漬物の味を知らない私が、手作りしたぬか床。自信はないけど小鉢として食卓に並べると夫が…【2023編集部セレクション】
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時事問題から身のまわりのこと、『婦人公論』本誌記事への感想など、愛読者からのお手紙を紹介する「読者のひろば」。たくさんの記事が掲載される婦人公論のなかでも、人気の高いコーナーの一つです。今回ご紹介するのは広島県の80代の方からのお便り。米糠が余ったので、糠床を作ってみようとチャレンジしたそうで――。
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糠床の楽しみ
筍を茹でる時に使う米糠が余ったので、糠床を作ってみようと思いついた。発酵食品が体にいいというので前から気になっていたのだ。スマホで検索すると、糠の量は1キロくらいから始めるといいらしい。
煎り糠を冷ましつつ、塩と水、昆布、唐辛子を用意し、密閉容器に漬け込みを完了。キャベツの芯や大根、人参のヘタなどの屑野菜を漬けては捨てる、「捨て漬け」から始める。こうすることで、野菜の酵素が糠床の発酵を促進するそうだ。
二週間後、発酵の目安となる酸っぱい匂いがしたので食べてみたが、普段あまり漬物を食べないため、本物の糠漬けの味なのかどうかわからなかった。
毎日出る野菜屑は、細かく刻むとかなりの量になる。食卓に出す自信がないので一人で食べていたが、それにはちょっと多いくらい。でもいいところは、青じそ、みょうが、胡瓜その他いろいろ加えて《味変》を楽しめることである。
老夫婦にぴったりの糠床
ある日思い切って、出されたものを文句も言わず食べてくれる夫に、小鉢の一品として供してみた。よほどマズければ何か一言あるだろうと見ていたが、無事完食。そこで気をよくして、実は手作りの糠床であることや、発酵食品がいかに健康にいいかを夫にアピールした。
糠床の世話が大変なのはこれかららしい。特に夏場は冷蔵庫に入れる必要がある。とは言え、入れっぱなしでは菌が死滅する恐れがあり、何日かに一度出して発酵を促さねばならないのだ。
小さい糠床だが、老夫婦にはほどよい量。心身の健康のためにもこの糠床をうまく熟成させていきたい。
10/03 12:00
婦人公論.jp