老人ホームにいる母に、ピンクのマニキュアを塗ってあげると、少女のような満面の笑みに。何歳になっても、ときめきは忘れない

塗り終わったピンクの爪に、満面の笑みで息を吹きかける姿は、まるで少女のよう…(写真:stock.adobe.com)
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マニキュアで少女のように

老人ホームにいる母に会いに行ったときのこと。母に塗ってあげようと思いついて、ピンクのマニキュアを持参しました。

母は食堂で3人の入所者と雑談をしていたため、「せっかくなので、塗ってみたい方は手を出してください」と言うと、全員が手を差し出します。

塗り終わったピンクの爪に、満面の笑みで息を吹きかける姿は、まるで少女のよう。90歳を過ぎておられる方が、「マニキュアは生まれて初めて。綺麗だねえ」とうっとりしていました。

また別の日、買ったばかりの日傘を持って行ったことも。内側が水色で、黄色やピンクのお花が描かれたかわいいデザインです。

開いてお見せすると、男女を問わず「ワ〜」「ステキね」と口々に歓声が上がります。

外出はしなくても、おしゃれはしたい

そのホームでは月1回、美容師さんが髪をカットしてくれます。ある日母の支払明細を見ると、パーマと白髪染めの文字が。

美容師さんがおっしゃるには、毎月白髪染めをする方や、数ヵ月おきにパーマをかける方もいらっしゃるとのことです。

外出こそほとんどないけれど、おしゃれはしたい、という声が多いとか。

それを聞いて思い出したのは、義母の入院先で担当医師から伺った、「ちょっとした外出のときに鏡の前で身だしなみを確認しない人は、男女関係なく認知症が進む傾向があるんですよ」というお話。

何歳になっても、感動することやおしゃれをすることは、ときめきを忘れずにいられるだけでなく、健康にもいい。私もその意気を忘れず、年を重ねていこうと思います。


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