高額売却に成功! Jリーグ、移籍金差額ランキング1〜10位。安く買って高く売れた選手とは?

【写真:Getty Images】

 2024明治安田J1リーグが2月23日に開幕する。過去31シーズンで、どのクラブも様々な選手を獲得・放出してきた。その中で、移籍金で多くのプラスをもたらしたのはどの取引なのか。今回は、獲得時と放出時の差額のトップ10を紹介する。※各データは『transfermarkt』を参照、金額が並んだ場合はサイトに準拠。
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●10位:クリスティアーノ(ヴァンフォーレ甲府)

加入時の移籍金:30万ユーロ(約4200万円)
放出時の移籍金:80万ユーロ(約1億1200万円)
利益:50万ユーロ(約7000万円)

 ブラジル人のクリスティアーノは、ヴァンフォーレ甲府に移籍金として50万ユーロ(約7000万円)の利益をもたらした。

 クリスティアーノは、2013年にオーストリアのレッドブル・ザルツブルクから栃木SCに期限付き移籍で加入し、J2で40試合に出て16得点を挙げた。その活躍に注目した甲府が、翌2014年に30万ユーロ(約4200万円)でクリスティアーノを獲得している。スピードとパワーを兼ね備えた大胆な攻撃が魅力的で、ヤマザキナビスコカップ(現YBCルヴァンカップ)得点王に輝くなどインパクトを残した。

 2015シーズンは柏にレンタルで加入してリーグ戦で14得点を決めるが、このときは完全移籍に至らず。2016シーズンは甲府に復帰したものの、その半年後に柏に完全移籍で戻った。このときに柏は80万ユーロ(約1億1200万円)を支払ったとされている。

 その後、クリスティアーノは2021シーズンまで柏で活躍した。2019シーズンはJ2得点王になって1年でのJ1復帰に貢献するなど、柏でサポーターに愛される助っ人となった。

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●9位:水本裕貴(ガンバ大阪)

加入時の移籍金:180万ユーロ(約2億5200万円)
放出時の移籍金:250万ユーロ(約3億5000万円)
利益:70万ユーロ(約9800万円)

 元サッカー日本代表の水本裕貴は、Jリーグの複数クラブでプレーした。その中で、ガンバ大阪に対して最も高い移籍金収益を残している。

 高校卒業後の2004年にジェフユナイテッド千葉に加入してプロキャリアを始めた水本は、イビチャ・オシム監督の指導を受けて力をつけた。戦術理解度が高く、対人守備での激しさも魅力で、Jリーグ屈指の若手センターバックとして期待され、2006年には21歳で日本代表デビューを飾っている。

 その後、2008年に移籍金180万ユーロ(約2億5200万円)でガンバ大阪へ移籍したが、ステップアップはうまくいかず。Jリーグでの先発は開幕からの2試合のみで、その後はベンチスタートとなり、試合に出ても終盤のみとなってしまった。当然その状況に満足できるわけがなく、同年夏に京都サンガF.C.へ移籍。このときの移籍金が250万ユーロ(約3億5000万円)とされており、ガンバ大阪は70万ユーロ(約9800万円)のプラスとなっている。

 水本は、ガンバ大阪にとって戦力としては期待どおりの活躍ができたわけではないものの、財政面では価値のある取引だったと言えそうだ。

●8位:チャン・ヒョンス(FC東京)

加入時の移籍金:100万ユーロ(約1億4000万円)
放出時の移籍金:200万ユーロ(約2億8000万円)
利益:100万ユーロ(約1億4000万円)

 韓国人のチャン・ヒョンスは、プロとしてのキャリアを始めたFC東京に大きな利益をもたらしたセンターバックだ。

 チャン・ヒョンスは大学卒業後の2012年にFC東京に加入した。複数ポジションをこなせる器用さがあり、1年目の途中からコンスタントにプレーするようになると、2年目は完全にレギュラーに定着している。

 その後、中国の広州富力へ移籍したが、2017年夏に100万ユーロ(約1億4000万円)の移籍金でFC東京に復帰すると、2018シーズンはキャプテンを務めてチームをけん引してさらに価値を高め、2019年夏に200万ユーロ(約2億8000万円)でサウジアラビアのアル・ヒラルへ移籍している。

 獲得に投じた金額と放出した際に得た金額を比較しているこのランキングでは、利益が100万ユーロ(約1億4000万円)で8位となるが、チャン・ヒョンスが広州富力に移籍した際にもFC東京に225万ユーロ(約3億1500万円)とされる移籍金が入っている。2度の移籍を合計すると325万ユーロ(約4億5500万円)をクラブにもたらした計算で、ランキング以上に大きな利益をもたらした選手だ。

