「あれはやっちゃいかん」完封負けの明徳義塾、馬淵監督が挙げた場面

選手に話しかける明徳義塾の馬淵史郎監督(右から3人目)=11月21日、神宮球場、大坂尚子撮影

 (21日、明治神宮野球大会・高校の部準々決勝 横浜2―0明徳義塾)

 明徳義塾(高知)は散発2安打で初戦敗退に終わった。試合後、馬淵史郎監督が「あれはやっちゃいかん」と言葉に熱がこもったのは、あるバントの場面だ。

 1点を追う三回無死一、三塁。打席の9番池田佑二(2年)はセーフティースクイズをした。

 打球は転がらず、小フライになった。ワンバウンドで投手が捕って一塁に投げて、一塁走者は二塁に進んだが、打球が少し浮いたことで三塁走者はスタートを切れなかった。1死二、三塁から後続がつながらず、スコアをタイに戻せなかった。

 「あのフライ気味じゃ三塁走者がちゅうちょしてもしょうがない。(高めの)ボールの球ですよ。高めだったらフライになるから、待っとく。それで次(の球)を打つこともできれば、(通常の)スクイズに切り替えることもできた。あのあたりでしょうね」と勝敗のポイントを挙げた。

 7年前に優勝を経験した監督は「神宮大会で勝つチーム」について持論がある。

 「神宮大会では、昔からゴロのヒットを打った方が勝ちなんですよ。こういう湿った状態の時だったら、なおのこと」

 雨でぬれた人工芝ではゴロの打球速度が上がり、野手の間を抜けやすくなる。一方で、横浜の1年生右腕・織田翔希に対しては「高めのボールをうちが打ってしまった」。打線は五回まで毎回でフライアウトがあり、持ち味が出せなかった。

 四国大会を制して神宮に来たが、監督は「四国は高松商が1番強かった」と振り返る。

 「来る前から選手たちには言っていたが、春にはメンバーが変わらないとダメだ、と。今のメンバーだけでは、とてもじゃないけど全国大会は戦えない」

 紫紺の優勝旗を手にするために。選手たちの危機感をあおるような「馬淵節」が止まらなかった。(室田賢)

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