パリ2024オリンピック開幕直前!世界トップの二本柱に対抗するのは日本人選手たちか?注目の見どころを徹底解剖!スケートボード・女子ストリート種目
遂に今週開幕となる「パリ2024オリンピック」。現地時間7月28日に開催されるスケートボードストリート女子。東京2020オリンピックと同じ予選と決勝が同日で行われる形。本記事では男子カテゴリーと同様に注目選手や、注目トリックなどを予想する。
本種目はオリンピックの正式種目に採用されてから2度目の開催となるが、前回の東京大会ではコロナ禍の影響もあり、無観客となるなど異例のオリンピックデビューとなった。しかし今回のパリ大会ではパリ市内の中心地であるコンコルド広場に特設会場を置き、満を持して有観客の中で開催される。
注目のパリオリンピック出場選手
金メダル最有力候補は間違いなくブラジルのライッサ・レアウ(世界ランキング3位)だ。ここ数年でライディングもさることながら、メンタル面でも非常に強くなった印象。大会中に全体の流れやジャッジの傾向をしっかり読み取り、アジャストする戦い方も出来る。
一方で、自分に流れが来ていると判断すると「キックフリップバックサイドスミスグラインド」や、「キックフリップバックサイドリップスライド」などで他を突き放しにかかるトリックチョイスもしてくる。
現段階でネガティブな要素を探す方が難しいライダーである彼女が、パリオリンピック本番では「キックフリップフロントサイドブラントスライド」、「キックフリップバックサイドテールスライド」をどのようなシチュエーションで出してくるかが注目。
ライッサの対抗になってくるのがオーストラリアのクロエ・コベル(世界ランキング5位)。幾度となく国際大会でライッサや日本人ライダーと優勝争いを繰り広げてきた。
キックフリップのバリエーションを得意とするクロエは「フロントサイド50-50グラインドからキックフリップアウト」や、大きなギャップやステアでの「キックフリップ」、さらには同様のセクションで「スイッチキックフリップ」なども得意としスコアメイクするトリックを安定的に持っている。
最近では女子ライダーではあまりトライしない「フロントサイドキックフリップ」も非常に成功率が高くなっている一方で、多くのライダーが苦戦する「ラン」セクションでも「ノーリーキックフリップ」などを入れ、安定してハイスコアを出せる強みも持っている。
そんな彼女の懸念点を一点挙げるならメンタルコントロールだろう。一度思うようにトリックが決まらなかったらそのままズルズルと立て直せず大会を終えることが度々見受けられる。この「乗るか反るか」のメンタルと「バックサイドクルックドグラインドノーリーキックフリップアウト」をどこで出してくるかが注目だ。
日本の赤間凛音はライッサ、クロエの二本柱の牙城を崩す一人になることは間違いないだろう。彼女は他のライダーがやらないトリックを多数持っていて、そのスタイルも非常に評価されている。
そして赤間の強さはなんといっても大崩れしないところだ。スケートボードは一旦自分のペースを崩すと短時間のうちに立て直すのが非常に難しい。彼女は最初のトライで上手く合わなくても、瞬時に何がいけなかったのかを理解して改善あしているように感じる場面が国際主要大会で多々見受けられた。実際、どれだけ失敗しても3回目にはしっかり修正してくる。「ラン」セクションでも2回しかトライできないものの、2回とも崩れているところをほとんどみたことがない。
「崩れない」上に難易度の高いほぼ女子ライダーでは彼女しかやらない、「バーレーグラインド」のバリエーションや「フロントサイド270ボードスライド」、「フロントサイドビッグスピン」、「フロントサイドビッグスピンヒールフリップ」と非常に強さを見せている。
事前の話ではまだ披露していない新技を用意しているとのことで、そちらもどのタイミングで出してくるかも非常に注目要素だ。
今大会の日本人選手勢で唯一のオリンピック経験者の中山楓奈も優勝候補の一人だ。東京オリンピックでは銅メダリストとなり、一時期はそのプレッシャーと怪我の影響からか、中々結果を出せずに苦しいシーズンを送っていた。
パリオリンピック予選でも最終戦まで出場圏外だったが、OQS2024ブダペスト大会の最終トライで「ヒールフリップバックサイドリップスライド」を決め逆転での出場を決めた。プレッシャーを跳ね除け、勝負強さも見せて出場権を勝ち取ったことによる自信とメンタルはオリンピック本戦で非常にプラスに働くと思われる。
注目のトリックは「ヒールフリップバックサイドテールスライド」をどのセクションで出すか、「バックサイドノーズブラント」や彼女の代名詞ともなった「フロントサイドクルックドグラインド」の新バリエーションが出るか。
前回よりも異なる色のメダルを目指す百戦錬磨の中山は要注目だ。
オリンピック予選シリーズ(OQS)で一気に世界ランキングをひっくり返した吉沢恋(世界ランキング1位)もここにきて金メダル最有力候補として名を挙げてきた。
フェーズ1終了時点では吉沢は世界ランキング7位で日本人5番手と出場圏内では無かったが、OQS2024上海大会で3位となり、世界ランキングも3位、一気に日本人2番手となり出場圏内に入った。その後も勢いそのままにOQS2024ブダペスト大会で初の世界女王となり世界ランキングも1位でパリオリンピック出場を
勝ち取った。現状最も心身ともに充実しているように感じる。
注目トリックは自身初の世界の頂点へ導いた、「ビッグスピンフリップボードスライド」。現在公式な大会では彼女しか決めたことのない非常に難易度の高いトリックだ。得意トリックは「バックサイドビッグスピンボードスライド」で、上記のトリックはこの派生トリックだ。
