スペック最強は誰だ!? サッカー日本代表能力値ランキング11〜20位。活躍が期待される男たち【アジアカップ2023】

【写真:Getty Images】

●20位:毎熊晟矢(セレッソ大阪)

 AFCアジアカップカタール2023に臨むサッカー日本代表のメンバーが1日に発表された。サッカーという競技の特性上、彼らの能力を数値化するのは極めて困難であることを承知の上で、今季のスタッツを分析し、5項目に分類して数値化を試みた。ここでは日本代表メンバーの能力値をランキング形式で紹介する。(成績、市場価値は16日時点の『transfermarkt』を参照。発表時のメンバーが対象)

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生年月日:1997年10月16日
市場価値:130万ユーロ(約1.8億円)
2023リーグ戦成績:31試合1得点2アシスト
日本代表通算成績:5試合0得点1アシスト

 2023年は毎熊晟矢にとって飛躍の年となった。昨季は松田陸から右サイドバックのポジションを奪い、開幕から主力としてプレー。そして、Jリーグでの活躍が認められ、サッカー日本代表入りを掴み取った。

 毎熊に転機が訪れたのは2020年。桃山学院大学からV・ファーレン長崎に加入し、手倉森誠監督に出会うことに。大卒1年目の毎熊は指揮官にFWからSBへコンバートされると、その攻撃センスを遺憾なく発揮し、加入1年目ながらチームの主力に定着した。長崎で2シーズンを過ごしたのち、2022年にC大阪へ加入となっている。

 数値が最も高いのは「フィジカル」で、これはスピードが影響している。トップスピードに乗せると止めることは困難だ。元々FWということもあり、攻撃の数値が「67.6」というのはSBとしては申し分ない。「スキル」も「63.4」とDFの中では悪くなく、ドリブルや前線へ送るスルーパスなどは光っている。

 一方で、「守備」が「61.7」とやや低く、まだ対人守備の寄せの甘さなど課題は山積みだ。日本代表デビュー戦となった昨年のトルコ代表戦では、相手に寄せるも止められず、最後はたまらずファウル。そこで与えたFKから失点を招いてしまった。今後長く国際舞台で活躍する上で、レベルアップは欠かせない。

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●19位:中山雄太(ハダースフィールド/イングランド)

生年月日:1997年2月16日
市場価値:150万ユーロ(約2.1億円)
23/24リーグ戦成績:19試合0得点1アシスト
日本代表通算成績:20試合0得点2アシスト

 ハダースフィールドに所属する中山雄太は、守備的なポジションならどこでもプレーできる万能型のDFだ。柏レイソルの下部組織時代にディフェンスラインから中盤まで様々なポジションでプレーしており、プロ入り前からユーティリティーな選手だった。

 中山は「フィジカル」、「守備」の数値が高いのが特徴的である。オランダやイングランドで培ってきた対人守備は日本人選手の中でもトップクラスだ。

また、キック精度と試合展開を読む力が高く、選手の位置を把握できる力もあるため、ボールを奪ってから一気に攻撃のスイッチを入れられる。複数ポジションで幅広いタスクをこなす戦術理解度の高さも魅力の1つであり、「IQ」は「73」と高評価だ。

 今後SBとして出場するのであれば、クロスボールの質やドリブル精度などを上げたいところ。まだまだ課題が残るため、攻撃の数値が低くなっている。

●18位:浅野拓磨(ボーフム/ドイツ)

生年月日:1994年11月10日
市場価値:400万ユーロ(約5.6億円)
23/24リーグ戦成績:16試合5得点1アシスト
日本代表通算成績:48試合9得点4アシスト

 日本では「ジャガー」の愛称で知られる浅野拓磨は、今大会でも日本代表を救う働きをしてくれるだろうか。カタールワールドカップの初陣となったドイツ代表戦でのゴールは記憶に新しい。

 浅野は大舞台に強い。2016年に行われたAFC U-23選手権決勝のU-23韓国代表戦で途中投入から2得点を奪う活躍で、逆転勝利の立役者となった。さらに、昨年5月に行われたブンデスリーガ1部最終節のレバークーゼン戦では1ゴール1アシストの活躍で、2部との入れ替え戦圏内にいたチームを自動残留に導いた。