●7位:チャナティップ・ソングラシン(北海道コンサドーレ札幌)

加入時の移籍金:240万ユーロ(約3億3600万円)
放出時の移籍金:350万ユーロ(約4億9000万円)
利益:110万ユーロ(約1億5400万円)

「タイのメッシ」こと、チャナティップ・ソングラシンは、2017年7月に北海道コンサドーレ札幌に期限付き移籍で加入した。Jリーグ1年目は得点こそなかったものの、コンスタントに出場して札幌のJ1残留に貢献すると、2年目の2018シーズンはリーグ戦30試合に出場して8得点2アシストと活躍し、この年のJリーグ・ベストイレブンにも選ばれている。

 札幌は2019年1月、ムアントン・ユナイテッドに240万ユーロ(約3億3600万円)を支払って完全移籍で獲得した。チャナティップは2021シーズンまでプレーし、2022年1月に350万ユーロ(約4億9000万円)とされる移籍金で川崎フロンターレに加入した。これはJリーグのクラブ同士の取引としては史上最高額で、大きな注目を集めている。

 川崎Fでは札幌時代のようなインパクトが残せなかったチャナティップだが、Jリーグに多くのタイ人選手が多くやってくるきっかけをつくった選手だ。

●6位:ジェルソン・ロドリゲス(ジュビロ磐田)

加入時の移籍金:20万ユーロ(約2800万円)
放出時の移籍金:200万ユーロ(約2億8000万円)
利益:180万ユーロ(約2億5200万円)

 ジェルソン・ロドリゲスは2019年1月にジュビロ磐田に加入し、半年後に200万ユーロ(約2億8000万円)の移籍金を残して日本をあとにした。

 ポルトガルで生まれたジェルソン・ロドリゲスは、幼少期にルクセンブルクへ移住しており、同国でプロデビュー。2017年からは、ルクセンブルク代表としてプレーしている。

 その後、オランダのSCテルスターからモルドバのFCシェリフへ移籍したあと、ジェルソン・ロドリゲスは20万ユーロ(約2800万円)の移籍金でジュビロ磐田にやってきた。身体能力が高く、爆発的な加速で相手を置き去りにするFWで、リーグ戦15試合出場で5得点を記録、カップ戦では3試合で2得点を挙げている。

 その一方で、完全にフリーな状況でヘディングシュートを枠を外したりするようなところもあったが、ポテンシャルはヨーロッパの強豪からみても抜群だったようだ。ウクライナの強豪ディナモ・キエフは、ジェルソン・ロドリゲスの獲得に違約金満額の200万ユーロを用意したとのことで、磐田は放出を受け入れるしかなかったようだ。

●5位:チアゴ・マルチンス(横浜F・マリノス)

加入時の移籍金:180万ユーロ(約2億5200万円)
放出時の移籍金:364万ユーロ(約5億960万円)
利益:184万ユーロ(約2億5760万円)

 ブラジル人のチアゴ・マルチンスは、横浜F・マリノスで戦力としても移籍金としても大きなものをもたらした偉大な助っ人だ。

 チアゴ・マルチンスは2018年夏に1年半の期限付き移籍でパルメイラスからやってきた。すぐにレギュラーに定着すると、2019シーズンは畠中槙之輔とのセンターバックコンビで堅守を築き、J1優勝に貢献。この年のJリーグ・ベストイレブンにも選ばれている。

 横浜FMのディフェンスリーダーに君臨していたチアゴ・マルチンスは、2020年2月に完全移籍に切り替わっており、この時の移籍金が180万ユーロ(約2億5200万円)とされている。2021年12月に契約を延長してファンを安堵させたが、2022年2月にニューヨーク・シティFCへの移籍が決まった。戦力としては痛手だったものの、移籍金収益は184万ユーロ(約2億5760万円)で、クラブに大きな利益をもたらしている。

 現在28歳のチアゴ・マルチンスはMLSで活躍を続けており、2023年からはニューヨーク・シティFCでキャプテンを務めている。

●4位:マルティノス(横浜F・マリノス)

加入時の移籍金:15万ユーロ(約2100万円)
放出時の移籍金:250万ユーロ(約3億5000万円)
利益:235万ユーロ(約3億2900万円)

 2016年に横浜F・マリノスに加入したとき、マルティノスはほぼ無名の選手だった。それが2018年1月に浦和レッズに移籍した際には、250万ユーロ(約3億5000万円)で売却されたと言われている。

 オランダで育ったマルティノスは、世代別のオランダ代表も経験した有望株だったが、2009年の重傷で約2年間ピッチから遠ざかった。その後、ルーマニアのボトシャニでプレーしていたところ、2016年に横浜FMが15万ユーロ(約2100万円)とされる移籍金で獲得している。

