「あの人が悪口を言っていた」と嘘をつき、人を争わせるのが好きなパート先の同僚K。そのKのせいで、イジメられて3年間。逆襲の時が来た
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職場のK子は口が上手く…
K子は、仕事よりもお喋りが優先だ。そのお喋りもかなり盛っているか、作り話だ。
5年目の私でも分かるのに、それより長い付き合いの同僚がいちいち「それ本当?」と食い付くのは見ていられない。
K子は口が上手い。
「何でも言ってね」
「あら、それ私がやるのに」
と言いながら、やったためしがない。最初からやるつもりが全く無い。
K子は荷物が届くと「腰が悪い」、掃除を頼むと「膝が悪い」、間違った記載は「目が悪い」、と言って「私って悪いとこだらけなの。皆んなに迷惑かけるから仕事を辞めようと思うのよ」。もう5年も、同じ事を言っている。
1番許せないのは告げ口だ。
「あの切れ者のAさんが、あなたの事をこんな風に思ってるみたいよ。でも、気にしない方がいいわ」
思わせぶりに言っておいて、両方の様子を伺っている。これがK子の趣味だ。
これまでそれが原因で、腹を立てた同僚同士のバトルが、度々繰り広げられた。言った言わないの、小学生レベルのケンカだ。K子は、思い通りに事が運び高みの見物だ。
K子がほくそ笑んでいるのが、周囲の人間は分からないのだろうか。
職場でイジメにあって
私は、最初からその手には乗らなかった。K子の告げ口にいつも無反応でいた。内心は腹わたが煮え繰り返っていたのだが、新人と言う事もあり冷静でいた。
しかし、それがK子の癇に障ったのかもしれない。その後3年近く、とんでもないイジメにあった。
私をイジメたのは、K子ではなく切れ者のAさんだ。
K子が毎日Aさんに、私がAさんを悪く言っていると吹き込み続けていたのだ。
もちろん、私は悪口など一切言っていない。しかしAさんは、K子の作り話をすっかり信じきって、私を目の敵にした。
大きな声で罵倒するのは日常化した。それも、机を両手でバンッと叩きながら「全く貴女って人は!」と、金切り声を上げて私を睨んだ。
周囲は傍観していた。Aさんに盾突く人はいなかった。
当時新人だった私は、ひたすら「いつまで経っても仕事が出来ない人間だ」と、自分を責め続ける日々だった。
急におとなしくなったAさん
しかし3年近く経ったある日、私は上司に「1番仕事のミスがない人間」と評価され「分からないことは彼女に訊くように」と、仕事のお墨付きを貰った。
途端に私は、自分を取り巻く環境について、広範囲に渡って見え始めた。それと同時に、AさんとK子の関係もはっきりと見えてきた。
そこで私は、K子に言った。
「ずっとAさんに、パワハラを受けてきたのよ。若い子ならとっくに訴えられてるレベルよ。我慢強い私だから良かったけど、いったい誰が、Aさんにあれこれ吹き込んでいたのかしらね。いったい誰が、Aさんに告げ口してたのかしら」
K子から目を離さなかった。K子は、明らかに狼狽ていた。
翌日から、Aさんの態度は一変した。憑き物でも落ちたかのように、急におとなしくなった。大きな声も出さなくなった。
その後K子は、「まだAさんに何かされてるの」と何度か聞いてきた。「いいえ」と答えると安堵していた。
あのパワハラ事件から2年ほど経つが、K子の性格は当初と変わらない。悪趣味も再燃している。切れ者だったAさんは陰を潜め、人への言葉も選ぶ様になった。
職場が、前よりは少しだけいい雰囲気になっていた。ただ、最近入ってきた新人に、K子は急接近している。
「K子さんは親切でいい人ですね」と新人に言われ、満面の笑みのK子だが、どうやら新たなターゲットを見つけたようだ。目が離せない。
08/25 12:30
婦人公論.jp