 浅野の最大の特徴といえば爆発的なスピードで、それを含めた「フィジカル」の数値は「85」となった。相手DFを一瞬で置き去りにし、あっという間にゴールへ迫ることができる。そのスピードで世界トップレベルが揃うドイツ代表を苦しめた。

 一方で「スキル」と「IQ」が「60」台と伸びず。重要な試合でゴールを決められる選手ではあるが、シュート技術が傑出しているわけではない。そのため「スキル」は63.8に留まった。また、「守備」は「54」と最も低い。スピードを活かして前線からプレスをかけるシーンは見られるが、ウィングでプレーした時の対人守備ではやや脆さが出てしまう。

●17位:町田浩樹(ロイヤル・ユニオン・サン=ジロワーズ//ベルギー)

生年月日:1997年8月25日
市場価値:600万ユーロ(約8.4億円)
23/24リーグ戦成績:17試合0得点0アシスト
日本代表通算成績:6試合0得点0アシスト

 ベルギー1部のロイヤル・ユニオン・サン=ジロワーズでプレーする町田浩樹は左利きの大型センターバックである。鹿島アントラーズの下部組織で育ち、2016年にトップチームへ昇格となった。当初は昌子源と植田直通という2人の日本代表CBの牙城を崩すことができず、1年目はリーグ戦での出場はなかった。

 植田が2018年7月、昌子が2018年12月にそれぞれ海外移籍となると、町田の出場機会が増えるようになる。東京五輪にも出場した町田は、Jリーグ屈指のCBにまで成長。2022年1月に先輩たちの道を辿るように海外移籍を果たしている。

 190cmと長身の町田の「フィジカル」は「80」超え。海外の選手相手にも屈しない「フィジカル」の強さを持ち、対人守備が強いため「守備」の数値も79.3と高い。さらに「IQ」が「74.8」。鹿島では大岩剛監督などCBで活躍していた偉大な先輩からも指導を受け、レギュラーの座を掴み取った。ベルギーでは現在も主力としてプレーしており、戦術の違いは大きいはずだが、それでも試合に出られるということは戦術理解度が高いからだろう。

 攻撃が「50.8」と低く、今回のランキングのCBの中で最低の数字。もちろん、CBは守備が一番の仕事ではあるが、過去に日本代表でCBを担ってきた吉田麻也や田中マルクス闘莉王氏などはセットプレーなどから幾度もゴールを奪ってきた。冨安健洋や板倉滉などからポジションを奪うには、攻撃面の強化も必要となるかもしれない。

●16位:前田大然(セルティック/スコットランド)

生年月日:1997年10月20日
市場価値:650万ユーロ(約9.1億円)
23/24リーグ戦成績:17試合3得点2アシスト
日本代表通算成績:13試合3得点0アシスト

 スピードという最大の特徴を活かしてスコットランドで活躍しているのが、セルティックに所属する前田大然だ。若くしてポルトガルでプレーするなど経験豊富な26歳である。センタフォワードのみならず、左右のウィングでもプレーすることができ、監督にとっては非常にありがたい存在だろう。

 前田はやはり「フィジカル」と「攻撃」の能力値が高い。爆発的なスピードとスタミナを持つ前田の「フィジカル」は「84.1」で、今回のランキングで前田よりも上位に位置する上田綺世や堂安律などの値を上回っている。また、横浜F・マリノス時代の2021シーズンにJ1リーグ得点王になっていることからも、攻撃力の高さがうかがえる。

 また、スピードを活かした守備も特徴的。「守備」の数値は60.3とFWの選手としては高い。スプリントを何度も繰り返し、1試合の間に幾度も前線からプレッシャーをかける。『FIFA』の公式によると、カタールワールドカップの決勝トーナメント1回戦クロアチア代表戦で、前田は途中交代ながらも、68回ものスプリントを行っていた。攻守において、労力を惜しむことなくチームの勝利のために走り続けるということがよく分かる。

 一方で「スキル」の低さがFWの選手としては勿体ない。スピードに対応できない相手と対峙した場合は、シンプルな抜け出しでゴールまで持っていけるが、レベルが上がるとそれだけでは通用しないのも事実。ゴール前でのシュート技術、ドリブル技術なども上げたいところだ。また、UEFAチャンピオンズリーグ(CL)では10試合に出場するも、まだゴールがない。世界の強豪相手でもゴールを奪うことができるスキルが身につけば、総合的に能力値が上がるだろう。

