぜひ私の方から話をさせていただきたい。日本の代表強化の方針やこれからに関し、話をさせていただきたいなと思う」

 〇…ホーバス監督率いる男子代表がいよいよ28年ロス五輪に向けて再スタートを切る。20日は、翌日に控えるモンゴル戦に向けて会場の日環アリーナ栃木で調整。指揮官は「おもしろい選手がいっぱいいる。同じシステムだが、新しい選手が入ると味が違う。楽しみ」と語った。試合メンバーには主将の比江島慎(34)=宇都宮=ら五輪選手に加え、Bリーグ王者の広島から山崎稜(32)、中村拓人(23)らが入った。また、八村の発言に関し、JBAは監督、選手への質問は「控えていただければ」と事前アナウンスした。

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