 スピードあふれるドリブルが武器のマルティノスは、毎試合観ているファンであっても予測が難しいほど独特のリズムを持っていることが特徴で、横浜FMのウイングとして躍動した。2017シーズンはリーグ戦で5得点7アシストと結果を残し、浦和に引き抜かれている。

 横浜FMがマルティノスで得た移籍金収益235万ユーロ(約3億2900万円)は、国内クラブへの売却としては最高額だ。

●3位:マイケル・オルンガ(柏レイソル)

加入時の移籍金:284万ユーロ(約3億9760万円)
放出時の移籍金:600万ユーロ(約8億4000万円)
利益:316万ユーロ(約4億4240万円)

 マイケル・オルンガは、Jリーグで過ごした2年半で価値を飛躍させたストライカーだ。

 ケニア人のオルンガは、中国の貴州恒豊からスペインのジローナへの期限付き移籍期間を終えたあと、2018年夏に柏レイソルに加入。獲得に投じた額は284万ユーロ(約3億9760万円)とされている。

 シーズン途中加入ということもあって2018シーズンはリーグ戦10試合で3得点どまりだったが、2019シーズンはJ2で30試合に出場して27得点を挙げ、柏のJ2優勝とJ1復帰の原動力となっている。第42節の京都サンガF.C.戦では前半だけでハットトリックを達成し、後半に5得点を追加して、1試合8得点というJリーグ新記録を樹立している。

 J1でもオルンガは圧倒的な存在感を放ち、リーグ戦32試合出場で28得点を記録した。柏は7位でシーズンを終えたが、オルンガは年間MVPと得点王のタイトルを手にしている。

 この活躍がカタールのアル・ドゥハイルの目に留まり、2021年1月に移籍金600万ユーロ(約8億4000万円)で引き抜かれた。柏にとって284万ユーロが安く思えるほどの活躍で、さらに大金も残した大成功補強となっている。オルンガはカタール1部リーグで2年連続の得点王となっており、アル・ドゥハイルにとっても大金を投じた価値のある補強となっている様子だ。

●2位:ダヴィ(名古屋グランパス)

加入時の移籍金:230万ユーロ(約3億2200万円)
放出時の移籍金:570万ユーロ(約7億9800万円)
利益:340万ユーロ(約4億7600万円)

 ブラジル人のダヴィはJリーグ複数クラブで活躍した助っ人で、名古屋グランパスには移籍金でも大きく貢献した。

 ダヴィは2007年にブラジルのヴィトーリアから北海道コンサドーレ札幌に加入した。1年目からJ2で17得点を挙げて昇格の原動力になると、2008シーズンはJ1で16得点を記録している。下位に低迷したチームで存在感を放ち、2009年に230万ユーロ(約3億2200万円)の移籍金で名古屋に加入した。

 名古屋では開幕戦の大分トリニータ戦で2得点と見事なスタートを切って、すぐにエースに君臨し、第17節までにリーグ得点ランクトップの10得点を記録している。すると、夏にカタールのウム・サラルが違約金の満額とされる額を支払ったことで、引き抜かれることになった。結局ダヴィはこのシーズンのチームトップスコアラーで、名古屋にとって戦力的には痛手だったものの、在籍半年で340万ユーロ(約4億7600万円)の利益を生んでいる。

 2011年にヴァンフォーレ甲府で日本復帰を果たしたダヴィは、抜群の決定力で2012シーズンはJ2得点王になった。2013シーズンからは2年連続で鹿島アントラーズで2桁得点を達成するなどしている。

●1位:古橋亨梧(ヴィッセル神戸)

加入時の移籍金:15万ユーロ(約2100万円)
放出時の移籍金:540万ユーロ(約7億5600万円)
利益:525万ユーロ(約7億3500万円)

 Jリーグ史上最高額の移籍金収益を手にしたのは、ヴィッセル神戸だ。古橋亨梧の取引で大きな利益を出している。

 古橋は中央大学を卒業して、2017年にJ2のFC岐阜に加入してプロキャリアを始めた。1年半にわたって活躍したあと、2018年夏に15万ユーロ(約2100万円)とされる移籍金で神戸に加入すると、J1でも活躍。2019、2020シーズンと2桁得点を達成し、2021シーズンは前半戦だけで15得点を挙げる活躍を見せ、夏にスコットランドの強豪セルティックへ移籍した。そのときの移籍金は540万ユーロ(約7億5600万円)となっている。

 ヨーロッパ移籍後も活躍を続ける古橋は、2022/23シーズンにスコットランド1部リーグの得点王となってシーズン最優秀選手賞を受賞し、価値を高め続けている。神戸に大きな利益をもたらしただけでなく、所属した全てのクラブを大いに満足させている選手と言えるだろう。

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