●15位:谷口彰悟(アル・ラーヤン/カタール)

生年月日:1991年7月15日
市場価値:150万ユーロ(約2.1億円)
23/24リーグ戦成績:12試合0得点0アシスト
日本代表通算成績:25試合1得点1アシスト

 川崎フロンターレで長く活躍してきた谷口彰悟は、ロシアワールドカップ後に就任した森保一監督の元で日本代表に定着。カタールW杯にも出場し、今回のAFCアジアカップカタール2023のメンバーにも問題なく名を連ねた。チーム最年長であり、ピッチ内外で頼りになるベテランだ。

「守備」の能力値はランキング11〜20位の中で最高となる「81」を記録。とくにカバーリングセンスは目を見張るものがあり、鋭い読みと危機察知能力を発揮して相手の突破を阻んでいる。ポジショニングや判断を間違えることも少なく、安定感に関しては冨安健洋などにも引けを取らない。

 身長は183cmとセンターバックとして特別大柄ではないが、地上・空中問わず対人戦の強さは非凡で、タイトな当たりでFWの自由を奪うプレーはよく見られている。一方でスピードは平均的なため、板倉滉や冨安とは違いやや背後に抜け出された際の不安は残る。そうした点を踏まえ、「フィジカル」の数値は「80.2」に落ち着いた。

「スキル」はCBの選手としては比較的高い「61.8」。ボールを冷静に処理できるだけでなく、攻めのスイッチが一気に入るような鋭い縦パスを繰り返し差し込めるあたりが魅力だ。フル出場を果たした先日のベトナム代表戦でもその能力は光っていた。

●14位:中村敬斗(スタッド・ランス/フランス)

生年月日:2000年7月28日
市場価値:1000万ユーロ(約14億円)
23/24リーグ戦成績:12試合2得点1アシスト
日本代表通算成績:6試合6得点0アシスト

 10代でガンバ大阪を飛び出し欧州に渡った中村敬斗は、当初なかなかその才能を開花させることができなかった。しかし、2021年のLASKリンツ移籍が転機となってブレイクを果たすと、昨年夏には欧州5大リーグの1つであるフランスにステップアップ。クラブでの活躍は森保一監督の目にも留まり、昨年3月の初招集以降、日本代表に呼ばれ続けている。

 中村の主戦場は左サイド。細かいタッチでボールを扱う技術はあるが、同じポジションのライバルである三笘薫のようにドリブルで次々と抜いていくタイプではなく、DFに圧倒的な差をつけるスピードが備わっているわけでもない。左サイドで先発出場を果たした先日のベトナム代表戦でもドリブルが相手に引っ掛かるケースがやや多く、個で崩すシーンを作ることができていなかった。

 それでも中村には特別な武器がある。他の代表メンバーを凌ぐほどのシュートセンスだ。ボックス内での落ち着きぶりはストライカー並みで、ボックス外からも高確率で枠内シュートを飛ばすなど、ワンチャンスを仕留める力は圧倒的。日本代表ではここまで6試合6ゴールとその能力を余すことなく発揮している。決定力などゴールに関わる能力をさす「攻撃」は「83.3」と飛び抜けたものになった。

 日本代表ではこれまで、ドリブルで違いを作り出していくタイプのアタッカーはいたが、ストライカー顔負けの決定力を持ったアタッカーはあまり多くなかった。そういった意味でも中村は、現森保ジャパンにおいてかなり希少価値の高い存在と言えるだろう。

●13位:上田綺世(フェイエノールト/オランダ)

生年月日:1998年8月28日
市場価値:900万ユーロ(約12.6億円)
23/24リーグ戦成績:13試合1得点0アシスト
日本代表通算成績:20試合8得点0アシスト

 上田綺世は今季より加入したフェイエノールトで出場機会の確保に苦しんでいるが、日本代表では好調だ。昨年だけで1度のハットトリックを含む7得点をマークしており、先日行われたAFCアジアカップカタール2023の初戦でも途中出場ながらゴールネットを揺らしている。現状のCF 1番手だ。

