ゴルフ年間女王決定した日は「熊本で部屋の片付けをしてた」21歳・竹田麗央「すごくびっくりしてる」

ツアー年間女王に決まり、ポーズをとる竹田(家族提供)

◆女子プロゴルフツアー 伊藤園レディス 最終日(10日、千葉・グレートアイランドC=6769ヤード、パー72)

 今季&通算8勝を挙げた竹田麗央(りお)=ヤマエグループHD=が、21歳222日の年少3位で初の年間女王に輝いた。この試合で山下美夢有(みゆう、23)=加賀電子=が4位以下なら決定する条件で通算11アンダーの4位に終わり、2試合を残して女王の座に就いた。予選落ちしていた竹田は、地元・熊本の自宅から異例のリモートで喜びの会見を行った。

 今季の主役が超異例の形で決まった。1988年のツアー制施行後初めて、会場に不在の状況で女王争いが決着した。ライバル・山下が18番のボギーで4位に終わった試合後、竹田は熊本の自宅からリモートで会見した。

 「来週、自分が頑張って決めるしかないと思っていた。今週決まってすごくびっくりしている」と素直な心境を明かした。女王会見が現地ではなく初のオンラインとなり「予選通過できなくて、すいません」と申し訳なさそうに苦笑した。

 今季ドライバーの飛距離は、歴代最長の262・72ヤードで堂々の1位で観客からは毎ホール感嘆の声が漏れる。持ち前のパワーに加え、リカバリー率が昨年は55位(61・23%)から今季は7位(69・49%)とオフに強化したアプローチの成果で小技が成長。「簡単にボギーを打たなくなった」と自己分析した。

 2003年度生まれの「ダイヤモンド世代」で初優勝は5人目と遅咲きだった。転機は3月末のヤマハレディース(静岡)。「悔しかったけど、大事な試合だった」。最終日に73で逆転され2位で初Vを逃し、帰りの車内で涙した。「勝てる気がしない。自分は自信がない」。弱気な言葉が口をついて出た。母は「まだ勝ってもないのに」となだめるのが精いっぱい。それでも「終わった日はシュンとしているけど、朝起きたらケロッとしていた」と母が驚くほどの切り替えの早さで乗り越え、4月に2連勝を達成し快進撃が始まった。

 8月の4勝目からは一度もポイントランク首位を譲らず盤石の強さを誇った。9月に国内メジャーを2連勝し、前週は日米共催大会を制し、来季から米ツアーに挑戦する。「今年いい経験ができたので、来年に生かせたら」。25年の始動は来年1月末の開幕戦(例年はフロリダ州で開催)の予定。「初戦からすごく楽しみ。日本ではできない経験ができると思うので頑張りたい」。この一年で一気に女子ゴルフ界の主役となった新星は、女王の称号を手に海を渡る。(岩原 正幸)

 ◆竹田麗央に聞く

 ―年間女王が決定。

 「今季始まった時は、自分がなるなんて思っていなかった。すごくうれしい」

 ―母と連絡を取ったか。

 「電話で『良かったね』と言われた。ゴルフに集中できるように身の回りのことをやってくれたり本当に感謝している」

 ―日本の試合でやり残したこと。

 「今週予選落ちして悔しかった。残り2試合は上位で戦えるように」

 ―うれしかった試合。

 「TOTOジャパンクラシックを勝ってすぐに米国に行けるようになったこと」

 ―2位に敗れたヤマハレディースで得た学び。

 「優勝するには最終日にしっかり伸ばさなければいけないこと」

 ―今日はどう過ごした?

 「今朝、熊本に帰ってきて部屋の片付けをしていた。散らかっていたので(笑い)」

 ―米国に持っていきたいもの。

 「化粧水ですかね」

 ◆竹田が今季達成した主な記録

 ▽年間8勝 03年不動裕理の10勝に次ぐ、ツアー歴代2位タイ

 ▽年間獲得賞金 2億5263万16円は単年でのツアー最高額。シーズンでは、20―21年の統合シーズンに稲見萌寧が記録した最高記録にあと約256万円に迫る

 ◆竹田 麗央(たけだ・りお)2003年4月2日、熊本・合志市生まれ。21歳。6歳の時、母の影響でゴルフを始め、熊本国府高1年時の19年九州ジュニアで優勝。1993、94年の賞金女王・平瀬真由美は母の妹で叔母にあたる。21年11月のプロテストに合格し、翌年からツアー参戦。今年9月のソニー日本女子プロ選手権でメジャー初制覇。日本女子オープンでメジャー2連勝を飾った。趣味は野球観戦。166センチ。家族は両親と兄、弟。

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