「北別府2世」東海九州の広池康志郎がドラフト指名 千葉ロッテ5位

指名を受け、両手を突き上げる東海大九州の広池康志郎投手(中央)=2024年10月24日、熊本県益城町

 牛を愛し、畜産を学ぶ異色の大学生右腕がプロ野球選手へ――。24日にあった日本野球機構(NPB)のドラフト会議で、東海大九州(熊本市)の広池康志郎投手(22)が千葉ロッテから5位の指名を受けた。直球は最速153キロ。多彩な変化球を投げ分ける器用さもあり、同じ都城農高出身の200勝投手にちなんで「北別府2世」とも期待される。

 「うおーっ」。東海大九州の阿蘇くまもと臨空キャンパス(熊本県益城町)の食堂に設けられた席で、緊張した面持ちでテレビの中継を見守っていた広池投手の名前が呼ばれると、会場に一緒にいたチームメートたちは雄たけびをあげた。広池投手も両手を突き上げ、満面の笑みを浮かべた。

 宮崎県都城市出身で小学3年から野球を始めた。本格的に投手となったのは高校2年のとき。最速142キロを内外に制球よく投げ分けたが、コロナ禍で開かれた3年夏の独自大会は1回戦で敗れた。

 幼い頃から動物が好きで、実家が営んだこともある畜産業に就く思いもあり、東海大九州の動物科学科に進んだ。その一方で野球も続けた。「体は細かったが、手足が長く、柔らかい。鍛えればおもしろいなと誘った」という、投手コーチだった林田倫彦・現監督の指導を受け、体づくりから始めた。

 筋力トレーニングなどを重ね、入学時に70キロだった体重は80キロを超えた。球速も上がり、2年生の夏には球速が150キロに達して3年生からエースに。最終学年の今年はリーグ戦を前に体調不良となったが、仲間の奮起で全国大会に出場。神宮球場のマウンドで151キロの速球を投げ込むなど、力を見せた。

 広池投手は指名後の記者会見で「まずは体作りをしっかりしたい。先発投手として試合をつくり、勝てる投手になりたい」と抱負を語った。千葉ロッテの吉井理人監督は投手出身。「投球技術だけではなく、メンタルなど色々学びたい」。

 北別府は広島で213勝を上げた名投手。「北別府2世」と呼ばれることについては「北別府(学)さんは偉大すぎる先輩。早く先発でしっかり試合をつくれるようになり、近付きたい」と話した。(吉田啓

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