もう一つ彼女の大きな武器は「バックサイドノーズスライド」から「フロントサイドビッグスピンアウト」でこちらは「ラン」セクションに入れてくる可能性もある。勢いそのままに、初めてのオリンピックで頂点に立つことは出来るのか。
スケートボードが実施されるオリンピックは今回で2回目。
東京大会からの約3年間で大きく飛躍してきたのが中国人選手勢だ。
まず取り上げたいのは、スケート歴わずか約3年で世界大会決勝常連となったチェンシー・チー(世界ランキング6位)。日本人コーチの元、最初はバックサイドリップスライドも中々成功できなかった彼女は日々の努力で一気に世界ランキングを駆け上がりパリオリンピック出場を果たした。
「キックフリップバックサイド50-50」や「キックフリップバックサイド5-0」などを武器にどこまで上位にくらいつけるか注目の次世代だ。
また東京オリンピック経験者で最近「SLS Apex」でも表彰台に登った、中国のパイオニア的存在のゼン・ウェンフイ(世界ランキング9位)も目を離せない。
彼女は派手な大技こそ持っていないが、「バックサイドリップスライド」や「バックサイドテールスライド」が得意で特に「バックサイドテールスライド」のアウトバリエーションには注目。中国勢唯一のオリンピック経験者でこのアドバンテージを活かせるか。
その中でも中国勢で筆者が注目しているのがシュ・ユエンリン(世界ランキング10位)。未知数な部分が多いシュだが、スケートボードには非常に乗れている印象が強い。トリックもまだまだ荒削りな部分が多いが世界ランキングトップ10に入ったことがその実力を証明している。
パリオリンピックではどこまで成績を残せるかも楽しみだが、オリンピック以降の彼女の成長には要注目となりそうだ。
長年多くの実力者を輩出しているアメリカ勢はここ最近世界のトップ争いに顔を出すライダーが少なくなった。そんな中、トップ争いを掻き回しそうなライダーがマライア・デュラン(世界ランキング19位)だ。
世界の主要大会では度々決勝に進みその実力を発揮してきたが、オリンピック予選では思うような結果を出せずにいた。それでもパリオリンピック出場圏内の世界ランキング19位につけるあたりはスキルの高さを知らしめている。
そんなマライアが得意なのが女子選手では数名しかやっていない「ハードフリップ」だ。スケートボードをお腹側に横に180度、縦方向に360度回す非常に難易度の高い回しトリックだ。
このトリックでXGamesのベストトリックでもメダルを獲得するなど世界的にも評価高い彼女のスキルは東京オリンピック経験者というアドバンテージもありパリオリンピックでもダークホースになる可能性を秘めている。
前回のオリンピック女王である西矢椛がまさかの予選で姿を消すという波乱が起き、パリオリンピックは新たな金メダリストの誕生が確実となった。
次は前回メダリストと出場経験者か、もしくは次世代&新たな勢力か、オリンピック新チャンピオン誕生の瞬間を見逃すな。
出場選手一覧
スケートボード ・女子ストリート種目:全22名
1. 吉沢 恋(日本)
2. 赤間 凛音(日本)
3. ライッサ・レアウ(ブラジル)
4. 中山 楓奈(日本)
5. クロエ・コベル(オーストラリア)
6. チェンシー・チー(中国)
7. ペイジ・ヘイン(アメリカ合衆国)
8. ポエ・ピンソン(アメリカ合衆国)
9. ウェンフイ・ゼン(中国)
10. ユエンリン・シュ(中国)
11. ロース・ズウェツロート(オランダ)
12. パメラ・ローザ(ブラジル)
13. ジャズミン・アルバレス(コロンビア)
14. ナタリア・ムニョス(スペイン)
15. リヴ・ラブレイス(オーストラリア)
16. キート・オルデンビューング(オランダ)
17. ガビ・マゼット(ブラジル)
18. ヴァリーラヤ・スカセム(タイ)
19. マライア・デュラン(アメリカ合衆国)
20. ヘイリー・パウエル(オーストラリア)
21. ルーシー・スクーンヒー(フランス)
22. ボイペロ・アウア(南アフリカ)
大会スケジュール:日本時間
-7月28日(日)
19:00~ スケートボード女子ストリート 予選
24:00~ スケートボード女子ストリート 決勝
パリオリンピックでの日本人選手たちの活躍はテレビ放送やTVerで視聴して応援しよう!
パリ2024オリンピックのスケートボード女子ストリート種目の戦いの模様は、NHKや各キー局での地上波およびBS放送に加えて、TVerでのオンライン配信が予定されている。随時放送情報は更新されているが現時点での国内放送スケジュールは以下の通りだ。
*「2024年7月23日時点、FINEPLAY編集部調べ」
7月28日 20:00/21:00~ スケートボード女子ストリート 予選【NHK Eテレ・NHK総合】
7月29日 00:00~ スケートボード女子ストリート 決勝【テレビ朝日系列・NHK BS】
なお各競技の最新情報はオリンピックのウェブサイトや公式アプリで気軽にアクセスできるので是非ダウンロードしてみて欲しい。日本人選手たちの大活躍をテレビの前で一緒に応援しよう!
The post パリ2024オリンピック開幕直前!世界トップの二本柱に対抗するのは日本人選手たちか?注目の見どころを徹底解剖!スケートボード・女子ストリート種目 first appeared on FINEPLAY.
07/23 14:18
FINEPLAY