女手一つで娘2人を育て上げ、定年を迎えた。65歳、長年の夢だったお遍路に取り組み中

長年の夢だった四国霊場八十八ヵ所参りに取り組んでいる…(写真:stock.adobe.com)
時事問題から身のまわりのこと、『婦人公論』本誌記事への感想など、愛読者からのお手紙を紹介する「読者のひろば」。たくさんの記事が掲載される婦人公論のなかでも、人気の高いコーナーの一つです。今回ご紹介するのは愛媛県の60代の方からのお便り。33年前に夫を亡くし、そこから娘2人を女手一つで育ててきたという文子さん。定年退職後、長年の夢だったあることを始めたそうで――。

* * * * * * *

家族が3人から10人に

20年あまり勤めた職場を定年退職した。33年前、夫が働き盛りに亡くなり、娘2人と、初めて部屋で3人きりになった時のことは忘れられない。あまりの心細さに、いっそ死んでしまいたいと思ったものだ。

しかし落ち込んでばかりもいられない。当時小学生と幼稚園児だった2人を女手一つで育て、ずっと働いてきた。

今、娘たちはよき伴侶を得て、家を出ている。なにかにつけて素敵な花束をくれる長女。いつも私を気遣ってくれる次女。

もうすぐ生まれる5人目の孫を合わせれば、家族は10人にもなる。なんて幸せなんだろう。

遍路めぐりは休み休みで

定年後は少しゆっくりとした時間を過ごしたい。そう思い、長年の夢だった四国霊場八十八ヵ所参りに取り組んでいる。数ヵ寺ずつ分けてめぐる、車でのひとり旅だ。

長い階段を上った先にあるお寺ならではの澄んだ空気を味わい、お坊さんが一心に唱えるお経や響き渡る鐘の音に感じ入る。時には宿泊し、寄り道しながらの珍道中。同じくひとり旅の外国人男性に助けられたり、懐かしい人と偶然再会したり……。やさしさに触れ合う旅に、これまでを労ねぎらわれているような気持ちになる。

まだ65歳、されど65歳。12月にある、夫の三十三回忌法要までに結願したいが、頑張りすぎず休み休み。

心に余裕のあるおばあちゃんになることが、一番の目標だから。


※婦人公論では「読者のひろば」への投稿を随時募集しています。
投稿はこちら

※WEBオリジナル投稿欄「せきららカフェ」がスタート!各テーマで投稿募集中です
投稿はこちら

ジャンルで探す