「子どもには転校をギリギリまで知らせたくなかった」ママ友の言葉に、口を滑らせた後悔と、親が転勤族だった子どもの頃の思い出が交錯し

まるで会話を拒否されているようで…(写真:stock.adobe.com)
気になるニュースや家族のモヤモヤ、日々の生活で感じたさまざまな思いや誰かに聞いてほしい出来事など、読者からの投稿を紹介するWEBオリジナル投稿欄「せきららカフェ」。今回ご紹介するのは、50代の方からの投稿です。もしあの時、言っていなかったら。20年経っても忘れられない後悔があるそうで――。

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あの時バラしたのは私です

もう時効か否か。20年経っても忘れられないしくじりをここに懺悔させていただく。

息子の小学校の同級生A君が、転校する事になったとA君のママに聞いた。

何日か経ってから、たまたま知人のBさんにスーパーで出会った時につい、A君が転校するそうで…と漏らしてしまった。

そして後日、A君のママが、「子どもにはギリギリまで知らせたくなかったのにBさんが知ってたのよ、誰にも言ってないはずなのに」と、嘆いていたのでビックリ仰天。

私は性格診断でも指摘されるほど、反射神経が鈍い。好きな事には前のめりだが、誰かに責められたりすると固まってしまう。のちのち、ああいうふうに言えば良かったとか、こういうふうに反論すれば角が立たずに自分の身の潔白を証明できたのに、などと悔やむばかり。

脊髄反射的に一番言ってはいけない事を言ってしまい、末代まで恨まれることも。戦国時代なら即死んでいたであろう。「殿、違うんです!」とも言えずに。

その時ももちろん、「あ!それ私だ!だって、言わないでと言われた記憶がないし」「私よりBさんのほうが仲良いし、長い付き合いだから当然知っていると思ったから……」など、頭の中ではぐるぐると言葉が回っていたが、声には出なかった。

その時はいたのは3人で、私以外のもう1人に向かって話しているので、当然話したのは私だと、A君のママにはバレているのだろう。それなら、面と向かって「言わないで欲しかったのよ」と、責めてくれれば謝りやすかったのだけれど。

自発的にそれは自分だと謝った方が良かったのだろうか。人間関係は難しい。

ただ、私にもひとつ言い訳がある。私は親が転勤族で、幼稚園も小学校も転校を重ねた。一番辛かったのが、小学校2年生の二学期で転校した時だ。

親友が居た。毎日毎日遊んでいた無二の親友。その友との別れがつらく、告げられた時は泣き喚いた。それも、直接母親から聞いたのではなく、茶の間で母親が知人に話しているのを聞いてしまったのだ。人目も憚らず泣き喚いてしまい、母親には後で叱られたのを覚えている。

だから、人づてに聞く辛さは一番わかっている。親心としては、ギリギリまで子どもには、いつも通りに過ごして欲しいのかもしれない。でも、子どもにしてみたら、子どもに一番に伝えて欲しいものなのだ。

自分は、どうせ別れるからと、小学校3年生からは親しい友人を作らなくなった。普通には接していたので、良い関係の友達もできたが、結局引っ越しで別れてしまい、もう連絡先も知らない。一カ所にとどまり、生まれた時からの幼馴染と還暦近くまで仲良くしている同級生を見ると、とても羨ましいと感じる。

だから、息子の友人A君が、転校の件を直接親から聞いたことを祈らずにはいられない。本当に、申し訳ない。

そして一つ、良いご報告を。1年生の時の親友とはお互いの家族が転勤を重ねても文通を続け、年賀状もやりとりしていたのだが、今年なんと50年ぶりに再会することができた。

変わらないしっくり感、なにも気を遣わず、楽しい時間を過ごすことができた。定年したら沢山会いたいと思う。

本州の端と東京なので、寿命までにあと何回会えるかは、分からないけれど。

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