「攻撃」の数値は「83.3」とさすがの結果となっている。シュートセンスに優れるだけでなく、DFとの駆け引きや危険なスペースへの侵入などオフ・ザ・ボールの動きが秀逸で、一瞬のアクションから相手のゴールを脅かすことができる。ゴールへの意欲が常に高いだけでなく、フットボール「IQ」が高いからこそ、なせるわざと言っていい。

 身体能力の高さも上田を語る上で外せないポイントであり、とくにヨーロッパへと活躍の舞台を移してからはパワーが格段にレベルアップした。相手を背負った状態でも難なくプレーし、空中戦でもそう簡単には負けない。もちろん、その力強さはシュートにも活かされている。もともとのコントロールの良さにパンチ力がプラスされることで、この男のフィニッシュはGKにとってより厄介なものとなった。

 日本代表の選手がアジア杯の舞台で得点王に輝いたのは、2007年大会の高原直泰が最初で最後だ。その高原に肩を並べられるだけのポテンシャルを上田が秘めているのは明らか。日本の1番手ストライカーとしてカタールの地で大暴れしてほしい。

●12位:堂安律(フライブルク/ドイツ)

生年月日:1998年6月16日
市場価値:1800万ユーロ(約25.2億円)
23/24リーグ戦成績:16試合1得点1アシスト
日本代表通算成績:43試合7得点6アシスト

 2019年のアジアカップにも出場した堂安律が、4年の時を経て再びアジア杯のピッチを踏むことになった。前回は21番だったが、今回はエースナンバーの10番を着用。ライバルの伊東純也が絶好調なため、序列としてはそこまで高くないが、ギラギラした思いを持ち続けて大会を駆け抜けるはずだ。

 堂安の身長は172cmとサッカー界では小柄な部類だが、体がガッチリとしており、球際の競り合いでタフに戦い続けるなど、ピッチ内で身長のハンデを感じさせることはない。攻撃面はもちろん、守備面にも逞しいパワーは活かされており、ボールホルダーへの素早い寄せと厳しいボディコンタクトで相手の自由を奪っている。激しい守備から素早い攻撃をコンセプトに掲げる現在の日本代表において、堂安の献身性は頼りになる。

 パンチ力のあるシュートは堂安の特長のひとつ。また、イカつい見た目には似合わない意外性と精度のあるパスも持っており、ここ最近の日本代表活動ではチャンスメイクに努める姿が目立っている。一方で久保建英や伊東純也、三笘薫ほど個での突破力に長けているわけではなく、相手のタイトなマークに遭った際など、試合から消えてしまうこともしばしば。継続性は今後の課題と言えるだろう。

 しかし、堂安にはFIFA U-20ワールドカップやカタールワールドカップなど、大舞台で自身の持つ能力以上の力を発揮するメンタルの強さがある。カタールW杯後は2得点に留まっているが、“大舞台”のアジア杯では再び躍動してくれるかもしれない。

●11位:菅原由勢(AZ/オランダ)

生年月日:2000年6月28日
市場価値:1500万ユーロ(約21億円)
23/24リーグ戦成績:16試合0得点4アシスト
日本代表通算成績:10試合1得点1アシスト

 ここ最近の成長が著しい選手の1人だ。2021年に開催された東京五輪や一昨年のカタールワールドカップには出場できなかったが、第2次森保ジャパンでは毎試合のようにハイパフォーマンスを披露し、ライバルにあっという間に差をつけて右サイドバック1番手の座を不動のものとした。

 名古屋グランパス時代から攻撃面に定評がある選手で、「攻撃」の数値は「70.6」とDFらしからぬ結果が出ている。非凡なスピードを活かして後方から駆け上がる動きは前線に迫力をもたらし、タッチライン際だけでなく、ハーフスペースも効果的に使うことができるのは大きな特長だ。

 敵陣深くに侵入した際のプレー選択肢も多く、自らシュートに持ち込むことも、精度の高いクロスやスルーパスで味方のチャンスを作り出すことも苦にしていない。賢さと上手さを兼ね備えたSBと言っていいが、ピッチを離れれば常に笑顔と元気を絶やさないムードメーカーとして振る舞っており、そのギャップがより菅原という存在を引き立たせている。

 上記の通り攻撃面に定評があるが、守備対応に大きな不安があるわけではない。アスリート能力が高く、1対1で簡単に振り切られない粘り強さを持つ。先日のベトナム代表戦の対応は少し心配になるものだったが、本来はもっとできる選手だ。

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